オープニング
「……ぅん…?」
周りが騒がしい。まるで学校に来てしまっているような気分にさせられる。
不快感を覚え目を開けると…
「あれ…?俺って家に居たような…?」
辺りは薄暗く、大広間のような形になっている。普通の部屋のようで、変わっているところと言えば部屋の真ん中が光で照らされていることだ。。やけにファンタジックな場所に自分はいるらしい。
その様子は、中学校の修学旅行で某テーマパークに行った時のアトラクションの待機場所に居るときに酷似していた。
おまけに、辺りは様々な声が飛び交っている。高校に入り、まともに人と接していない俊は、なんとも言えない不安感に襲われた。
「あーー…、まだ寝てるのか。こんな目にさらされているのも夢だといったら理解できる。こんなトラウマを与えて何が楽しいのかね。」
俺の脳は気づかない内に自虐体質になっていたのか…?そんな疑問が沸いてくる。
「まあ、これ以上ここにいたら精神的に良くないのは確かだ。一刻も早く目を覚まさないと。」
古典的だが一番効果がある目覚まし。夢の中での頬つねりを実践してみる。
「あれ…?目が覚めないんだが…?」
自分の脳は頬への痛みを必死に訴えている。
「なんでだ…?!なぜ目を覚まさない!」
こんないかにもなセリフを自分が吐くようになるとは中学校の頃は思わなかっただろう。焦りを感じるなか、追い討ちをかけるように頭の中で女性の声が響き始めた。
「こんにちはっ!ニートの諸君!」
どうやら俺は自分のことをニートと認めてしまうほど自虐的になり、頭の中で女性の声を流すほど女性に飢えてしまっていたみたいだ。俊は頭を抱えてその場でうずくまった。
「はいっ、そこの君!黒川 俊さんだよね?頭を抱えてないで人の話を聞く!」
「お前はだれだよ?!何で俺のことを知っている!ここはどこなん…だ…?」
言葉を捲し立てながら顔をあげると部屋の光で照らされている部分にフードを被った女性が浮かんでいた。あまりに非現実的な光景に言葉が続かなくなる。
「私はだれで、何で君のことを知っているか…か?そんなの当然だろ?私はあなたたちの管理者であり、この世界の神様の一人なのだから。」
これは関わってはいけない人だ。体が危険警報をガンガンに鳴らしている。急いで出口を探そうと体を起き上がらせるとまた声が聞こえた。
「アハハハッ。探しても無駄無駄。出口なんかないよ?」
出口が…ない?じゃあ俺はどこからここに入ってきた?
彼女は自分のことを神様であると言っていた。転送されて来たってことなのか?
「現実世界じゃないってことかァァァっ!?」
あまりの嬉しさにガッツポーズをしながら黒い空間を動き回る。
「ハッハァーーッッ!信じていたんだよ!二次元を愛するものにはいつかは扉が開かれるって!やったぁーッッ!これで忌々現実とはおさらばだぜ!くぅーー、どんな異世界ライフが待っているんだ!」
「何言ってんの?定期的に現実には帰ってもらうよ。それが君達を呼んだ理由だし。それと今から行ってもらう世界は異世界じゃなくて君達がやろうとしていたゲームの世界だよ。」
確かに異世界召還されるのに理由があるのがお約束だ。典型例でいうとその世界で起きている戦争を静めてくれだの、魔王を討伐してくれだの…。ってゲームの世界ってことは魔王をとうば…
「単刀直入に言うと君達にはこの世界に蔓延る悪の権化。いわば魔王を討ち取って欲しい。」
典型例だった。
「いやいや、待てって。それじゃあ現実世界に帰る理由がないだろ?説明になって無いって。」
「せっかちだなぁ。単刀直入に言うとって言ったろ?この問題は君達の世界も危険に晒されているんだから。」
「俺達の世界も危険に…?別に魔王とかいないぞ。」
「そうゆうことじゃなくて。このゲームの世界の魔王が現実世界に干渉しようとしているんだ。まあ、具体的な方法といったら君達の世界にある家々にモンスターを召還して破壊活動をしている。」
「つまり…俺達に魔王を討伐してそれを止めさせろ…と?でもそんなことしている間に世界から住居が無くなっちゃうんじゃないか?」
「そこでだ。君達には魔王討伐を目指して旅をしてもらいつつ、君達の世界にモンスターが召還されたらその都度送り返してモンスターも討伐してもらう、っということ。」
「一回、一回現実に戻るってことは、俺達の命は…、有限?」
「そりぁそうさ。ゲームの中だと言っても君達はプログラムされてない存在だからね。死んだら終わり。ちなみにニートを呼んだのは単純に暇そうだったから。何嫌そうな顔してるのさ。」
「死ぬかもしれない職に就かされた理由が暇そうだったからは洒落にならないだろう。」
「言っておくけど君達に拒否権はないよ。危険に晒されているのは君達の世界も一緒だからね。」
引き受けるしかないみたいだ。
「幸い200人もの勇者候補もといニートが集まってくれた。安心したよ。これならどうにかなるかも。あと君のところは家族に何らかの問題でもあるのかね?」
「はっ?何をいっ……て…」
どうやら神様らしい女性は俺の後ろを指差している。
ゆっくりと振り向くと…。
綾香が寝そべって気絶していた。どんだけ残念な妹何だよ…。
「まっ。説明はこれくらいにして。あっ、そうそう君達には一人一人武器やら防具やらが与えられる。勿論一つだけだけどね。それを駆使して魔王の討伐に行ってもらうから。んじゃ説明終わり!」
神様がそういうと足元に魔方陣が現れる。
「詳しいことはこの生活をしながら段々と理解を深めていけばいい。最悪、僕も見守ってることだし本当に分からないことがあったら気まぐれで教えてやるよ。んじゃ行ってらっしゃい。」
そんな、お使い行ってきてさながらの軽い挨拶で俺達の意識は薄れていった。
拙い文章で申し訳ありません。意見等々は随時受け付けております。投稿頻度はバラバラです。