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「さて、と。これで全員揃ったかな?」
返事を待つでもなく、トキトー先生は一度だけ軽くこちらを見渡す。
「フレクトにハートピース、ワイアードにクライム、それとガルベスにラッセル。ちゃんと六人いるみたいね」
いよいよ当日となったカウス従器工場への実習。そのメンバーは、俺を含めたったの六人しかいない。確認作業に掛かる手間も、ごく少なく済んでいた。
「前もって言ってある通り、私は実習先には付いていけないから、何か質問とか確認があったら今の内に言っておいて。まぁ、もしもの時はあっちから電子メールで聞いてくれてもいいけど」
トキトー先生の最終確認にも、特に誰も質問はないようで。
「それなら、出発! フレクト、後は頼んだわ」
「責任は被りませんけど、形式的な言葉として受け取っておきます」
名指しの言葉を受けた俺が適当に返し、他の五人もそれぞれに挨拶の言葉を返す。
「……それじゃあ、まぁ行くか」
冴えない宣言を合図に、俺達はカウス従器工場への往路を歩き始めた。