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機械仕掛けと護衛の王  作者: 杉下 徹
一章  最強
2/67

1-1

「やっぱり、ワイアードくんが勝つかな?」

「どうだろう、そればっかりはやってみないと……」

「でも、ワイアードくんはこれまでずっと一番だったし」

「私は、シモンの本気が見れるのが楽しみだけど」

 ちょうど、掲示を見に来たタイミングで、掲示板の前で集まっている女子の会話が耳に入る。その内容で大体目的が達成されてしまった感はあるが、それでもわざわざここまで足を運んだのだから、自分の目で結果を確かめるべきではあるだろう。

「ああ、やっぱり」

 校内で最も大きな第一訓練場、その入口前の掲示板にやたらと大きく貼り出されているのは、一年生初の模擬戦、その組み合わせの結果だった。最終的には全員が全員と戦う事になるという学年内の模擬戦は、慣れてくれば組み合わせなどそう気にする必要も無いのかも知れないが、それでもやはり初戦は気になるもので。

「どう? いきなり暫定順位一位のヒースと当たった気分は」

「あえて言うなら、予想通りだな」

 いつの間にか女子の塊から一人抜け出てこちらに来ていた少女の声に、言葉を返す。

「やっぱり。私も、最初は上から機械的に組んでくと思ってた」

 掲示板の一番上に書かれていたのは、ヒース・ワイアードとシモン・フレクトの名。それは学年で最初に行われる模擬戦の組み合わせであり、同時に暫定順位一位と二位による暫定的な学年最強を決める戦いを意味していた。

「勝てると思う?」

「絶対に勝てない、とは思わないな」

「そう、つまらない答え」

「お前はどうなんだ、勝てそうか?」

「絶対に負けない、とまでは言わない」

 口元を歪めて笑ってみせた少女、ノヴァ・ハートピースの名は、ヒースと俺の名のすぐ下に書かれていた。ノヴァの暫定順位四位は、女子の中では最も高い。それでいて傍目には冷たい目をした美少女くらいにしか見えないのだから、人は見た目に依らない。

「精々ヒースの情報をばら撒いて負けて。もしくは、自分の情報をばら撒いて勝って」

「どっちも善処したくはないな」

 手を振り、ノヴァは女子の中へと戻っていく。その背をあえて止める必要もない。

「いいな、ノヴァはフレクトくんともワイアードくんとも仲良くって」

「冗談。シモンはともかく、ヒースとは仲良くなんてしたくもない」

「えーっ、ワイアードくんの方が格好良いのに」

 女子の自分についての会話は少し気になるが、盗み聞きなどしていてはノヴァに白い目を向けられる。組み合わせが完全に順位順である事は上から少し見ただけでわかった事だし、もう引き返すとしよう。


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