単細胞と少女(前編)
そんな少女から告げられた。
「この宇宙船内に入れてくれたら言う。けど、それを聞いた後、後悔しない?」
「これ以上関わったら死んでも逃れられないよ」
それでもイクは少女を宇宙船にと迎い入れた。
「あなたは私の事が知りたい。それだけの想いで入れようとしてくれている。けれど、もし都合の悪い奴だとしたら……どうするの……?」
先に中に入り、ドアが閉まらないよう力任せで押さえていたイクはすぐ答える。
『ぶちのめす。それだけだ』
「……そっか」
少女はイクが開けていてくれた入り口をくぐり宇宙船内に入った。
それを確認したイクは押さえるのをやめてドアを閉める。するとロックがかかり、壁のように変貌した。
「これでもう……私からは逃れられないからね」
『だからさっきも言っただろ。逃げないって』
「……」
細い一本道の廊下は白くて身を隠せる所は一つもない。
もしも敵が乗り込んできたようか……。
宇宙船に入るのにもロックが二つもあったから。宇宙の危険さを知っている。
少女はキョロキョロ周りを見渡しながら思った。
やっぱり、あなたに声をかけて正解だった。
口元をまた静かに、にっとさせる。
そんな少女にイクは声をかけようとした。
『じゃあ……』
が、背後にあるドアを勢いよく開いて「おーい!」とナルが声を張り上げて駆けてきた。
「イク!遅いから心配したぞ!」
『……すまん』
「すまんですまないときがある!だからいつも通信機は繋げたままにしておけって言ってるだろ!」
イクはナルから目をそらして少女に向ける
『……これ解いといて』
「え!?完全無視?!酷いよ!」
文句を言いつつイクが目を向けた方を見る。
するとたちまちナルは赤面させながら叫ぶ。
「少女を解剖?!!」
それに少女は顔を歪ませる。
『すまん……こいつは単細胞だから』
「よく敵にとどめさせたね……」
『僕が考えた作戦だったから』
「……納得しました」
イクと少女から冷たい視線を向けられるナル。
「痛いよ!その視線やめてぇー!」
イクはため息をしながらナルと少女に背を向けてドアに向かう。
「イク!解剖じゃなきゃなに?!」
ナルは追いかけることなく、イクの背中に疑問をぶつける。
「俺頭で何が何かって考えられない!」
『腕の中見てみろ』
そう言ってイクはドアを閉めた。
廊下にいるのはナルと少女だけとなってしまった。
「え……えっと、腕の中……?」
少女の目の前に体を向けて屈む。
そして胸の前で抱えている黒い物体に目を向ける。
もしかして、これの事?
「ちょっと失礼するね」
目を閉じてその物体に耳を当てるとカチッカチッと、不気味に時を刻む音がする。
これでナルはまさかと思い目を見開き慌ててその物体の蓋を取る。
すると、そこには絡まり合うコードがあった。
「爆弾……!?」
蓋を手から滑り床に落とす。
ガチャーン。
音が廊下中を響く。
それに少女は耳をたてる。
器具を持ち出さず素手で器用にコードを切っていくナルに少女はお構いなしに声をかけた。
「よく出来た構造ね」
それにナルは手を止めずに答える。
「え?爆弾?確かに入り組んでいるけどまかせて!これでも鬼械龍だから。直感勝負はまかせて!」
「……いやそうじゃない」
「え?」
「さっきの質問は無かったことに……」
「どうして!?俺気になって、誤って違うコードを切っちゃうかもよ?!」
「鬼械龍なのに?」
うぐっ。
ナルは完全に言葉をなくして黙々と作業を続ける。
こんばんは!マッキーです(。-∀-)
ネット小説を始めてから身が引き締まり、継続の大切さを改めて感じてきました♪
不定期&文字数がいつも1000文字ちょいで投稿していますがもっとあったほうがよい。など意見ありましたら遠慮せずに言ってください。
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どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
短編小説→初恋は白かった
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