岩の異能者②
岩男は顔を真っ赤にし我を忘れ、獣の様に襲いかかってくる!!
男は短く剃り込んである坊主頭で、つっこっんできた!
「わ!?」
リニアは避けると再び小さな岩山に頭から突っ込み、岩山が崩れる。
頭から血を噴き出すも、無我夢中で攻撃の手を休めない岩男に防戦一方のリニア。
その時!!
ドガドガドガ!!
岩男の異能力でリニアに岩が降り注ぐ。
うつ伏せで上半身を岩で固められ尽力を尽くすも身動きが取れない。
その頃、トキとレンは合流したもののリニアの姿を見失う。
「あいつ・・一人で異能者の所に行ってなきゃ良いけど!」
「見てよ!あそこ岩が集まってる!!」
「あそこだ!!」
急いで行くも、岩は降り注いで行く。
レンとトキは異能者リニアの姿を捉え下降していく。
異能者はリニアへの怒りしか見えておらず身動きの取れないリニアに突撃し、リニアの腹部に蹴りをいれる。
ドゴッ!!
「ああっ!!」
岩男の強烈なキックに顔を歪め、痛みに耐える。
「おらあ!!」
ドスッ!!
もう一発、同じ箇所を責める、先程の痛みと重なり、耐え難い痛みがリニアを襲う。
「~~っ!!」
痛みの余り言葉も出ない。
「いてえか?お姉ちゃんよ!!もう一発くれてやらあ!」
リニアは目を瞑り、再び衝撃が来るのを堪えて歯を食い縛る。
ベキッ!!
「!!!」
それは自分への攻撃ではなく岩男へだった。
「レ・・レン!トキ・・!」
岩男はレンの蹴りで豪快に吹き飛び、顔から地面に突っ伏す。
「うご・・!ぐはあ・・!!」
血ヘドを吐き、首を押さえる。
トキは急いで、リニアを救出する。
「大丈夫?リニアちゃん!」
「な、何とか・・これ付けてたから・・」
リニアは肩に付いてる緑の石に触れた。
これはハンターのみが持つことを許される、ストーン。
緑はハンター自身の防御を高める作用がある。
リニアは起き上がり、レンの背中を見て安心する。
岩男は、リニアの攻撃の非ではなく怒りを忘れ、目の前にいる男に恐怖心を抱く。
コイツはヤバイ!
岩男は野生の本能が働き、身の危険を悟る。形勢逆転した状態に、岩男のプライドはズタズタになる。
くそう!!こんな所で捕まってたまるか!
俺は・・俺は・・強いんだ!
俺の力とこの岩の力で・・弱い奴等を苦しめて、苦しめて苦痛に歪ませるんだ!、
「喰らえ!!」
岩男は、岩を操りレンの頭に岩をぶつける。
ゴンッと鈍い音を立てヒットするが、レンのバンダナが取れ、血が垂れただけだった
。
「いてえな・・」
レンのバンダナの下には大きな古傷があった。
岩男は驚き、震え出す。
「おおお前・・まさか、スクイードのいやスクイード様が殺せなかった、あの村の生き残りの一人か!?」
レンがその名前に反応し表情を変えた。
「知ってるのか?スクイードは今どこにいる」
「ひいいい!知らねえ!知らねえよ!」
岩男は完全に戦意喪失し、怯えている。
「リニア。こいつにフープを」
「う、うん・・」
リニアはわっかの様な物を出して岩男に潜らせる。
すると、フープが小さくなり岩男の体をぎゅっと締め付けて体の自由を奪う。
レンは少し考え込む。
そんなレンの横に立ち、バンダナを付けてあげた。
「ありがとう・・私一人じゃ無理だった・・トキもありがとう!」
「おう。怪我大丈夫か。」
「あはは、ちょっと痛い・・」
「もーリニアちゃん無理し過ぎ!早く戻って治療しよ!」
「あ・・待って・・」
リニアは辺りを見回す。
さっき逃がしてあげた家族が飛び出してきた。
「うわああん!お姉ちゃん大丈夫!?」
「怖かったよー!」
子供達が泣きじゃくりリニアにしがみつく。「もう大丈夫よ・・」
リニアは優しく抱き締める。
レンとトキは顔を見合わせ微笑む。
「あ、ありがとうございました・・」
父親はふらふらと歩きリニアに頭を下げる
。
「いえ・・私だけの力じゃとても・・あの・・それよりハンター本部に来て一緒に治療しましょう?」
「何から何までありがとうございます・・」
岩男を別室に逃げないよう乗せ、家族も一緒に乗せ本部に戻る。