岩の異能者
レン、トキ、リニアは急遽、本部の最上階に呼ばれる。
最上階は、ワンフロアになっていて、高級感のある赤い絨毯に360度の一面ガラス張りになっている。
上に行くと飛行船が停めてある。
ライトは、ほぼこの部屋にいるが、用が無い限り上層部の五人も入室しない。
こういう時は必ずや異能者関連だ。
指示を出すのは上層部唯一の女性アイリ。
艶のあるストレートの黒髪、同じく切れ長の黒い瞳、端正な顔立ちと彼女のオーラからか隙を与えない。
足を組むと際どいミニスカートに男性陣は皆ドキリとする。
さらさらの黒髪を耳にかけながらアイリが機械を巧みに操りながら口を開く。
「場所は入力した。後はこれに乗っていくだけだ!今回は岩を操る!岩を喰らわないよう気を付けろ!今回はしくじるなよ?レン?」
「分かってますって!」
「リニア、お前の能力を存分に活かせる相手だ。頑張って来な」
アイリはリニアの背中をポンと押し激励する。
「僕は?」
トキもドキドキわくわくしてアイリの叱咤激励を待つがアイリも言葉に詰まる。
「まあ適当にがんばれ」
素っ気ないアイリの言葉に背中を丸くし、飛行機に乗り込む。
自動操縦の飛行機は、猛スピードで目的地に一直線に向かってくれる。中の重力はまるで自室にいるように感じない。
三人は乗り込むとそれぞれ準備を始めた。
リニアはグローブをはめ気合い十分!
レンは剣を腰に装着する。
トキは銃を使うがあまり異能者相手には活躍した事がない。
今回も岩を操る奴だ、こんな銃じゃ弾かれて終わりだろう・・。
「ふふふ・・僕も頑張っちゃうよ!色んな弾を用意したんだ!」
「お前・・それ入れ替えるの手間じゃね?」
トキは今は気付き真っ白に燃え尽きた。
あっという間に目的地に到着する。
岩山に囲まれている。
下に降りると、視界も狭いし、不利か?
「どうする?降りる?」
「取り敢えず見付けるぞ!トキは操縦頼む」
「オッケー!」
トキは張り切りレバーを掴む。
闘いよりこっちの方が得意だ!
なるべく低空飛行し、様子を伺う。
「いないわね?逃げたのかしら?」
レンは神経を集中させ、人っこ一人も逃すまいと目を凝らす。
その時・・。
ゴゴゴゴ・・。ゴゴゴゴ・・。
地震の様な揺れと音が響く。
「わわわ!?」
トキが驚き急に方向を変えたせいで二人はバランスを崩し、転ぶ。
「いたあー」
「な、何かあったのか?トキ」
「見てよ!い、岩が集まってく!」
小さい小石がどんどんどんどん集まり巨大な岩へと変化していく。
「何よあれ!?」
レンはいち速く気配を察知し異能者を見付けた。
「あそこだ!」
レンの一声で二人は素早く反応し、異能者を発見する。
一人は頭から血を流して倒れている。
岩影に何人も人が怯えて隠れていた。
今正にとどめにかかろうとしている。
「トキ!下に下ろしてくれ!」
トキは器用に岩を避けつつ急下降していく。
異能者はこちらに気付き、にやり・・と不気味に笑う。
「邪魔すんなよ!ハンター共!」
ブン・・・!!
異能者は筋肉の塊の様な太い腕で巨大な岩を飛行機に向けて投げてきた。
「リニア!飛び降りろ!トキはこのまま進んでどっか停めろ!」
「分かったわ!」
「わわ分かったーー!」
リニアは軽い身のこなしで華麗に着地する。
レンは剣に光を保たせ構える。
「あん?剣で俺の頑丈な岩が壊せるかっつーの」
異能者は耳をほじりながら飛行機の様子を見ていた。
だが、背後にリニアはもう迫っていた。
「あれは異能者用の剣なのよ!」
「!?」
バキイ・・!!
リニアの拳が異能者の頬にヒットし男は尻餅を付き口の中を切ったようで血がボタボタと溢れる。
「レレレレン!もうこれ以上は前進出来そうにないよー!」
前から豪速球で迫る巨大な岩の塊。
後ろには岩山が列をなす。
「分かった!ここは俺が何とかする!」
「き、気を付けて!」
トキは岩山すれすれで機体を上空に飛び立たせ難を逃れる。
レンは、飛行機から飛び出し、剣を縦横無尽に振り乱す。
岩はスパスパと紙の様に切れ、細かくなtら石がバラバラと地面に落ちていった。
トキは飛行機の中でガッツポーズをした。
岩使いもその様子をみていて驚く。
「ちっテメーらハンターってのは目障りだなあ?なあハンターの姉ちゃん」