ハンター本部②
「本当よ!あんた結構ギリギリなんでしょー?新人のあたしたちと組まされてる位だし!」
面倒見の良いリニアはレンのマイペースさが、心配になる。
「お前らと組んでるのとはあんまり関係ないけどなあ」
当のレンは、あくまでもマイペースに他人事の様に呑気だ。
「まあ、僕はレンとリニアちゃんなら気が楽だけどねー」
平和主義者のトキは、レンがこのままの方に賛成の様だ。
レンといれば、自分の身も保障されるし願ったり叶ったりである。
「トキは何でハンターになったの?こういう面倒なの嫌いそうじゃない」
「僕はレンに誘われて何となく。リニアちゃんはお父さんがハンターなんだっけ?誰?」
「お前知らねえの?リニアの親父」
「へ?僕の知ってる人??」
すると廊下をドタドタと騒がしく足音を立て、隣のリニアの部屋を豪快に開け、リニアを探す声が聞こえてくる。
「あの五月蝿いのがうちのお父さん・・」
何をするにも、騒々しい実の父親に溜め息が漏れる。
「ええーー!?オリオンさんー!?」
リニアの父はハンターの上層部の一人である。
超実力者の一人。
トキの悲鳴にも近い声に反応し、こちらの部屋を壊れる位豪快に開けた。
その風貌は、見ただけで竦み上がる程の筋肉粒々の巨体な男。
「リニア・・!!」
リニアを見付けると殺気が二人に向けられた。
「ひい!!」
トキがレンの後ろに隠れ怯える。
「お前らあー!?うちのリニアをこんなむさ苦しいところに連れ込んで何考えてやがるうー!!変な物を見せたりしてねえだえだろうなあー!」
一同反射的にエッチな本の山に目を写してしまい、オリオンの目にも入り、リニアがきっちり束ねたのに紐をちぎりバラバラにする。
「何だこれはあ・・」
「い、いやその・・」
オリオンは言葉も聞かず本を一冊取りだし、パラパラと捲り、読みふける。
「これは俺が預かる!!」
鼻血を出したオリオンからは何の説得力こなく、リニアの怒りの鉄拳が降り下ろされた。
「もおーーお父さんのバカ!」
リニアは隣の自室に戻ってしまった。
「あーぁ・・」
「お前らのせいだ!リニアに嫌われちまったー!」
大の男が娘の事で一喜一憂する、オリオン。少々過保護な性分らしい。
「この際だから言っておく」
レンとトキは顔を見合わせ取り敢えず話に付き合う。
「リニアはとーーーっても可愛い!!お前らもそう思うだろ?」
「は、はあ・・」
「それは思いますよー!」
「だろう?お前らなら大丈夫だと思うがリニアに絶対変なことするなよ!もし・・変なことしたら俺がただじゃおかねえ!」
目が血走り必死に訴えてくるオリオン。
「特にレン!!お前だ!!」
「何で俺なんすか?トキじゃ・・?」
「フッ・・ぼくは紳士だからだよ?レン・・」
変にキラキラしてくるトキを無視しオリオンに不平を漏らす。
「俺別に見境なく手出しませんよ?」
「・・・とにかく、お前だ!リニアがどんなに可愛くても手出すなよ!分かったな?」
顔面が間近に迫るほど念を押してくるオリオンに後退りするレン。
「うーん・・変なことしなきゃ良いんですね?」
「そ、そうだ!リニアを悲しませるなよ!
」
「そりゃあ、あんな強くても女ですから、泣かせるようなことはしないつもりですよ!何かあれば全力で守ります!」
二人はポカーンと口をあけレンを見るとレンには分からないアイコンタクトをし合う。
「??」
「わ、分かりました。僕が責任を持って二人を見守りますからご安心下さい」
「任せたぞ!トキ!!」
肩を組み合う二人に口を尖らせるレンにはさっぱり意味が分からない。
オリオンは清々しい顔でリニアの部屋に戻っていった。
「な、なんなんだ?」
「まあまあ、それより次は手柄立てようね!僕も頑張っちゃうよ!」
「そうだな・・俺は暫くは三倍の訓練を頑張らねえと」
途方もない、労力を費やすのに、いつか仕返ししてやると心に誓うレンであった。