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異能者ハンター  作者: 暖雪
異能者ハンター本部 A級編
2/20

ハンター本部

 手の平をウィードに向け、下がってろと合図すると、不安そうな目で歯を食い縛り下がる。


レンは、巨大なトルネードに向き合い、表情を引き締めた。


刀を持つ腕に力を入れて、握り直す。


やはりこの剣が俺には一番しっくり来るな・・。


レンは全速力で正面からビッグトルネードに向かっていく。


ウィードはその瞬間、レンの動きから目が逸らせなくなった。


俊足で勢いを付けたまま、愛刀を頭上に掲げ、大振りに降り下ろすと、すかさず腰を下ろし、左斜め下に剣先を引き、一瞬溜めた後に右に太刀を半円に斬り込んだ。


ビッグトルネードに正確な十字が描かれ、人間の両手両足を封じられた様にピタリ、と止まり竜巻は跡形も無く消えた。


痛々しい村の惨状だけがそこには残った。



剣をただの棒に戻し、ベルト式のサイドポケットに大事そうにしまう。



ウィードは悔しさの余り歯をギリギリと食い縛り、レンを凝視していた。


俺の編み出した大技を消しやがって、くそっ!あんな簡単そうにしてやがるが、あの無駄のない動き、瞬発力、集中力、それでいて冷静だった・・、昔は俺の方が上だったのに・・レンの奴!!




いつも俺の邪魔しやがる。


こいつといると調子が狂う・・。


こいつは俺様の恐ろしさを全然分かってねえ!!


ウィードは心の中で、叫んだ。



「レン!!!」


レンの目の前に人差し指を付き出し、ウィードはプルプルと肩を震わせた。


「次はぜってーてめえをぼろ雑巾にしてやる!覚悟しとけよ!」


威勢だけは良く、言い終わると鼻息を荒くし顔を真っ赤にし威嚇する。


「おう!」


当のレンはけろっとした様子で笑って見せた。


その様子が気に食わず血管がブチキレてしまいそうだったが、殴る気も失せて風に乗り空に浮かぶ。



リニアとトキも足早に駆けてくる。



鼻をふんっと鳴らし、不貞腐れた態度で風と舞い上がって見えなくなった。




「あーあ、逃げちゃったねー!」


まるで逃がす前提だったかの様に表情が緩いトキ。


リニアも何も言わず溜め息を付く。




「あ・・あの!?」


そこに先程リニアが助けた村の女性がマーシャル息を切らしかけてきた。


トキは顔をキラキラとさせ、女性が来るのを格好つけて待つ。


「お礼なら大丈夫・・」


トキの脇をすり抜け一直線に目指したのはレン。


リニアの眉がピクリとひきつる。


レンの右手をギュッと力を込め両手で包み、瞳をうるうるさせ、あつーい視線で見詰める。


「ありがとうございました・・是非お礼をさせて下さい!!」


女性の至近距離での圧力に思わず腰が引けるレンだったが左手もギュウッと握られ距離も縮まってしまい逃げ道を失う。


「い・・いや俺は何も・・」


「そんなことを言わずに!!二人っっ・・きりでお礼がしたいんです!!」


逃げ腰になる一方で、女性の積極的なアプローチが続き、言葉に詰まり困り果てる。


トキは指をくわえ羨ましそうに眺める。



突然グイッとものすごい力で腕を引っ張られたかと思うと見慣れたポニーテールが揺れていた。


「お礼は本部から貰わない様に言われてますから!それと、助けた私にも結構ですので!!」


リニアの一言にあんなに迫力のあったが一瞬怯み、口をつぐむ。


「行くわよ!」


その場にいた全員がリニアに逆らえず揺れるポニーテールの後に続く。


「助かったーリニア」


ようやく息をつくレンにリニアは無言で圧力をかけ、黙らせた。


「??」


訳が分からないレンの肩をポンポンとトキが叩き頷く。



リニアの機嫌が終始直らないまま本部に戻る。



ーハンター本部ー


ハンターを目指す者の憧れの場所。


訓練所にて厳しい訓練、試験に受かった者しか出入りを許され無い、いわば登竜門。


リニア、トキの二人は新人ハンター。


レンは特別例で異例の速さでハンターになった逸材。


ハンターにもランクがあり、リニア、トキは新人の割りには有望でCランク。


レンはAに分類される。


その中で五人のSSランクがハンター達を纏あげている。


更にその上のトップに君臨する男。

女性顔負けの美しい容姿を持ち、実力は想定外。

この男はハンター最強と言われている。


その男ライトが今目の前に座っている。

三人は膝まづき頭を下げた。


ハンター最強の美男子は、鋭い目付きで三人を見据えていた。


「あ、あの?」


トキがおっかなびっくり訊ねると、ため息と共に、美しい翡翠色の瞳は閉じられ長い睫毛が下瞼に覆い被さる。


再び瞳を開くと、不機嫌さを露にする。


「お前ら、風使いを逃がしただろ?」


ライトの鋭い指摘に内心ギクッと胸を抉られる感覚になる。


「い、いや・・僕達は・・」


ギロリ・・と無言のプレッシャーでトキを黙らせ、レンに目でお前が答えろと合図する。


トキとリニアが心配そうにレンを見た後、うつむき押し黙る二人。



「わざと俺が逃がしました」


レンは正直に白状する。


トキとリニアはバカーっと口パクで非難する。


「ほお・・黙認した、と言う事か・・」


ライトの機嫌がみるみる悪くなっていく。


口元がぴくぴくしてひきつっている。


「あいつは、他の異能者とは違います。なので改善の余地があるかと思います」


レンの発言が終わるもライトは無言のまま、眉間に皺を寄せ口を一文字に結ぶ。


「リニア、トキは下がって良い」


リニアとトキは問答無用に部屋を出される。


ライトは二人が部屋を出ると一息つく。


「レン・・私はお前ならとっくにSSレベルになっていてもおかしくない。私はお前と組むのを楽しみにしてるんだ。ウィードはお前の同郷だからかも知れんが情は捨てて貰わんと困るな」


「・・・・」


「レン。私は、いや、我々上層部はお前をかっているのだ、お前の故郷と身内の話も差し引いてもお前は信頼している。もう少し大人になれ」


「・・・はい」


「・・面白く無さそうだな?次は無いぞ?レン・・」


「正直に言っても良いですか?」


戒めのつもりが、思わぬレンの発言にライトは目を開き驚くが、直ぐ様冷静さを取り戻す。


「なんだ?」



「俺は異能者だからって、捕まえるだけが全てじゃないと思います」


「・・・」


「人の役に立つ奴もいると思います。俺たちには出来ない事も出来てしまいますから」


「それで、何か起きてからでは遅いのだ。お前の話は甘い!少し頭冷やせ!!明日からの訓練を三倍にしておいてやる」


「ええー!?三倍!?」


「階級を下げないだけありがたく思え」


レンはライトに黒い尻尾が見えたような気がした。



レンは不貞腐れ気味に部屋を出ると二人が待っていた。


「聞いてたな?」


二人は笑って誤魔化す。


寮に戻り、レンとトキの相部屋に集まる三人。


男だけで生活してせいか不精になってしまい、散らかし放題だ。


「もー片付けなさいよー!」


リニアがテキパキと片付け始める。


「あ、リニアちゃん、その辺まずい・・」


「きゃあああ!?」


大量のエッチな本が出てくる。


「サイテー!」


「お、俺のじゃねえよ!!」


ジトーッとトキを冷たい目で軽蔑する。


エロ本を纏められてしまう。


「レンにも貸したじゃないか!僕のコレクションが・・」


半べそをかく。


「あんなのあんたも見るの!?男って本当スケベね!どーせすぐほどいて見るんでしょ!」


「男は皆エロいだろ」


「イヤアー!信じらんない!」


あっという間にリニアにより部屋がピカピカになる。


「助かったよ!リニアちゃん」


「これからは片付けてよ?」


レンは早速寛ぎ欠伸をする。


「寝ないでよ!」


レンの脇腹をツンツンつつく、レンは脇腹が弱くくすぐったがる。


「やっ止めろ!起きるから止めろ!」


「しかしさーレンも命知らずだよねー?あのライトさんに意見するんだもん」


話題は二人も気になっていた、先程のレンとライトのやり取りだ。

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