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お師匠様は私の嫁です  作者: 稲田 優
エルミニア編
13/21

【12】

12話目です

昼間はその人通りの多さに賑やかな声が聞こえるが夜には人が通ることも少なく無音と言ってもいいだろう、そんな中ベンチに腰掛けて空を見上げるアリアはその幼さには考えられない程の誰をも魅了するであろう美しさがあった、男女関係なく、それがましてや昼に本心じゃないとしても嫁と宣言され、裏庭に通じる通路の影からひっそりと話しかけるタイミングを伺っているエリーヌは思いきり意識してしまっていた。


(話掛けても大丈夫なのかな、でもアリアも一人になりたいって言ってたし、でも心配なのは心配だし、ここは思いきって話しかけた方が…あぁもうカミラのせいで余計意識しちゃう…や、やっぱり来なかった方が良かったかな、ど、どうすれば…)


「エリーヌさん?」


「ひ、ひゃい!?」


話しかけたのは今まさに話しかけるかどうかを悩んでいたアリア本人だった。


「あ、アリア?、どうしてここに!?、じゃなくて、どうしたの?」


「わたしは今からお話しに行こうとして…ですかね?エリーヌさんこそどうしてここに?」


「ぇ、ええと、その、あの…あ、アリアが心配で…」


幸い辺りが暗いので顔が真っ赤なのは気づかれていないだろう。


「もう大丈夫ですよ、ありがとうございます、では戻りましょうか?」


「う、うん」


-----


2人はリビングに戻りエリーヌとカミラとは対象の反対側にアリアは腰をかけた。


「先程は取り乱してしまってすみませんでした」


「大丈夫ですよ、色々訳ありでしょうし」


ありがとうございますとお礼をし、アリアは話し始める。


「わたしの家、つまりリアリズム家はエルミニアの王族…というのはフィアから聞きましたね、リアリズム家は先祖代々魔術が使えない家系なんです、わたしのお父様も魔術を打ち消す事が出来ました、しかしこの力を使いすぎて少しずつ神経が麻痺し、両手両足が使えないんです、そしてお母様は…同じ力を使えると思わたんでしょうね、私が5歳の時に誘拐されたのですが、力がない事がバレて殺害されたと聞きました、妹はその事がきっかけで部屋にこもるようになり、お父様はわたし達を束縛するようになりました、わたしの家族はバラバラになったんです、この力のせいで…」


「……それで弟子入りをしようと思ったんですね」


「はい、何度もいう通りわたしの家は王族です、この力の事が知られたら悪用しようとする者がやってくるのは目に見えています、それにわたしの国は戦争には加担していませんし、エリーヌさんみたいな才能がある人もいません、だからはわたしは自分で調べたんです、当時八歳だったわたしは衝撃を受けましたよ、わたしとたった二歳しか違わない人が魔術師検定に受かるだけではなく魔術師であれば誰もが憧れる称号を手にしたんですから、それも隣の国、すぐ近くでです、わたしはその人物の居場所を探し始めました、すぐに特定することも出来ました、しかし弟子入りするのは10歳からと定められている限りわたしには二年間怯えて暮らし、ただ耐えるだけの日々でした、やっと今年10歳になったわたしは家を抜け出し、ここにやって来ました、当然メイドや執事、もちろんフィアの監視も厳しく抜け出す事はしんどかったですけど、抜け出したあとは列車に乗りこの国に来ました……わたしと一緒にいるということは力の事が公になれば死と隣り合わせということに繋がります、もちろんお二人には弟子を解雇する権利があります、ですがわたしにはもうエリーヌさん以外に頼れる人はいないんです…お願いします、わたしを弟子を続けさせてください」


頭を下げるアリアだが、解雇される事は覚悟の上だった、人は危険な事を避けたがる生き物だ、人だけではないどんな生き物でも危険より安全な方がいいに決まっている、しかし二人の反応はアリアの考えとは180度違っていた。


「どうします?エリーヌさん」


「どうするもなにも…もう弟子入りしちゃってるし、今更やめるなんて言われても迷惑だよね」


弟子解雇という言葉に対し、エリーヌは少し不機嫌そうに見える。


「…解雇しないんですか?」


解雇はしない、それがエリーヌ達の答えだった。


「…えと…その、あ、ありがとうございます」


大丈夫と言いながらなだめるエリーヌだが、なかなか顔を上げないアリアだった、泣いているのを悟られないためだろうかは定かではない。


「しかし問題はこれからですね、アリアさんの話によれば束縛する父、ということはアリアさんと連れ戻しに来るはずです…力づくでも」


「追い返すよ…何をしてでも、今は私の弟子だからね、私が守らないと」


------


「…以上がアリアからの伝言です」


少女が語りかける人物からの反応は一つたりともない。ただ一度指が微かに動いた程度にしか見えなかった。

毎度ながらありがとうございます!

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