クリーチャー
「お姉ちゃん……」
「えへへ。ショウがどうしてるか見にきちゃった!」
そう言って姉が手にしているのは……俺の丸秘ノート!
「あっ、それは……!」
俺が書いた小説を姉は淡々と読み上げる。
黒く長い髪に、白地に青色の雲のような模様の入った浴衣を着ている姿は母を思わせる。
「やめっ……うっ!」
たぶん、世界中の姉を持つ弟の最大の敵は姉というクリーチャーである。
その姉は母親譲りの超能力を持っている。まさに鬼に核ミサイルだ。
テレキネシスを使ってこられて、あせって自分もテレキネシスが出せない。
「男の子なんだからエロ本くらい持ちなさい。」
どうやら室内をあらかた物色したらしい。
だが、パソコンの中まで見られたわけじゃなさそうだ。
惨めな格好で宙に浮かされて、小説を読まれて、念動に集中できないない。
「その男は言った『君のことが好きだったんだぜベイベー』」
やっと解放されたときには目に涙が浮かんでいた。
と、突然姉が瞬間移動で俺の首に手を回してきた。
しまった
と思うが後の祭りだ。
「ふぅん、パソコンの中にあるんだ。」
見事に考えを読まれてしまった。
この世の終わりを覚悟せざるを得なかった。