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花見
ダメだそこに行ってはいけない。
「ショウ!」
目の前が黒と赤のコントラストを描き、彼女がスローモーションで川面に落ちていく。
あんなに綺麗だったピンクの絨毯はみるみる真紅に染まっていく。
まるで彼女が水に溶け出したかのように……。
「ショウ!」
「ショウ!」
ハッと我に返ると、目の前にはピンクの絨毯があるだけで、どこも赤く染まってはいない。
「ああ、ユウか」
「なんだよビックリさせんじゃねえぞ。おまえ、さっきまでめっちゃすごい顔でうなってて怖かったぞ。大丈夫か?」
「いや、なんでもないんだ。それより戻ったんじゃないのか?」
「ばっか、おまえが戻るのが遅かったから心配して探しに来たんじゃねえか。」
「あ、いたいた、うわすごい」
「ハスキー君なにしてたの?わあ、こんなに花びら積もってたんだ」
それから四人で桜並木の下を歩いて、一通り桜を見て花見を堪能した。