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夜明け
朝日が昇り、カーテンに日の光がにじむ。
ユウはまだ狼男の姿だったが、寝息を立てて寝ていた。
毛布をユウにかけて自分もその場に倒れこむ。
しばらくして父が何も言わずに自分の部屋に入り、自分をベッドに運んでくれた。
普段は口を真一文字に結んで滅多に顔を崩さない父が顔をほころばせている。
そうして頭を大きな手のひらで包んでなでてくれた。
もうそんな歳じゃないのに、うれしくて、安心して、徐々に眠気に誘われていく。
自分が一晩眠らずにユウに付き添ったことだけではなく、過ちを認めて許してくれた、そんな風に感じて安心した。
「お疲れ様」
それが、眠りにつく前に、薄れる意識の隅に留めた最後の記憶だった。