町
「退院おめでとう!」
ハヤトを含む魔法課の人達が退院祝いにきてくれた。
「これからどうする?」
ハヤトは俺に尋ねる。
俺は人の姿になる。
「この町を見てみたい」
町には昔ながらの瓦屋根の日本家屋と洋風の建物が入り混じっていて、なんら自分のいた世界と変わらない町並みがそろっている。
ただ、人々の半数以上が和服を着ていて、洋服姿の人はあまりいなかった。
「この国の人達は俺の国と違って和服を着てる人が多いね」
「そうだね。仕事以外の私服は和服って人が多いよ。俺もたまに私服は和服だよ」
まるで少し前の時代にタイムスリップしたみたいだ。
「なにかおみやげに買って行っていい?」
「手荷物程度ならオッケーだよ」
自分の世界にあるものが半分くらい、それ以外では魔法関係のものが並んでいる。
「これはなに?」
「魔力を込めると……浮くんだよ」
「あはは、俺には無理だな」
町の散策は楽しかった。
「ここの店の丼がおいしいんだよ」
「ショウ、どうだ? 楽しかったか?」
「うん、すごく楽しかった」
「まだ見せたいところがたくさんあるんだ。今夜は俺のうちに泊まっていけ」
「じゃあ、そうしようかな」
ハヤトの家は高層マンションで、広い1LDKだった。
「荷物はリビングの適当なところに置いていいよ。少し休んだら晩飯行こう」
晩飯までまだかなり時間があったから、ハヤトは買ってきた魔法のオモチャを広げて遊んでみせた。
魔力を与えると動いたり、自立したり、別れたりくっついたり面白い動きをしていた。
俺も手にとって触ってるうちに時間は過ぎていった。
おいしい晩飯を食べた後は、また少し休憩して、その間はこの世界の文学に浸った。
ハヤトは見せたいものがあるんだと行って、俺はハヤトの後についていった。
マンションの屋上に出ると、ハヤトは巨大なハヤブサになった。
「背中に乗って。魔法で落ちないように固定するから大丈夫」
風を切って夜空を飛ぶ。いつか見たあの光景――
「どうだショウ、気持ちいいだろ。ん? どうしたショウ」
「うん、昔の友人を思い出したんだ――」




