神話
「『その昔、古代人は神に抗うため、高度に発達した科学力を使い、神を支配しようとしました。神はこれに怒り、大気中に魔力を満たして、人に傲慢さを思い知らさせるため、傲慢を影にして人に襲わせました。そして高度に発達した巨大な文明は滅び、自らの行いを悔い改めた者に魔力を与え、永久に傲慢にならないように影との戦いを宿命付けさせたのです。』これが西洋で広く知られている神話の基礎部分。」
「ほへ~。じゃあ俺は傲慢ってことなのか?」
「住む世界が違うから、それは無いと思うよ(笑)」
ハヤトは壁画の写しを数枚ベッドの上に広げて言った。
「これはロボットで、これが巨大空中都市。この巨大な光は神で、これが古代人。そしてこの黒い人型が影。」
「なんかすごいね。もし本当だったとしたら、俺達もロボット作れるのかな。遺跡とかあるの?」
「残念ながら石柱が数本発見されただけなんだ。想像で描いただけなのかはわからない。」
「日本では?」
「神と人の禁断の恋によってできた邪が、人になるために人を喰らうもののけとして書かれている。そのほかにも細かい派生がある。共通して書かれているのは影が人の姿だってこと。それらを退治するために神に生贄をささげたり、嫁入りさせたりしている。影は疫病の発生源ともとられていたらしい。」
「実際に効果あったの?」
「あったりなかったり。それで呪術師や霊媒師的な人がお払いとかをして退治していたらしい。」
「ふ~ん。なんかとても神秘的。」
「こういう話って好き?」
「実際に神の使いと囲碁してるからね。気になるんだよね、人知を超えたものって。」
「えっ? 囲碁?」
「うん、毎年やってるの。」
「いいなあ。どうやって親しくなったの?」
「そういえばどうしてだろう? 俺自身は父さんや、おじいちゃんに連れられてだけど、おじいちゃんは外国人なのに……。」
「ぜひショウのおじいさんに会って、親しくなるコツを聞きたいな。親しくなったらこの世の仕組みとか聞いてみたい。」
「神さまに会えるかどうかはわからないよ。俺も一度も会ったことないし。」
「それでも確かめてみたいなあ。」
ハヤトの目は輝いていた。
まだハヤトも子供なんだなあ。




