魔法課
「こんにちは~。お見舞いに来ました~。」
「しつれーしまーす。」
私服で来た若い女の人は緑川と同じく金髪で、緑川のショートヘアーより少し長く、前髪を真ん中で分けている。髪以外は純日本人顔で、めちゃくちゃ笑顔だ。
一方のスーツ姿の若い男は黒い短髪で、日に焼けたのか顔の肌は浅黒く、仏頂面をしている。女の人より少し背が低いが、体つきがよくて大きく見える。
「わ~、めちゃくちゃかっこいい! 本物のオオカミだ!」
男とは対照的な明るい雰囲気に気おされ、とっさに横を向いてしまう。
「おいめちゃくちゃビビってるぞコイツ。あんまり近づいてやるなバカ。」
「私バカなんかじゃないよ。」
「いいや、バカはバカだバカ。」
男はそう言って女の人の眉間を一指し指でつつく。
「初めての人と仲良くなる方法あるもん。」
「またいつもの奴か……。はあ……。」
男が頭に手を当ててうなだれる。
女の人が手提げバックからコンパクトを取り出して呪文を唱える。
「トランスフォア、トランスフォア、犬になれ~!」
服が粒子状にパージするが、体はピンクの光に包まれて見えない。
それからピンクの光からゴールデン・レトリバーが飛び出してきて、俺は押し倒される。
俺の上にまたがってきたその犬はまじまじと俺の顔を見る。か、かわいい。大判の赤い生地の、チェック柄のスカーフがかわいさを引き立てる。それにいい匂いだ。仰向けになってる恥ずかしさからか、妙にドキドキする。
「おい、サヤ、さらに追い込んでどうする。」
サヤと呼ばれる人は無視して魔法で俺にしゃべりかけてきた。
「ねえ、どぉこの姿? めちゃくちゃ研究したんだよ! 」
「あ、あの、どいてくれますか?」
かろうじてそれを伝えると、二人とも驚いた反応をする。しばらくして、
「ああ、すまんすまん」「わわっ」
サヤは男の指した一指し指に合わせて、宙を移動する。サヤは必死で両脚をバタバタさせる。
「そういえば自己紹介まだだったな。俺らは警察の魔法課の刑事。俺の名前は大門吾郎。んで、こいつは同じ部署の佐藤彩香。」
「あいてっ!」
佐藤さんは宙から落ちてアゴを強打する。
「どんくせえなアホ」
「アホじゃないもん……」




