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夏祭り

毎年恒例の夏祭りが始まる。大神様を祭る儀式で、オオカミをかたどった山車を担いで街中を練り歩く。


オオカミはリアル調だったりデフォルメ調だったりしておもしろい。それからオオカミと狩りをした伝説の狩人やら、豊作の象徴である野菜や豊作祈願の俵なんかが山車になる。


んで、俺はその俵の上に乗せられることになった。なにしろ学校の先生や友達やじいちゃんたちが口々に乗れというものだから、乗らざるを得ない。


狼男ということは秘密なはずなのに、祭り好きのじいちゃんは乗らないのか?としつこく聞いてくる。


そんなわけで「神様の使い」として一番大きな俵の山車の上に乗ることになった。


正直言って恥ずかしいってレベルじゃない。きっと写真撮られて地方紙にデカデカと載るんだろうな。たぶん、一ヶ月くらいその話題に耐えなきゃならないんだろうな……。


「おーい!顔固まってるぞ!高いところ怖いのか?」


高いところはコウジのおかげで大分慣れている。そうじゃなくて、どうせおまえらの笑いのタネになるんだろうなと考えているのだ。



お囃子が聞こえ、山車が動き出す。踊りを踊る人たち、楽器を演奏する人たちが山車と並んで歩く。


大勢の人で歩道が埋め尽くされているのを見て緊張がピークに達する。


だが屋根や山車の上で、祭り好きの幽霊や妖怪なんかが滑稽な踊りを踊っているのを見て、笑いがこみ上げてくる。


その踊りを見るためにさらに幽霊や妖怪が集まっていて、街には不思議な空間ができていた。


去年まではこんなにたくさん集まるのを見たことがなくて、ほんのちょっぴりだけ山車の上に乗れてよかったかもと思った。


どこか遠くで遠吠えが聞こえる。この声はポチのだ。俺は立ち上がり、ポチに遠吠えを返す。


今日は綺麗な弓張り月だった。


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