流れ星
「どういうことだよおい。」
ヴァンパイアが六体も俺達の目の前に現れた。
「寺田先生を呼んできてくれショウ。」
俺はオオカミの姿になり、寺田先生の家へと走る。
ショウが走ったのを確認すると、俺は気を練り身に纏う。
六体だけならなんとかなる。竜人の姿に変身してヴァンパイアに単身で挑む。
ヴァンパイアに能力はない。一体目を右の長剣で叩き切る。だが、ヴァンパイアは粘土のようにやわらかく、剣を飲み込む。相手に武器を奪われないように剣を粒子まで分解する。
左と後ろから二体同時に襲って来るのを、左の短剣で心臓を一突きし、尾でぶっ飛ばす。
短剣を突き刺したヴァンパイアが突然膨れ、爆発する。気の密度を上げる前に爆発をもろに食らい、横に吹っ飛ぶ。
激しい痛みに気を失いかけるが、なんとか留まり受身を取り立ち上がる。
左半身のほとんどが爆発で吹っ飛ぶが、回復速度を大幅に上げ再生させる。
気を腕と足に集中させ、残りのヴァンパイアの懐に飛び込み、両手で二体を裂き切り尾で一体を叩き潰す。
向かってきた一体の喉元に食らいつき首を引きちぎる。食らいつくときに触手が絡みついてきて、全身を絞めてくる。
さっきの粘土のような能力を持つヴァンパイアが俺の体に抱きつき溶ける。
溶けたヴァンバイアの体が顔を覆い呼吸ができない。
「やっと捕まえたよ。まったく、てこずらせやがって。僕の大事な実験体が四体もやられた。」
寺田先生の声だ。まさか、そんな……。
「コウジ!」
俺は横たわるコウジを助けるため、ヴァンパイア二体へ突っ込もうとするが、肩に手をかけられ止められる。
「待て、ここは俺がなんとかする。」
大神シンヤ。俺のいた街でのヴァンパイア退治の担当で、父親の親友でもある。
大神シンヤは変身せずに、武器も持たずに飛び込み、一体は拳を食らい粘土みたいになったがすぐに粉々になり、もう一体は心臓を握りつぶされる。
俺はコウジの元へ駆け寄る。「コウジ!コウジ!」
大神シンヤはコウジの胸に手を当て「仮死状態だ」とだけ言った。
「一体どうしてヴァンパイアが六対も?」
「この街の担当は?」
「まさか――」




