見舞い
「ハスキー君!」
「緑川、苦しい……」
「えへへ……」
「いや、絞まってる、絞まってるから!」
「泣くな、泣くなっての!俺大丈夫だから!サンケツになっただけだから!」
「おーい、ショウ!」
「兄ちゃん!」
「ショウ、大丈夫か、怪我ないか?痛いところあったら五十嵐院長に言うんだぞ。」
「うん、うん、大丈夫だってお父さん。」
「はいこれお見舞いのぬいぐるみ!それからエロ本も……。」
「う、うん、ありがと、姉ちゃん。」
家族っていいなあ、としみじみ思う。
「ショウ、ショウ」
「おじいちゃん!おばあちゃん!」
母方のじいちゃん、ばあちゃんは神社の神主と巫女をやってて、父方のじいちゃん、ばあちゃんは畑をやってる。
父方のじいちゃんは今、鹿を狩りに山に出てるからいないらしい。じいちゃんは野生に戻るんじゃないか?
俺はといえば、まるでご利益があるかのように撫でられて禿げることを心配した。
まあ、この土地には狼信仰が根付いてるから、俺がオオカミの姿でいても誰も変に思わないだけありがたいけど……。
夜は彼女と一緒に車内で寝た。
本来ならお楽しみの時間のはずなのに、怪我のせいで何もできなかった……。




