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女奉行捕物帖  作者: 浅井
科戸の風ぞ吹きはらはむ
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教祖曹乙

 大阪湾に陽が沈みかけた午後、大量の書類を抱えた平八郎が奉行所の廊下を歩いていると組下三人が奉行所に戻ってきた。


「それでどうだった?」

「ええ。色々と聞けました」

「それじゃ、まずは又兵衛、報告してちょうだい」


 書類を脇に置いて平八郎が言うと、又兵衛は目つきの悪い厳つい顔を緩ませて凶悪そうに微笑んだ。


「やっぱり町人らは、連中をかなり恐れとります。話を聞こうとするたびに『何か罰が下るんじゃなかろうか』とか『喋ったらすぐにヤツらがやってくる』とかっていって正直に話そうとしてくれませんでした」


 事前からの読みは当たっていたようだった。町人達は新光門を恐れていた。


「まぁそんなところよね。それで、又兵衛はどこを探ってたの?」

「堂島から天満までの北っ側を探しとりました。とはいっても連中は均等に現れとるようです。どっか一地域に固まっとる訳やないな」


 事前の協議で効率よく探るために捜索範囲を三つに分割した。北から順に堂島・天満を又兵衛、堀江・長堀を三郎、心斎橋・日本橋を主税が担当していた。


「そうやな。ワシんところも又兵衛と同じやな。どこかしこにおったって聞いたで」

「意外と行動範囲は広いのね。連中も地の人間だろうし報告があってから駆けつけるってのも厳しいわね」


 大阪は広い。北から南まで直線距離で三里ほどはある。新光門だって大阪の人間なのだろうから、奉行所の追跡をまこうと思えば簡単にまけるだろう。

 しかし、それ以上に平八郎を困らせる案件があった。


「それに、連中は特段何かやってる訳でもありません。ただ、新光門の門徒を増やそうとしとるだけのようです。何十人に話を聞きましたが、脅されたとかそういうことは無いそうや」


 三郎の話によると、新光門に特別に何かされたという話は無いという。

 何かされたと言っても、囲まれてしつこく話しかけられたくらいのもので、無理やりしょっ引いてやろうにも弱すぎる事案だった。


「……連中は気味悪がられてるだけで実害らしい実害は無いし、それを無理やり捕まえれば私たち奉行所の名が下がる。どうしたものかなぁ」


 平八郎が唸りながら首を傾げていると主税が口を開いた。


「私からも報告があります。活動を終えた新光門の連中は、こぞって四天王寺の方へと帰って行ったそうです」

「ほう、連中は四天王寺の辺りに拠点を構えてるんか」

「そうや。天神町から天満橋を渡って南の方に帰って行ったってゆうとったからな」


 主税と三郎は言う。


「あの辺りは寺社が多いからそうかもしれないわ。明日辺り、探りを入れてやらなきゃね」

「そうやな。手を拱いてたって埒が明きまへん。連中の本部を見に行けば何かあるかもしれませんしな」

「とりあえず動くのが大事だからね。それじゃ、明日は本部を狙うわよ」


 平八郎は意気込むと、置いた書類を運ぼうと立ち上がった。

 その時だった。背後で又兵衛と三郎が声を上げる。


「そういや、連中の親玉はどんな顔をしとるんか」

「せやなぁ。確かに気になるなぁ」


 ボソボソと話しあう二人は首を傾げて言う。

 平八郎と主税は教団の親玉らしき人物と会ったが、この又兵衛と三郎の二人はそれすらも見たことも無い。


「この手の連中の総大将ってのは、脂ぎった顔に垂れ下がった眉と頬、小太りで禿げ散らかした頭をしとって女を侍らす好色親父ってのが相場やな」

「それか、平べったい顔に胡散臭そうな髪型の顔立ちが多いな。んで、年がいも無く両手に女を侍らしとる親父や」


 三郎と又兵衛が盛り上がっているのだが、平八郎と主税は冷静に切り返した。


「でも、それらしいヤツに私たちが会ったけど、そんな感じでは無かったよ」

「平八郎様の言う通りやな。歳は三十そこらで、無駄に澄んだ眼をしとったな。それにタッパも相当あったで。少なくとも三郎よりかは高かったかもしれんな」


 平八郎と主税が冷静に返すと又兵衛はつまらなさそうにする。


「なんやなんや、つまらんなぁ。想像通りの方が対処のし甲斐があったんやけどなぁ」

「思い残さずにぶったたけるからな。とはいえ、逆に美女が率いてたら面白いんやけどな」

「せやな。逆に平ちゃんみたいなベッピンやったら、追い込んだ所で取り逃がしてしまうかもしれんな」


 真剣に聞いたのが馬鹿らしいと、平八郎が足を進めようとした時だった。


「そうや平八郎様、この件と関係ないのかもしれませんが、一つ、気になることを小耳に挟んだんやけどよろしいですか」


 主税が言うと平八郎が聞き返す。


「ここ数月ほどやろうか、近隣の村で神隠しが相次いでるとか。何か知りませんか?」

「特には聞いてないわ。でも、確かに気には……」


 再び足を止めて顎に手を当てて考え出した矢先だった。

 主税に又兵衛が食いついた。


「はぁ? おいおいデクさんよぉ、とうとう呆けちまったか。お前さんは新光門について探りにいったんやろ? 関係ないことに時間を割いとってええんかい。もっと真剣に取り組めや」

「ちょ、それは言い過ぎでしょ」

「こいつの口の悪さにゃ慣れてます。平八郎様に見えない所で思いっきり絞ってやるので大丈夫です」


 ため息交じりに又兵衛の頭を指先で小突くと、黒羽織の袖口を引っ張って廊下を駆け足で去っていった。


「子どもが神隠しねぇ……」


 又兵衛の言う通り事件とは関係なさそうも、そんな事件があるのかと不思議に思いながら平八郎は止めていた足を進めた。





 翌日の肌寒い朝方、奉行所に集まった平八郎たちは四天王寺方面に向かった。

 奉行所からは谷町筋をひたすら南に進むと四天王寺につく。


「四天王寺に来たのはいいけどよぉ、坊さんばっかりでよう分かんねえな」


 四天王寺は大阪の町の最南端に位置する。

 二百年ほど前には戦国時代に終焉をもたらした大合戦があり、名だたる名将から無名の足軽まで、数多の将兵がこの地で命を落とした。

 そんなかの地で又兵衛は辺りを見回しながらあくび交じりに言う。平八郎一行の周りには剃髪した仏僧がうろついている。四天王寺を中心にしたこの地域には、地名の由来となる四天王寺、清光院、生國魂神社など多くの寺社があった。


「コイツはほっときましょう。昨日のうちに主税とワシで目明かしを何人か忍ばせておきやした。住みかの目星はついとります」

「……まぁいいわ。それでどこなの?」

「茶臼山のふもとです。ほら、あれですよ」


 三郎が指差した先には緑の装束をまとった小高い丘があった。そのふもとに塗りたての漆喰が眩しい家屋群があり、多数の幟旗が掲げられている。


”新光門本部”


 数町先からもはっきり見えるくらいの、畳ほどはある白い幟に黒々とした太字でそう書かれていた。


「それでどうしますか。このまま乗り込みますか」

「連中にとって食われる訳でもないしええんじゃないですか?」


 主税が言うと又兵衛は小さく微笑んで握り拳を鳴らした。


「……そうね。一通り見てみましょう。一応言っておくけど、手荒な真似はまだ無しよ。面倒事は避けるように」


 平八郎がため息交じりに言うと又兵衛は残念がって小さく舌打ちをする。


「それじゃ、行くわよ」


 そびえ立つ大きな山門の奥には、四天王寺の社にも負けないほどの立派な社が見えた。

 山門をくぐって参道の右手には道場があり、外に聞こえるくらいの大声で読経を斉唱していた。信者たちが何を言っているのか意味不明だが、きっと天啓の書の内容なのだろう。


「道場は分かるとして、左側にあるのはなんなの?」


 左手には砂地の庭があった。だが、そこらじゅうに茣蓙が敷かれ、日差しよけの大きい傘が差されている。

 茣蓙の上には薄汚れた着物の男女らが横たわっていた。


「重病人からけが人までおるな」

「どうやら新光門の連中が病人を診ているようですね。あの白い連中がそうやろな」


 前に天神で見かけたな白い服の男女は、水桶を持ってせかせかと動き回り、庭に数多置かれた座敷で寝そべる病人の看病をしていた。

 平八郎らがそれを観察していると聞きなれた男の声がした。


「これはこれは。西町奉行所与力の大塩様ですね。わざわざこんな所に何の御用ですかな?」

「あんたは、あの時の……」


 背後から声を掛けてきたのはいつぞやの坊主作林だった。

 前に見た通りの背恰好で、マスクの隙間から笑顔が見える


「見廻りよ。何かしようって訳じゃないから安心して」

「そうですか。本町からここまで疲れたでしょう。ささ、休んでください」


 主税らは身構えるも、平八郎は作林の言葉の通りに道場の縁側に腰を下ろした。 背後からは大音量の読経が聞こえる。


「回りくどいことは嫌いだから簡潔に聞くわ。アンタたちは何者なの?」


 殺すんじゃないかというくらいの鋭い目つきで平八郎が睨みつけると、作林は背後から聞こえる読経以上の大声で笑い出した。


「ふむ。大塩様らは大きな勘違いをなさっているようですね」

「勘違い?」

「我々は擾乱を望んでおりません。ここは悲田院。町人らの憩いの場ですよ」


 悲田院は平たく言えば貧困者用の医院だ。大概の悲田院は寺院が運営しており、新光門のもそうだという。


「こうやっていきつく先の無い病人を看護してるんです。なんてことの無い町医者ですね」


 確かに新光門の信徒は真面目に病人の看病をしている。

 それに、病人のほとんどは身なりの汚い無宿人や浪人ばかりで、金をせびろうにも期待はできなさそうなものばかりだ。


「それは分かるわ。でも、あの時の態度はなんだったの? 四の五の言わさずに周りを囲んで無理やりってのは看過できないわ」

「あの時は少々無礼が過ぎたかもございませんが、われわれは街に出て協賛者を募っていたんですよ。ここまで人数は増えましたが、この施設を運営するにはまだまだ足りませんからね」


 作林の言葉には自信が満ち溢れていたし、3つの自慢を言っていた。

 まずは「私たちはこれだけの努力をしているんだぞ」という自慢、「これだけの人数を集めたんだぞ」という自慢。実際にこうやって抜き打ちでやって来て、普通に活動している様を見る限り、それらの自慢は自慢では無くて実績のように見えた。

 そして、極めつけは次の言葉だった。


「その証拠に奉行所に苦情の届け出は無いはずです。そうでしょう?」

「ま、まぁそうだけどさぁ……」


 「私たちの活動はなに一つ問題は無いんだぞ」という自慢だった。これも作林の言う通りで、ここ数日は奉行所の書庫に籠もって過去数年の届け出帳を確認した平八郎だったが、新光門絡みでの届け出は一件も無かった。

 平八郎らがいやいや首を縦に振ると、作林は満足そうに頷いて言葉を続ける。


「別に我々を認めろとは言いません。傍から見れば我々など不審な集団に見えるでしょうからね」

「自分でもわかってんならどうにかしろや」


 口を尖らせた又兵衛が毒づいた。横にいる三郎と主税ももっともだと頷いている。


「あくまで望むのは安寧のみ。ともに大阪をよりよい街にしようじゃありませんか」


 両手を広げて目を細める作林だが、平八郎は腕を組んで釈然としない。


「アンタたちがどうしたいかは分かったわ。それで、ずっと聞き忘れてたんだけどアンタは何者なの? この教団を仕切ってるの?」

「私はあくまでも新光門の主座。法師様にお仕えする身で、雑務一般を取り仕切る者ですから」

「法師って?」


 聞き慣れない言葉に平八郎が首を傾げると、境内の奥に鎮座する社から大音量のドラが鳴り響いた。

 不意の音に思わず耳に手を当てる平八郎らだが、横にいる作林は平然としている。それどころか、何かを敬う様にありがたそうにドラの音を聞いている。


「法師の曹乙様が社からお出でになられました。詳しいお話は曹乙様にお聞きになられるのが賢明でしょう」


 作林が新光門本部の奥を指差すと、白地の扉が重厚な音を立てて開かれ、何者かが現れた。





「法師曹乙様の御成ぁりぃ!」


 社の重厚な扉が音を立てて開き、そこから供のものを連れて曹乙が現れた。

 すると、背後から聞こえていた大音量の読経が一斉に止み、表にいた白装束たちは作業の手を止まって信者たちは地面にひれ伏した。それどころか、寝そべる病人らまでもがひれ伏しだした。


「作林。奉行所のお方がやって来たと聞きました。それはこの方たちですか?」

「曹乙様、この4人でございます」


 作林の口からは恵まれガタイから似つかわしく無い萎れた声が出る。


「あなたが西町奉行所の大塩様ですね。よくぞ新光門の本部にお出で下さいました」


 目の前に現れた曹乙が身につけていたのは透き通るような白い着物。だが、その肌は身につけている装束よりも白かった。

 それに、髪は異人の様な乳白色の金髪、頭巾の隙間からは見える目の色はこの世のものとは思えない淡い蒼だ。


「大塩様にその組下の皆様方、此度はどのようなご用件ですか?」


 間近に現れた曹乙は不思議な人間だった。

 嗅いだ事の無い香木を漂わせるのだが、その香りはどこか懐かしさや郷愁の念を思い起こさすような慈愛に満ちたものだった。


「アンタたちの活動に町人は怯えているわ。なんていうか、これからはもっと慎んだ方が……」


 思っていたような人物では無く、出会いがしらの一発を食らわされた平八郎らは恐縮しながら聞く。曹乙は胸に手を当てると何度もうな付いて答えた。


「やはり、我々の信心がたらないからこうなるのですね。分かりました。以後は気をつけます」


 曹乙が頭を下げると境内中でどよめきが起こった。中には両手を突き合わせて涙する者まで出る。


「ま、まぁ、悲田院もろもろはいい心がけね。でも、あなた達の強引な勧誘に迷惑してる人がいるってのを忘れないで。要件はそれだけだけら、それじゃ帰る……」

「……ちょっと待った」


 平八郎が踵を返して山門の方に向かおうとするも、制止するように又兵衛が声を上げた。


「お前さんたちの活動は分かった。臥せってる連中を見る限り、大阪の為になってることは認めざるるを得ないようやな」

「ありがとうございます」


 曹乙は嬉しそうに目を細めた。三郎と主税が続いた。


「だが、気になることがあるんや。これだけの敷地に建物、それに薬。どっから仕入れとるんか?」

「そうやな。これだけの施設を揃えるにはシャレにならん額がかかっとるやろ。それを簡単にそろえられるはずはあらへん」


 老同心三名が口をそろえて言う。

 新光門の敷地は並の大名屋敷ほどはあるし、社や建屋は上等な造りだ。病人につける薬だってタダでは無い。ポっと出の集団にここまでの費用が捻出できるはずは無い。


「言われてみれば確かにそうね。曹乙さん、どうなってるの?」


 平八郎は目を鋭くする。曹乙は笑った。


「簡単なコトです。様々な方がわれわれに援助してくださるんですよ」


 どういうことかと平八郎が聞き返すと作林が説明し出した。


「勧誘に少々強引な所があったかもしれませんが、悲田院は大阪の方々に評価されております。道修町の仲買いの方達をはじめとして、四天王寺の仏僧。それに、堂島の蔵屋敷のお武家さまからも寸志を頂いております」


 作林が言うと、曹乙も同様に誇らしげに語りはじめた。


「ここで使われている薬は薬品問屋から提供されたものですし、食料や衣服だって頂いたものや、自分たちで一から作り上げたものです」

「どれも、大阪の皆さまのご厚意です。私たちの活動が評価されてのことですよ」

「で、でもあなた達は……」


 語る術のない平八郎らは口ごもる。すると、いつの間にか回りにいた病人や信者たちが一斉に曹乙の援護に回る。


「せやせや! 奉行所のお嬢ちゃんがなんやかんやいちゃもんつけたい気持ちも分からんでも無いが、曹乙様は何も悪くあらへんねん!」

「ワシらはここに来れなかったら行き倒れてたわ。それを、曹乙様が救ってくれたんや」


 茣蓙に臥せっていた病人たちは口をそろえて言う。

 やせ細ってやつれ切った顔や体型、伝う汗や憔悴しきった顔色を見る限り病人たちは演技では無くて本心から言っていた。


「……分かったわ。最後にひとつだけ。いい?」

「はい。なんでしょうか」

「白い肌に長い髪。アンタは男なの、それとも女なの?」


 曹乙は笑うと答えた。


「男であり、女でもある」

「は、はぁ?」

「……なんて答えたいんですが、私は女です。この白い肌に蒼い目は生まれつきそうなってました」


 そう言うと曹乙は被っていた頭巾を外した。

 その白い肌は絹の頭巾よりも白く、降りたての雪を思わせるくらいに透き通っていた。下に隠されていた程良くふくれた唇の朱色がより一層強く見える。


「生まれは西の方なんですが、この見た目ですので村で色々と蔑まれてました」


 野良仕事で黒く焼けた肌の中に、白い肌に銀色の髪の少女が生まれてきたら騒動にもなるだろう。それも、見たことのないくらいの美少女だ。真っ当に付き合う方が難しいかも知れない。


「幼くして村を出た私は受難の日々でした。身寄りもいなければ食べる当ても無い。そんな日々が半年ほど続いたある日、私は天啓を受けたんです。この白い肌に蒼い目はこの世を救うためにあるものだとね」

「それで新光門を作ったって訳ね」


 曹乙は頷いた。


「そうです。それからは天神橋や天満町で説法の日々だったんですが、最初は村と同様に嫌悪感を示される人が大多数でした。しかし、地道に教えを広めてきた結果、徐々に人々が集まって来ました」


 道場の中にはざっと数百人はいるだろう。それに、曹乙にはどこか不思議な魅力があった。

 このまま順調に教えを広めていけば、日の本中が曹乙の虜になってしまうかもしれないとも思える。


「人数が増えたとはいえ、大阪を荒らそうなんてことは考えておりません。私たちが目指すのはあくまで救済。人々の助けになればいいという一心のみです。ですので、私たちは大塩様を歓迎いたしますよ」


 曹乙が涙交じりに笑みを浮かべると、境内に溢れかえっている信者と患者がドッと沸いた。

 話しを聞いて感動し涙を見せるものや、ありがたやありがたやと両手を突き合わせて拝み倒すもの。平八郎も、あれほど嫌味を言っていた主税も又兵衛も、曹乙の発する威に圧倒されて立ちすくむしかなかった。


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