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女奉行捕物帖  作者: 浅井
春風吹く
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勃発

 森好慶と伊藤忠景の両名が、飛び出していった文を見つけたのは本郷追分であった。


「ふう、ようやく見つけましたね」


 好慶は肩で息を切らして言う。なにせ、奉行所から本郷追分までずっと走りっぱなしである。奉行所からここまではかなり遠い。しかし、忠景は平然としている。


「なんだ、もう疲れたのか」

「いや、ここまで結構距離ありますよ? そりゃ疲れますよ」

「……おい、文殿があの店に入っていくぞ」

「って、聞いて下さらないんですね。まあいいですよ、ついて行きましょう」


 好慶は自分の扱いに不満を持ちながらも、忠景と共に店の入り口の脇へ行き、監視を続ける。店の中に入った文は動きを止めているようだ。何やら店員と話している様子ではあるが、何を話しているかは見当が付かない。


「文殿は動きませんね」

「……そうだな」


 すると急に文は店の奥に入っていく。文の姿は見えなくなった。二人は店内を見るのをやめ、顔を見合わせる。


「あれ、見えなくなりましたね」

「……どうする」


 ほんの寸の間だったはずだった。二人が顔を見合わせてから。


「どうしますか、いっそのこと乗り込んで……」

「……手荒な事はしたく無い」


 男二人が顔を突き合わせてキョロキョロと軒先を見ながら話しあう。

 次の瞬間であった。背後から聞きなれた声がして何者かが二人の肩を叩いた。


「ちょっと、二人して何隠れてるのよ」

「うわっ、文殿」


 二人は驚いて後ろを振り返ると、そこには文が腕を組み仁王立ちしていた。


「い、いや、たまたま通りすがっただけですよ、ねえ、忠景殿」

「……うむ」


 好慶は必死に誤魔化そうとし、忠景は無愛想にうなずいた。

 文は黙って二人をジトーっと直視し、無言の圧力が二人に襲いかかる。


「い、いや、ほんとですって、ねえ、忠景殿」

「……うむ」

「……」

「いや、ほんとですって。いつも通りの見廻りですって。ねぇ? 忠景殿」

「……う、うむ」


 またしても必死に誤魔化そうとする。まだ文の無言の圧力は続く。


「……」


 無言のまま見つめられた好慶はため息をつくと、無言の圧力に屈した。


「……わかりましたよ、降参です。忠春様が文殿を心配して我らを遣わされたのですよ」

「……そういうことだ」


 ため息をつきながら好慶は喋った。忠景は壁に寄りかかり、腕を組みながら頷き話した。文は微笑みながら話す。


「はつちゃんはやっぱり優しいね。あと、それは衛栄の入れ知恵じゃないのよね?」

「はい、忠春様の優しさかと」

「……そうだ。安心しろ」

「忠くんが言うならそうなのかもね。それと『よしよし』、あんたはまだ信頼してないわよ」


 二人の言葉聞くと文の顔に笑顔が戻った。だが、好慶は文の言葉に苦笑いをしている。


「『よしよし』って……。わたしは『よしさと』ですよ。それとなんで信頼してくれないんですか」

「よしよしの目は何かを隠している目です。なので信頼できません」


 好慶はため息をつき答えた。


「……まあいいですよ、私の事を信頼してくれなくても。それで、文殿はどこに行かれようとしてたんですか? あんな風に啖呵を切られて出て行かれたんですから、よっぽど何か自信があるように見えましたが」

「そこに気が付くとはさすが政ちゃんの筆頭与力ね。そうよ、それは昨日だったわ……」

「昨日、どうかなさったんですか」

「あの討議の後にね、密かに忠邦をつけて行ったのよ。それで屋敷に潜入したわけ」


 好慶は驚く。忠景も表情を少し崩す。どうやら驚いているようだ。


「しかし、文殿は凄い大胆な行動を取られるのですね」

「へへへ、記者は足で稼ぐのよ! これ、常識だからね」


 文は胸を張りそう答える。好慶は素直に感心する。


「……それで、どうなった」


 忠景の言葉を聞き、文は微笑みながら語り始めた。


「昨日さ、忠邦がやって来て犯人を捕らえたって言ってたじゃない。だから早くこの目で見ようと思ってね」


 文は微笑みながら話した。そして胸元から封書を取り出し、封書の端を持ち好慶の目の前でぶらぶらと垂らす。


「どうよ、凄いでしょ」

「それはなんでしょうか」

「忠邦の屋敷の間取り図よ。入手先は聞かない方がいいよ」


 文は微笑みながら自慢げに間取り図を見せびらかす。好慶は驚いている。ただただ呆然としている。ため息をつくと、忠景が代わりに喋った。


「……それでどうなった」

「それでね、なんとか潜入したのよ。不思議な事に警備の侍の姿が全然居なくてね、身構えて行ったのに拍子抜けしちゃったのよ」

「それは妙だな……」


 忠景は渋い顔をする。なんせ、忍び込んだのは水野家の上屋敷だ。図面があろうとも、女一人がいともたやすく忍びこめるはずは無い。


「確かにね。でも入っちゃった以上一目見なきゃ駄目じゃない? でも、さすがに屋敷の中を歩くのはまずいからね。一応床下を通ってたのよ。そしたらね、義貞は意外な男と一緒に居たのよ」

「……忠邦か」

「その通り。やっぱ忠ちゃんは冴えてるね。それで何か話してるわけさ」

「何を聞いたのですか」


 好慶は身を乗り出して聞いた。


「床下だったからね、全部は聞き取れなかったんだけどさ、面白い事話してたのよ。『板橋宿の十条屋で待機していろ』ってね。だからこうして先回りしてるの。どう? 凄いでしょ」


 誇らしげに話す。男二人は声をあげて驚いた。


「……それは、大変な情報じゃないですか! なんで誰にも言わなかったのですか!」


 好慶はあっけらかんと微笑みながら話す文に怒った。文の両手で左右の肩を掴み前後に振る。忠景は文の態度に頭を抱える。


「だって、あんな風になっちゃったしさ。ほんとは、栄ちゃんにこれを報告して、なでなでしてほしかったんだよ?」


 文は少し戸惑いながら喋った。少し涙目になっている。潜入した際は、ああいう風にケンカ別れすると思っていなかったのだろう。好慶は揺らすのを止めると声を上げた。


「いや、今からでも遅く無いですよ。ほら、早く忠春様や衛栄殿の所に行きましょう!」

「……そうだ。それがいい」


 二人ともそう言い切る。しかし、文の態度は頑なだった。


「嫌よ! もう栄ちゃんの顔なんか見たく無いもん! それにいざとなったら忠ちゃんが守ってくれるからね」

「……何の話だ」

「すっとぼけてもわたしは知ってるのよ。あなた一刀流の達人なんでしょ?」

「ええ? そうなんですか忠景殿」


 好慶は驚く。忠景は普段から無口な男で誰かと話す事は少ない。奉行所内では彼の普段の行動を知る者はほぼいないだろう。


「……知らないなそんな話は」

「とぼけちゃって可愛いわね。まあいいわ、いずれにしても一対三人じゃない。捕まえられるわよ」


 文はニヤニヤしながら忠景の尖った鼻を指でつつく。


「そうは言っても、もっと人数は必要ですよ。三人とはいえ、文殿は戦力になりませんし、ヤツを逃した場合、まったくもってシャレになりませんよ」

「人数が必要なら宿場町の本陣で借りればいいじゃない。私たちにはれっきとした理由があるし、番所だって代官所だって奉行所からの要請なんだから断られるはずが無いわ。それに、ここから板橋宿まではもう少しよ? 念には念を入れて奉行所まで戻ってたら、ヤツはとっくに逃げおおせているのかもしれないのよ? さあ、どうする?」


 奉行所を出た時は辰の刻も過ぎた頃だったが、今は巳の刻を半刻ほど過ぎている。また奉行所に戻ってから板橋宿に戻っても、旅籠に義貞がまだ居るとは限らない。どうやら、あらかじめ色々と理屈を用意していたのだろう。

 文は腕を組んでニヤニヤと二人を眺める。好慶は特に言い返せなかった。


「……確かに、どれも文さんが原因ですが、今はそんなことを言える状況じゃありませんね。とりあえず我々だけで向かいましょう」

「……仕方無い」


 忠景も悔しそうにそう答える。それを聞いた文はこれ以上ないくらいに微笑む。


「そうこなくちゃ! さあ行きましょう」

 文ら三人は犯人確保の為、板橋宿へと向かって行った。





 板橋宿に着いたのは午の刻の中ごろであった。十条屋は板橋宿の外れにの小高い丘にあり、窓からは石神井川が見える。

 その石神井川は桜の名所としても有名で、ここの宿からは桜並木が一望できる。しかし、外れに位置している為、旅籠の近辺はあまり栄えているとは言い難かった。だからこそ水野が根城にしたのだろう。三人が入り口の側で頭を突き合わせる。


「まずは私から中に入るわ」

「いや、それは危険ですよ。私と忠景殿で踏み込みます」

「そんなこと言っても二人とも義貞の顔知らないじゃない。それにきっちりとした身なりの男が二人入って来たら奴も警戒するわよ?」

「むむむ、確かにそうですね…… しかし、一人にさせると言うのも危険ですよ」


 好慶が顔をしかめるも、文は堂々と自分の胸を叩いた。


「安心して。道中でどうしようかちゃんと考えたんだから」

「是非、お聞かせ下さい」

「まず私が中に入って義貞に接触する。それで私が窓から折を見て合図をするの。そしたら、二人に踏み込んでもらう。これでどう?」


 文は二人の顔を見る。好慶・忠景の両名は唸りながらも返事をする。


「……悪く無い」

「確かに悪くはありません。上手くいきそうですが、本当に大丈夫ですか?」

「何よ、あんたも栄ちゃんみたいなコト言うのね。安心してよ、大丈夫なんだから」

「分かりました、お任せします。くれぐれも安全を第一にお願いします」

「はいはい、分かってますようだ」


 そう言うと文は旅籠の中へと入っていった。二人は文の背中を見送ると、表情を曇らせながら突き合わせて話しあう。


「文殿はああは言ったものの、やはり不安です。宿場の役人に話して加勢を頼んできます」

「……確かにな。よろしく頼む」

「すぐ戻りますので、よろしくお願いします」

「承知した」


 そう言うと早足で好慶は本陣へと行った。





 文は中に旅籠『十条屋』へと入っていった。


「ようこそいらっしゃいました。今からお部屋をご用意するので、少々ここでお待ち下さい」

「ええ、ありがとう」


 旅籠の一階部分は広間となっていて、旅の者たちが適当にくつろげるようになっていた。

 数人の集団が川沿いに咲く桜を眺めながら酒盛りをしている。通りを見渡せる窓際では、そんな楽しげな光景とは似つかわしく無い一人の男が街路を注視している。

 それが義貞であった。気が付いた文は声をかける。


「あらお侍さん、おひとりなの?」

「ああ? 何の用だ」


 義貞は殺気だっている。ちょくちょく窓の外を眺めて机を爪先で叩く。


「そんなに怒らないでよ。こんなに桜がきれいなのに、一人で道ばかり見てるんだもん、そりゃ気にもなるわよ」


 文は窓の欄干にちょこんと座り微笑みながら答える。すると、外から風が吹き桜吹雪が起き、文の長い髪を揺らして甘い香りを漂わせる。

 その姿を見てから義貞の表情は変わった。


「そ、そうか、俺はただ人を待ってるだけだよ」

「へえ、恋人でも待ってるの?」


 文は、腕を胸元を狭めながら机に身を乗り出す。義貞の目の前には豊かな胸の谷間がそびえ立つ。


「馬鹿、そんなんじゃねえよ。ちょっと旅に出ようかと思っててね。その準備に必要なんだよ」

「あら、そうなの。偶然ね私も旅に出ようと思っててね、諏訪大社にお参りに行こうかなって」


 わざとらしく驚いた文は、欄干から降り義貞の向かいの席に座る。


「ほう、俺も諏訪の方へ行こうと思っていたんだ。もしよければ一緒に行くか?」

「私を守れるほどあなたは強いの?」

「ああ、自分で言うのもなんだが、士学館の師範代を務めた事もあるからな」


 義貞は指していた刀を眼前に出して胸を張る。


「そう、あなたみたいに強そうな人が一緒なら旅も安全ね」


 文はそう言うと向かいの席から義貞の隣に座り、太ももにに手を置き肩を並べ寄り添う。


「おう、あんたみたいな美人が一緒なら旅も楽しいものになるな」


 気をよくした義貞は文の肩に手を回す。しかし、文は義貞の腕を振りほどきその場に立つ。


「ありがと。ちょっと待ってね、喉が乾いちゃったから、水を飲んでくるわ」


 そしてその場を去ろうとする。そして、文と入れ違いになるように、一人の男が義貞の元へやって来た。


「義貞様、忠邦様からお預かりの品を持ってまいりました」

「おお、ご苦労だった」

「それではこれで」


 男は封書と荷袋を義貞に渡すと男は去っていった。


「ねえ、待ってた人ってあの人の事?」


 文が湯呑みを二つ持って席に戻ってくる。


「本当は違ったんだがな。まあ間違っちゃいないな。これで俺も遊んで暮らせるな…… ん? なんだこれは」


 義貞と文は不思議そうに封書を見つめる。そう言いながら封書を開けると、中には一通の書状が入っている。


「文書ね。餞別の言葉でも書いてあるんじゃないの?」

「なんだ、忠邦の野郎、こんなものを寄こして……」

「それじゃ、こっちの荷袋を開けていい?」

「いや、ちょっと貸せ。後で開ける」


 義貞が文から強引に荷袋を取り上げ、袋を開ける。中には白い着物が入っていた。不思議に思った義貞は書状を手に取り読み始めた。すると態度が豹変する。


「は、は、図りやがったな! た、た、忠邦ぃ!」


 義貞は怒鳴りながら机をけり倒す。書状を丸めて地面に叩きつける。文はその書状を拾い読みあげる。


「えっと、『義貞、これまで御苦労さまでした。あなたは、前に言った通りあなたは死んだ女達と同じです』って。これは酷いわね……」

「糞っ、最初からあの野郎は、このつもりだったのか……」


 義貞は怒りに震える。机を何度も叩き、湯呑みを思い切りたたきつけた。その姿を見て文はこの場にいるのは危険だと察知する。


「そ、それじゃ、私は失礼するわね」


 文がそう言い残し、その場を去ろうとする。義貞は、去ろうとする文の腰に提げられた十手に気が付く。同様に窓を見ると、男に率いられて板橋宿本陣の方から役人十名ほどが十条屋へやってくる姿が見えた。


「くそっ、貴様、奉行所の者か! どうせ死ぬならお前も道連れだ!」

 そう言い刀を抜き文の腕を掴む。

「ちょっ、離しなさいよ!」


 文の悲鳴にも似た声を聞きつけた忠景が十条屋に押し入る。


「おい、どうしたっ!」

「糞っ、まだ仲間がいたのか……。おいっ! これ以上近づいたらこの女の命は無いぞ!」

「忠ちゃん! 下がってなさい……」


 義貞は刀を構えて威嚇する。飛びかかろうとする忠景もこれでは動きようが無い。


「おい、刀を下ろしてさっさとここから出て行けよ」

「……ちぃっ」


 忠景はそう言うと刀を鞘に戻し、十条屋から出ていった。すると、役人を連れた好慶も異変に気が付いたようだった。途中から小走りで忠景のもとに向かう。


「おい、忠景どうした!」

「……面目ない。義貞に計画がバレたようだ」

「ええ? 文殿はどこにいる」

「あの中で義貞に人質に取られている」

「なんだと? やはり、まずかったか。こうなっては仕方無い。忠春様らに来てもらう以外にないだろう」

 好慶は太ももを握りこぶしを叩く。

「……よろしく頼む」

「いや、私も悪かった。謝ることはない。とりあえず馬を借りて伝令へ行く。忠景はこの者たちの指揮を頼む。くれぐれも義貞を刺激するなよ」

「……承知した」


 そう言い残すと好慶は問屋場に行き、馬を借りて奉行所へと向かって行った。


「ふう。おい、そこのお前、本陣から連れて来られるだけの人員を呼んで来い。それと残った者は十条屋を囲め!」

「承知いたしました!」


 役人の一人は本陣に向かい応援の要請に向かった。それ以外は十条屋を包囲し始める。





 ちょうど同じころ、奉行所は浮足立っていた。先の水野の使いの報告により、奉行所の人員をすべて活用して義貞の居場所を探しまわっている。それに、文の居場所も分からない。その上、文を捜索しろと送りこんだ忠景と好慶の居場所も分かっていないし報告もまだ無い。


「ったく、あいつ等は何をやってるのよ……」


 忠春は頭を抱えて善後策を考えている。しかし、何も浮かばない。それが、さらなる怒りのタネになっていく。負の連鎖が止まらない。


「怒っていたってどうしようもありません。まずは次の手を考えなければ」

「分かってるわよ! 私だって必死になって考えてるのよ!」

政憲が宥めようとするも、効果は無い。

 そこに馬に乗った好慶がやって来た。


「た、忠春様! 報告です!」


 好慶の声を聞いた与力・同心らは門の前まで集まって来た。


「まったくもって遅いわよ! 文ちゃんはどうなったの? それに、大変なことが起きたわ。アンタに色々と伝えなきゃいけないことが……」

「文殿が義貞に捕まりました!」


 忠春の言葉を遮って好慶は答えた。奉行所内で予想外の言葉に声が上がった。


「は、はぁ?」

「好慶、文殿が捕らえられた場所はどこですか」


 報告を受けて奉行所内が一気に殺気立つ。政憲でさえ驚きを隠せていない。色白の頬かには汗が数筋引かれている。


「板橋宿の十条屋です。現在忠景殿が代官所の者を率いて対応されています」

「ったく、これじゃあんた達をつけた意味が無いじゃない! 早く馬を寄こして!」

「忠春様! 馬でございます!」


 話を聞いた義親が奉行所の厩舎から馬を五頭ほど引っ張って来た。


「忠春様、私は皆を呼んでまいります!」

「……そうね義親。義親とそこの二人! あんた達は出払ってる奉行所の人に片っ端から板橋に向かうように伝えて」

「承知いたしました!」


 忠春が指示を出すと、義親らは馬に乗って市中に散らばっていった。

 政憲が珍しく冷や汗をかきながら忠春に話しかける。


「時間はそれほどございませんよ、早く行きましょう」

「分かってるわよ。奉行所に何人か残して、それ以外は皆板橋に向かいなさい!」


 忠春がそう言うと他の者たちは「おう!」と声を上げ板橋へと向かって行った。

用語解説


『追分』 街道と街道の合流地点。高速で言う所のジャンクション。その辺には商店が集中している。


『石神井川』 板橋区を流れる川。川沿いにある「桜の辻」と言う場所は板橋区が設置した『板橋十景』にも選ばれている。


『本陣』 宿場町の役人の溜まり場。大名級の行列が来たらここに泊めてあげたりもする。


『問屋場』 出入りする商品だとかの税務を担当する。別名「伝馬所」。馬とかもここに留めていた。

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