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「・・・りく・・・淕君、起きて。」
優しげな声が私を呼んでいる。
ああ、なんて落ち着く声なのだろう・・・。
このままもっと眠りにつこ・・・う?・・・・・・
ばちっ!
そう。今の私の目は現実ではありえない音だって出せるくらいの勢いで目を開いた。
案の定、目の前には女神様。
・・・・心なしかとても近いような?
はて・・私、ご飯をいただいてそれからカレンさんのお話を聞いて・・・聞いて?
さぁあぁああああっと血の気がひいたきがした。
「すすすすみませんっ!!」
飯つくってもらっておきながら眠りこけるとはどーいう神経してんだいっ!?
あわあわして、呂律もまわらずに謝罪の言葉をまくしたてている私の肩に、カレンさんはそっと手をおいた。
「大丈夫よ。君、最近越してきたばかりだし、今日は私が何かと迷惑かけたから疲れたのね。」
そういって、土下座に近いポーズをしている私の頭をくしゃっとなでてくれた。
「かれ・・んさん」
美しい笑顔に私は思わず顔が熱くなった。
「今日はありがとね・・・。」
そしてふっと女神様は目を細めて、にやりと口の端をあげた。
「・・・かわい。」
その拍子に暗くなったかと思ったら、ふわっと香るいいにおい。
「明日からよろしく。淕君?」
・・・・耳元で吐息まじりに囁かれた声は・・・・とても低かった・・・。