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左手には半額のロースハム。
右手には女神さま。
…いったいどうしてこのようなことになっているのでしょうか?
「どうしたの?」
「イイエ、ナンデモナイデス」
(むっ胸が腕に当たってます…同性だけど変な気分になるんですけど!?)
こうなった経緯をざっくり話すと、爆笑した女神さまは、「お礼にご飯を作ってあげる」といい、冷蔵庫になんにもないことを告げると「じゃあ、買い出しに行くわよ」と。
そして、スーパーに向かおうとしたところ私の右腕をとり、当然のように歩きだしたのである。
今は「好きなのとっていいわよ、カゴもってあげるから。」といわれたので、あらがうこともできずとりあえず半額のロースハムをとったところである。
「あっ!そういえばキミ、名前なんていうの?」
こてんと可愛くくびをかしげて女神さまは聞いてきた。
「…槌屋 淕(つちや りく)です。‥‥‥‥‥貴女は?」
「ふーん、淕君ね。あたしはカレン・スミス。カレンて呼んでね!」
(…日本人じゃなかったのか!?っていうか‘君’て…はぁー…)
「ふふ。あたしねハーフなのよ。でも日本の名前もあるんだけど、可愛くないから、こっちでとおしてるの。」
えへっとまたまた可愛く笑う女神さまもとい、カレンさん。
私はその笑顔にぷしゅーと空気を抜かれそうだった。女だと訂正することも忘れて、カレンさんとの買い出しをうはうはしながら満喫したのだった。