表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンを買いに行く  作者: kumako


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

5.春川との友情

春川との友情の話です。

 比那と春川の住んでいる界隈は(ちなみに、2人は小学校からの同級生である)とくに神社やお寺の多い地域で、同じ町内に1つの神社と2つの寺院がある。春川の実家の3軒となりはお寺である。

 子供のころの比那と春川は、遊び疲れてお寺のお墓で眠るようなこともあったが、それでも幽霊を見るようなことはなかった。2人とも、霊感は強くなかった。


 しかし、比那が病院で働くようになると、彼女は幽霊の噂話を聞くようになった。今勤めている病院は2か所目だったが、前の病院は霊体験が元で辞めた。

 比那の務めている病棟で、幽霊が出るという噂が広まったのである。なんでも、ベッドで首を吊って死んだ女の子の幽霊だそうだ。それと前後して、比那は体調を悪くした。

 影響は春川にまで及んだ。彼女の元には、昼でも夜でも無言電話がかかってくるようになった。そうして、ストレスに悩まされた春川は帯状疱疹にかかった。

 春川は、キャバレーのホステスをしていたので、帯状疱疹は致命的だった。春川は、比那をなじる。

「この、霊カン女! アンタのせいでアタシ仕事できないよ? クビになるよ? どうしてくれるの?」

 比那は戸惑った。

「どうしてって、私のせいじゃないじゃん?!」

「アンタのせいよ! アンタが病院なんかで働いてるから、アタシにも被害が及ぶのよ!」

「何その無理矢理??」

 そんな言いがかりに屈したわけではなかったが、比那は自分も入院するほど体調を崩してしまったので、仕方なく転職することにした(当然、家族からは反対されたが)……。

 霊のせいではなかったのかもしれないが、霊というものは恐ろしい。


    * * *


 そんなところに、根舞羅の「ツインレイ」である。

 比那は、ネットで「ツインレイ」について調べ、困惑し、苦笑した。


 比那は、春川に電話する。

「前に話した根舞羅クンっていう男の子がさあ……」

「ネビュラ? ああ、いたねえ、変わった子。アンタの病院の患者でしょう?」

「そうなんだけれどさ、今日また会った」

「なんで?」

「北山のケーキ屋で働いているの。私、チーズケーキ買いに行ってさ?」

「そこで会ったの? アンタ、ケーキ好きだもんね?」

「好きなのはパン。今日はたまたまチーズケーキ」

「ふうん。それで、何だって?」

 春川は、いかにも気がなさそうに尋ねる。……彼女も出勤前で忙しい。大方、今は髪にアイロンを当てている。

「私のこと、ツインレイだって……」

「ツインレイ? 何それ?」

「なんだかさ、ソウルメイトの一種らしい。前世でたった一人の関係だった人間なんだって」

「何それ? 重……」

「重いでしょう? でも、春川のこともソウルメイトだって言ってた」

「おいおい、比那、ヘンな奴と知り合いにならないでよ。嫌だよ、アタシ」

「嫌だって言っても、病院の患者だった子だし……」

「アンタの病院さあ、おかしい患者多くね? おかしくね?」

「長期入院の患者さん中心だからねえ、変わった人は多いかもしれない」

「変われって! 転院!」

「また? てか、転院とは言わない」

「そっか」

「うん、そう」


    * * *


 結局のところ、比那と春川と根舞羅は3人でつるむ仲になった。なぜ、あんなに嫌がっていた春川が折れたのかと言えば、根舞羅の店に比那が行くたびに、春川の分もチーズケーキをサービスしてくれる、というのが効いたらしい。現金なものである。閉鎖的な性格の(と、比那は思っている)春川にしては珍しい。

(春か夏に雪が降るかもしれない)

 と、比那は思った。


「ソウルメイトっていうのはねえ、この世に12人くらいいるらしいんです。だから、亜梨沙さんもその12人のなかの1人です。俺、あなたのことも大切にします!」

「12人? 多過ぎるよ。アタシ、嫌だよ。アンタとソウルメイトとかって……」

 春川はずけずけと言った。

「気にしませんよ、俺、良い奴なんで」

「良い奴って、自分から言う? 普通?」

「言いますよ。良い人は気にしないんですよ、そういうこと」

「気にするよ、アタシは! とにかく、ソウルメイトは嫌だからね!」

「なんで嫌がるかなあ? 前世の神様が決めたんですよ?」

「いねーよ、神なんて! カボチャ大王にでも聞けって!」

「カボチャ大王?」

「そう。カボチャ大王。キング・オブ・パンプキン、パンプキン・キング」

「同じじゃないですか?」

 根舞羅が首をかしげる。

「同じじゃねえ! どっちか忘れた……」

「ウッカリさんなんですね? 亜梨沙さんは?」

「言われたくねー! お前には絶対言われたくねー!」

「またまた!」

「いや、マジで」


 比那の愛車はホンダのスーパーカブだったが、春川の愛車はフェアレディZのZ32だった。それに比那や根舞羅を乗せて、泉水山のゲレンデや荒砂海岸といった地元の観光地に連れていく。

 そんな春川に、

「フェアレディZって、おっさんの車でしょう?」

 と、根舞羅は失礼なことを言う。

「おっさんの車じゃないわよ! アタシ的にイケている車なの! 女子だって結構乗っているのよ? 視野が狹いな……」

「私、スーパーカブだから」

「俺、自転車。ロードマン」

「ママチャリかと思ったわ。アンタはママチャリに乗ってなさい、チーズケーキ屋で働いているくらいなんだから!」

「亜梨沙姉さん、やっぱりオヤジだ。オヤジ、恐え〜!」

「口の減らないガキね!」

「オヤジ、オヤジ、やっぱりオヤジ〜!」

「私もそう思う……」

「アンタには言われたくない! もうのせてやらないわよ!?」

 春川は、思わずマジ切れしそうになっている。

「えーっ、いやだ! 乗せてよう」

「なら、アタシを敬え! 尊敬しろ! さっきの発言を取り消すこと」

「やっぱ、オヤジだ。恐えーっ! つうか、傲慢!」

「そうだ、そうだ!」

 まあ、色んな意味でそうではあるのだったが、そんな関係は壊れずに今も続いている。

いろいろとドタバタです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ