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筋肉のメルトダウン。さよなら、帝国製の粗悪品(隣国編・完結)

「愛しているぞ、リリアーナ嬢! 私のこの、世界を震わせる鼓動バイブレーションを聞いてくれ……ブルブル、ブ、ブ……んん?」


国境の全自動ドアの動力源として張り切っていたマキシマム皇太子の体に、異変が起きたのはその直後だった。


リリアーナの至高の薬によって超振動していた彼の筋肉が、突然、泥遊びに失敗した子供の工作のように**「ドロリ……」**と形を崩し始めたのだ。


「……ふにゃ? ……何ですの、その情けない収縮は。……皇太子様、出力が低下していますわよ?」


「な、なんだ!? 筋肉が……筋肉が私の骨から逃げていこうとしているッ!? 待て! 戻ってこい、私の上腕三頭筋ィィ!!」


原因は明白だった。帝国の魔術師が作った「粗悪な薬」が、リリアーナの「神薬」のあまりの出力に耐えきれず、化学反応を起こして**『筋肉の液状化現象』**を引き起こしたのだ。


「ぷっ……く、くふっ……。父上、見てください。……マキシマム皇太子の胸板が、今、彼のお腹のあたりまで『雪崩なだれ』を起こしています!」


アレン王子が、必死に口を押さえながら指を差す。


そこには、かつての隆々とした大胸筋が重力に負けてダラリと垂れ下がり、まるで**「中身の詰まっていない巨大な巾着袋」**を胸にぶら下げているような、世にも奇妙な姿の皇太子がいた。


「ハッハッハ! ゼノス殿、貴殿の国の魔術師は、筋肉を『スライム』にする魔法でも開発していたのか?


……これは傑作だ、もはや筋肉ではなく、ただの『動く肉の暖簾のれん』ではないか!」


国王陛下も、自分自身のアンバランスな体型を棚に上げて大爆笑。


隣国のゼノス外交官に至っては、あまりの情けなさに顔を覆い、「……殿下。……もう、何も喋らないでください……。帝国の威信が、その垂れ下がった二の腕と共に地面に埋もれていきます……」と、力なく膝を突いた。


「……ふにゃぁ。……最悪ですわ。……粗悪な不純物のせいで、私の計算式が『溶けたチーズ』のような無残な姿に。……皇太子様、今のあなたは『エンジン』どころか、ただの**『水を含んだ古いスポンジ』**ですわよ」


リリアーナの冷徹な一言が、ドロドロになったマキシマムの心に追い打ちをかける。


「そ、そんな……! リリアーナ嬢! 私はまだやれる! ほら、この広背筋を見てくれ! ……ああっ! 今、広背筋が……お尻の方まで滑り落ちていったぁぁ!!」


「……汚いですわ。……サーシャ、モップを持ってきてください。……皇太子様の『元・筋肉』が床に滴っていますわよ」


かつてあれほど威風堂々としていた帝国の獅子は、今や「歩くたびに肉が波打つ、形を保てない謎の生命体」へと成り下がった。


マキシマムは、自慢の肉体が「コミカルな悲劇」として王宮中の笑いものになる中、必死に床にこぼれそうな自分の腕を抱え上げながら絶叫した。


「わ、笑うな! 私は……私はリリアーナ嬢のドアになる男だ! 誰か、誰か強力な接着剤を持ってきてくれぇぇぇ!!」


愛と筋肉の暴走は、帝国の低品質な化学という「不純物」によって、史上最も情けないメルトダウン(溶解)を迎えるのだった。

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