至高の毒舌。そのバルク、廃棄処分を推奨しますわ(隣国編・其の二)
リリアーナに一目惚れしたマキシマム皇太子は、もはや外交の目的など忘却の彼方であった。
彼は翌日、最高級の宝石をあしらった「帝国仕様のトレーニングウェア(露出多め)」に身を包み、再びリリアーナの元を訪れた。
「リリアーナ嬢! 君の瞳に射抜かれた瞬間、私の心臓は君なしでは血液を送り出せなくなった! さあ、私のこの完成された大胸筋に飛び込んでくるがいい。帝国へ行けば、君を最高級のプロテインで満たそう!」
自信満々に、彼は自慢の大胸筋を「ピクッ、ピクッ」とリズミカルに波打たせた。しかし、それを見たリリアーナの瞳に宿ったのは、恋の輝きではなく……**「ゴミを見るような冷徹な光」**だった。
「……ふにゃぁ。……皇太子様、まずはその『不快な振動』を止めてください。……私の網膜に、不純なデータが入り込みますわ」
「えっ……? ふ、不快……?」
リリアーナは、白い手袋を嵌めた手でノギスを取り出し、無造作に皇太子の二の腕を挟み込んだ。
「……ふにゃにゃにゃにゃ。……お話になりませんわね。……この上腕二頭筋、表面だけは膨らんでいますが、中の密度がスカスカですわ。……例えるなら、**『湿気て中身が腐った安売りのパン』**ですわね」
「ぱ、パン……!?」
「……見てください。この僧帽筋のライン。……左右のバランスが1.5ミリも狂っています。……基礎がなっていないのに見栄えだけを整えるなんて、建築基準法違反で即刻取り壊し(デッドリフト)レベルの欠陥工事ですわ」
リリアーナは、皇太子の周りを回りながら、流れるような動作で空中に「絶望的な評価式」を展開していく。
【聖域ノート:帝国皇太子の粗大ゴミ・バルク解析】
Quality = (Training_Effort / Narcissism) x 0
Efficiency = Limit (t -> Despair) of (Puny_Muscle)
総合判定:『マッスル・粗大ゴミ』。
収縮効率が低すぎて、暖房器具としての価値すらありません。
「……ふにゃ。……皇太子様。……あなたのその筋肉は、**『歴史の教科書に載っている古い農耕馬』よりも鈍重で、かつ『生まれたての小鹿』**よりも実用性がありませんわ。
……そんな周回遅れの肉塊で、私を帝国へ連れて行く?
……笑わせないでください。
……私のラボの実験用のマウスの方が、まだ洗練された筋繊維を持っていますわ」
「……あ、あ、ああ……(ショックで膝を突くマキシマム)」
ボロクソ――。その言葉ですら生温い。リリアーナは、彼が人生の全てを賭けてきた肉体を、一瞬で「産業廃棄物」として断定したのだ。だが、ここでマキシマムの「バグ(一目惚れ)」が牙を剥く。
「(……ああ……!! 罵倒されている……!! あの、女神のような美少女に、私の全てを否定されている……!! ……くっ、屈辱だ……。だが……なんて、なんてゾクゾクする『刺激』なんだ!!)」
「……ふにゃ。……皇太子様? ……なぜ鼻息を荒くして笑っているのですか? ……気持ち悪いですわ。……心拍数が上がっていますね。……不整脈ですか?」
「リリアーナ嬢……!! 君の言う通りだ! 私はゴミだ! 私は旧式の農耕馬だ!! ……だが、それならば!! 君の手で、私を最新鋭の『魔導兵器』へと造り替えてはくれないか!!」
マキシマムは、リリアーナが差し出した「毒々しい七色の煙を吐くフラスコ(新薬)」を、まるで聖杯のように奪い取った。
「(……見ていろ……! この薬で、君の理想の男になり……君の瞳に、私だけを映させてみせる……!!)」
アレン王子が「(……うわぁ、こいつもリリアーナの『実験動物』の道を選んじゃった……)」と憐れみの視線を送る中、リリアーナは不敵な「美少女スマイル」を浮かべるのだった。




