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マダムたちのスクワット地獄は、愛の聖域(ジム)と呼ばれました

「……ふにゃにゃにゃにゃ。助けて、サーシャ。玄関の前に、巨大な筋肉の壁(マダムの行列)ができているわ……」


「お嬢様、あれは壁ではありません。旦那様との『夜の再構築』を願う、愛に飢えた奥様方の列ですわ!」


騎士団長夫妻の「新婚並みの熱愛」の噂は、王都のマダムたちを狂わせた。


私のラボ(物置)の前には、今や「神のプロテイン」を求めるマダムたちが連日、長蛇の列を作っているのだ。


私は激しい勘違いをしていた。


「(……そうか。彼女たちは、自らがバルクアップして、重すぎる家事や社交界のストレスを『物理的』に粉砕したいのだな。なんてストイックな志なんだ……!)」


私は彼女たちのために、新作の**『超重量・脂肪燃焼バーニングシェイク』**を用意した。


「皆様……。愛とは、己の限界を超えること。このシェイクを飲み、私が提唱する『愛の十箇条スクワット・セット』をこなすのです。さあ、One More Rep!(もう一回!)」


私は、マダムたちの前でふらふらと立ち上がり(そしてすぐに倒れ)、虚弱な声で「筋肉の咆哮」を上げた。


「……ふにゃ。膝を、つま先より前に出さない……。股関節を、地獄の底まで沈めるのです。それこそが、旦那様を……いえ、世界を屈服させる唯一のフォーム……」


「「「おおお! リリアーナ様! 股関節を地獄へ!!」」」


マダムたちが一斉にドレスをたくし上げ、猛然とスクワットを始めた。


化学的に設計されたシェイクの効果で、彼女たちの脳内には大量のアドレナリンと幸福物質が分泌され、全身の筋肉が効率的に引き締まっていく。


結果。


「リリアーナ様! 主人が『君のその引き締まった脚線美、たまらないよ』と、毎日早く帰ってくるようになりましたの!」


「私もですわ! 腰痛が消えて、主人を軽々と抱き上げられるようになりました(※物理的な愛)!」


「愛のカウンセラー(物理)」としての私の名声は、もはや不動のものとなった。

私はマダムたちの感謝の抱擁に包まれ(押し潰され)ながら、天を仰いだ。


「(……違う。俺が教えたかったのは、大臀筋のカットであって、夫婦の夜のレスリングじゃねぇんだ……)」


そんなある日のこと。

暑苦しい兄カシアンが、一人の男を連れてやってきた。


「リリアーナ! 今日は私の親友で、騎士団でも一番の『剛腕』と名高いバルガス君を連れてきたよ!」


私は「どうせまた、いつもの『神速の細マッチョ』だろう」と、やるせなく振り返った。


……が。


「……っ!?(ドクン、と心臓が跳ねた)」


そこにいたのは、アレン王子や兄様のような「細マッチョ」ではなかった。


丸太のような腕。はち切れんばかりの胸筋。そして、歩くたびに震える巨大な僧帽筋!


「(……こ、これだ。これだよ。俺が、いや私が求めていたのは、この『歩く冷蔵庫(重戦車)』だ!!)」


「初めまして、リリアーナ嬢。君の噂は聞いているよ」


バルガスが不敵に微笑み、腕を曲げた。

その瞬間、上腕二頭筋がメロンのようにボコォッ!と盛り上がる。


「あぁ……。ふにゃにゃ、ふにゃあぁぁ……っ(昇天)」


私はあまりの「理想的なバルク」に、鼻血を噴き出して倒れ込んだ。


ようやく出会えた。この世界に、俺の夢を体現する本物の「ゴリマッチョ」がいたんだ!


「リリアーナ様!? 大丈夫ですか、リリアーナ様!!」


サーシャの悲鳴が響く中、私は朦朧とする意識の中で、バルガスの筋肉にメロメロになっていた。……しかし。


「(……待て。今、かすかに聞こえた、この『ピキッ』という不自然な音。……それに、この魔力の波形……おかしい、何かがおかしいぞ?)」


天才化学者の直感が、理想の筋肉の影に潜む「違和感」を捉えた。


果たして、このバルガスの「神の肉体」は本物なのか、それとも……。


次回。

筋肉偽装フェイクは許さない! 聖女リリアーナ、真実の剥離ストリッピング薬で悪を暴く!」

リリアーナの怒りのプロテインが、火を吹く!

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