表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

【6】

入院中はとにかく安静が必要で、綾は時間をもてあましていた。受験生なので、参考書やテキストを見るが、頭に入らなかった。それよりも、子どもたちと話している方が楽しかった。

「今、何歳なの?」

「4つ」

手で4を作った子どもに、綾は微笑みかける。髪はサラサラしており、肌もスベスベだった。天使のような存在に、綾は救われる。救われるといえば、明の存在もそうだった。子ども達には見えないので、何も告げていないが、明はずっと綾の側に居た。守られている感じは家にいる時と同じく、リラックスしていたのだった。

「明、ありがとうね。一緒にいてくれて」

礼を言うと、明が頭を撫でてくれる感触があった。嬉しくて、つい顔がほころぶ。

「やっほー! 来たよ」

急に佳奈が現れ、綾はビックリする。綾が入院することは母親の義子が連絡してくれたので、見舞いに来てくれたようだった。

「佳奈、いらっしゃい」

「はい! 来ました」

佳奈は敬礼の真似をすると、綾の状態を聞いてくる。

「どう? 痛い?」

「痛くはないけど、不便なことが多いかも」

「だよね、仕方がない」

そう言い、持っていたチーズやヨーグルトを差し出してくる。

「カルシウムとって、カルシウム。早く治るかもしれないし」

「ありがとう、佳奈」

「どういたしまして。冷蔵庫に入れておくね」

「名前を書いておかないと」

「そっか…、マジックはえっと…」

「ナースステーションに行けばあると思う」

「ナースステーションね。分かった」

佳奈は行動的で、テキパキと動いた。綾はそのポジティブさが羨ましく、佳奈が改めて、自分の友だちで良かったと思う。

「戻ってきました。後で食べてね」

「うん」

綾が頷くと、佳奈が側にあった椅子を引き寄せる。

「綾が居ないとつまらないよ」

「そう? そう言ってもらえると嬉しいな」

「早く退院してよ」

「うん。お医者さん次第かな」

白い天井を見ながら言うと、明はクルクルと回っているようだった。佳奈には見えないが、警戒しているのかもしれなかった。

「そっか、お医者さん次第か。ま、元気出して」

肩をこづかれ、綾は微笑む。そうだと思い出し、綾は佳奈に言う。

「実はねー」

幼少の頃、入院していたことと、久しぶりに見た子どものころの夢を話す。

佳奈はビックリしたようだった。

「綾、体が弱かったの?」

「喘息でちょっとね」

「喘息か…。私は元気だからよく分からないや」

佳奈の素直さがありがたかった。

「それにしても昔から病院に縁があるんだね」

「そうだね。学校へ行くのも大変だったし」

「どうやって、喘息を治したの?」

「クラシックバレエをしていたの。それで治ったんだ」

「そうなんだ。クラシックバレエか…。私には無理だわ」

佳奈は腕を組むとうーんと声を出した。

「それにしても、夢が気になるね」

「うん。一番仲が良かった子どもの事を覚えていないの」

「そっか…。じゃあ…」

佳奈は立ち上がると部屋を出ていった。何をするのかと思えば、車椅子を借りてきたのだった。

「探そうか? まだ居るかもしれないし」

「えっ? 迷惑だよ」

「いいから行こう。ベッドに横になっていても暇でしょ?」

「…うん」

実は綾も気になっていたのだった。綾が15歳なら、彼は17、8歳だろうか。小児科から内科へ移動しているかもしれない。

「1人1人探すの?」

「そう! 散歩しているふりをしながら、探すの」

「分かった、私も知りたいし」

「やった!! 行こう、行こう」

佳奈の元気さに救われ、綾は車椅子に移動したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ