6 やっと快適な自室に近付けて、本格的にダンジョン攻略へと舵をきったトモルシードだが、身内の争いに自ら解決する為試行錯誤する。
本格的にダンジョン攻略に向けて、行動開始!
ソフィーシア様に認められるのか?
昨夜、魔力切れで気絶する様にベッドに倒れ込んだ俺だが
10時位に、寝室のドアを叩きながら………
「トモルシード兄様!大丈夫なのですか!?」
と言う妹のルシーシアに起こされて、目が覚めた。
魔力切れだった魔力は、どうやら眠る事で、回復するらしかった。
ソレと、もう1つ理解したのは総魔力量が少しだけ上がっている。
これは、嬉しい誤算であった。
俺は、寝室のドアを開けながら
「悪い!どうやら心配させた様だが?
寝坊しただけだよ。
ルシーシア。」
と謝れば………
「ただのお寝坊ならば良いのですが、
どうせ昨日言っておられた実験に夢中に成られたのでは???」
流石は俺の妹君だ。
俺の事を良く理解している。
「アッハハハ。ルシーシアの予想通りだよー。
昼食会には、ちゃんと行くから。
ソフィーシア様には、ただの寝坊だったと伝えてくれ!」
ルシーシアを自室から見送り
俺は、昨夜完成させたドアから闘技場へと入った。
これで城内の庭や闘技場で修業し、誰かに見られたり怪しまれたりする事が無くなった!
俺は、毎朝のトレーニングと剣術と武術の稽古をしてから
昨夜創ったシャワー室でまだ水しか出ないが、
身支度を整え昼食会に向かった。
御心配をお掛けしてすいませんでした。
とソフィーシア様に謝って昼食会が始まった。
食事中にソフィーシア様から
「トモルシードさんが必死になって魔法や剣技の稽古をしてきた事は、
私くしの耳にも入ってきていますけど、
余り事を急がない方が良いですょ。」
ソフィーシア様には、俺の行動はどうやら筒抜けらしいが覚悟を決めた今、
その提案には簡単に頷けなかった。
「実の妹さえ守り切ることが出来なかった不名誉は、
男として耐え難い屈辱なのです。
何かを察していらっしゃる様ですが、
命の危機を感じたならば直ぐに戻りますので、
ダンジョン攻略に出ることをお許し下さい!」
ソフィーシア様の怪しむ瞳に真摯に訴え掛けた。
その言葉に軽く溜息を漏らしながら
「必ず危ないと感じたら直ぐに戻る事と
剣技のテストをしますよ。
相手は私くしが選びます。
それとダンジョンに赴く場合は護衛を最低2人は、動向させますが…
この条件を飲めますか?」
俺は、護衛の2人が強ければ、勿論利用するし弱ければ途中で置いていくつもりだ!
「剣技のテストは、いつ行いますか?
自分はこの昼食後でも問題ありませんが!!」
これには、流石にソフィーシア様も驚いた顔を隠しきれずに、その美貌に眉間にシワを浮かべながら
「今からトモルシードさんの剣技の相手を探しますから、3日後の昼食後にテストをすると、
約束しましょうか!」
と言われたので、頷き了承した。
心配そうに見つめるルシーシアをよそに昼食会は、終わった。
俺は、その足で王国図書館に行き、少しでも魔法を自分の物にする為に、
夕食会まで図書館に籠もった。
そうして、微妙な空気間になった夕食を終え
勿論自室からダンジョン内に低位瞬間移動魔法で、移動し魔物退治へと挑んだ。
魔石やインゴットを収納しながらも、難無くフロアボス部屋にたどり着き
大きな扉を開き内部へ入れば、100メートル四方の中央に20メートル程の魔法陣が浮かび上がり
高さ10メートルはある巨大化した蜘蛛が出現した。
フロアボスが、どの程度の強者なのか?
判断基準が無かったので、俺は自分の分身体を30人出して、戦闘態勢で待ち構える。
分身体は、軽い命令ならばこなす事が出来る。
例えば、目の前の敵を魔法で攻撃しろ!
とか剣術で攻撃も追加する。
などを命じれば、分身体自身が攻撃するのだ。
命令は、思考伝達でわざわざ声を出さずとも分身体は俺の命令に従う。
巨大化した蜘蛛のフロアボスは、俺達に尻を向け蜘蛛の糸を放って来た!
10数本に枝分かれした糸が襲って来る!
思考加速で半数の分身体にファイアーボールで焼き尽くせと命令し、
残りの半数には巨大化した蜘蛛の足を剣術で切り落とせ!と命令した。
10数本に枝分かれした糸は、目前に迫ったが半数の分身体達のファイアーボールで焼き尽くされて蜘蛛の尻にまで、火の粉が舞う。
それに追撃をかける残りの分身体達は、巨大化した蜘蛛の足を見事に、斬り裂いた!
ド~ンと音がし、蜘蛛の悲鳴らしき声が部屋中に響く!
俺は、身体強化でジャンプし巨大化した蜘蛛の頭を剣で斬り裂いた。
その一撃で、フロアボスは死に姿を消せばその場に
10センチ程度魔石が10個とインゴットが8個落ちていた。
収納魔法に全て入れて、出口へと向かえば、扉が自動的に開いていた。
ここからがダンジョンの地下2階層になる。
俺は、分身体を戻し前へと歩む。
未知なる地下2階層へと挑みだした。
確かに地下1回とは魔物のレベルが上だった。
最初に出てきた魔物は、顔は牛で大きな角を生やし身体はヘビー級並のプロレスラーであり、斧を手にした武人らしき魔物だった。
俺は、今日学んだ魔法の先見の明
いわゆる先読みと
思考加速を併用して、
魔物の斧での攻撃を躱しながら
その腹に掌底を叩き込めば、魔物は後ろに吹き飛んだ。
なんとか立ち上がった魔物の斧での攻撃を今度は剣で受け流し、体制が崩れた処を受け流した剣でその首を一閃で薙ぎ払った。
そして死体が消滅してから、10センチオーバーの魔石と黒色のインゴットが出て来た。
その2つを回収しつつ、まだ時間は少し残っているからと先に進むと決断した。
後1 〜 2回位は戦闘可能だろうと考え先を急いだ。
すると今度は、1階層で戦ったゴブリンより遥かに大きなさほど人間の大人と変わらないハイゴブリンとでも言えば伝わる。
10人前後に囲まれた。
しかも御丁寧にダンジョンにチャレンジして死んでいった冒険者達の剣や槍や斧まで手にしながら、
薄汚い笑い声を上げながら襲いかかって来た。
俺は、先程のままにしていた先見の明と思考加速で、
慌てる事無く分身体を10人出し
剣技のみで攻撃せよ!
と命じながらハイゴブリンの大将と思える魔物に相対した。
元々ゴブリンは思考するよりも本能的に襲うが、ハイゴブリンは違った。
意思を持ち作戦的な攻撃をして来る。
少々厄介な敵だった。
だが、自分の剣技の技量を測る相手としては、都合の良い相手であった。
俺は、相手の大剣を躱し受け流し充分体得した技を出しながら、ハイゴブリンの大将を追い込んでゆく。
ソロソロ時間だと感じてハイゴブリンの群れを一掃して出現した、魔石とインゴットを回収し低位瞬間移動魔法で自室の寝室に戻った。
こんな感じで、ソフィーシア様との約束の日を迎えた。
毎朝のルーティンのトレーニングを済ませて、朝食に向かえば…
「トモルシードさんとの約束通り、
本日の昼食後に私くしが選んだ者達と実戦形式のテストを行う予定ですが…
構いませんか?」
とソフィーシア様に、問われたので、軽く頷き返して
「望む所ですょ。
どれ程のツワモノなのか!
楽しみにしています。」
すると、ルシーシアが話に割って入り
「トモルシード兄様!
あまりソフィーシアお母様を、挑発しないで下さいませ!
お母様は、聖騎士達にまで、御声がけしていたのです。」
ソフィーシア様は、
俺にダンジョン攻略をどうしても断念して欲しいらしいが…
現実的には俺は既にダンジョンへの挑戦をしている。
ルシーシアの心配は、有り難いがその心配は、無用なのであった。
朝食後、俺は貯まった魔石とインゴットで、
自室の改良を加えながら昼食後の剣技の実戦テストを待った。
自室には、電気への変換器と蓄電システムを製作し、
温水器と冷暖房設備を製作した処で、
昼食会の時間になりルシーシアの部屋へと向かった。
昼食会の話は、
剣技のテストに合格しなければ、
ダンジョンへの挑戦を諦めなさい。
と二人から再三言われ………
「あくまで、自分が、
敗北すればソフィーシア様のおっしゃる通りに、
致しますので御安心して下さい。」
そして昼食会後に、城内にある闘技場の1つへと
ソフィーシア様とルシーシアの護衛達と共に
ゆっくりと歩みながら
俺は、ワクワクしていた。
闘技場に入れば、
5人の騎士らしい人物が既に待機していた。
ソフィーシア様とルシーシアは観覧席に座ると
「その者達の中から対戦相手を選びなさい。
トモルシードさんに選択権を与えます!」
俺は先見の明を発動しながら5人の騎士達を見ていれば、闘技場の柱の陰にいる人物を見つけた。
ソフィーシア様に宣言した。
「この闘技場にいる人物から選べば良いのですよね?」
ソフィーシア様は、微笑を浮かべながら大きく頷きながら
「そうですよ。
トモルシードさんに
選択権を委ねましたから…」
俺は、それならばと考え
「あの柱の後ろに居る人物が、
恐らくこの闘技場内で1番強そうなので、
あの人物との試合を希望します!!」
ソフィーシア様は、慌てて柱の方見れば
「第3王妃のソフィーシア様に頼まれたから、
様子を伺うつもりでトモルシード第4王子の試合を見るつもりでしたが、
気配だけで自分を選ばれたのならば!?
その時点で合格ですね!」
と言いながら柱の陰から闘技場へ降りてきた。
「貴方には、トモルシードさんの技量を見て欲しいと頼んだだけです。
試験を頼んだつもりは有りませんよ!」
張り詰めた声で、ソフィーシア様が告げた。が…
「闘技場内で対戦相手を選んで良いと、
おっしゃったのはソフィーシア様ですょ。
自分は、そのルールに従って彼を指名しただけです。」
この言葉で、ソフィーシア様の反論が無くなり、俺は対戦相手に
「試合時間は、10分もあれば充分でしょうネ。
貴方が自分から、
かすり傷でも負わせれば、
貴方の勝利と言う条件で構いませんか?」
相手を挑発したが
「そんな条件ならば、
木剣で御相手して差し上げますが?」
と返されたがこんな処で俺は引けない。
「試合は、
真剣にてお願いします。」
相手はホ―と感心しながら、
俺の条件を飲んだが、
今度はルシーシアに反論された。
「トモルシード兄様!
御相手がどんな御方かご存じないのですか?
最優の剣士としてスペイ王国で有名な人なんですよ!」
成る程、通りで挑発にも動じない訳だ。
俺は平然としたまま
「それ程の相手と同等の実力が無ければ、
ソフィーシア様は自分のダンジョンへの挑戦等
御認めには無さらないはずだ!!」
ルシーシアは、そこで奥歯を噛み締めながら黙り込んだので、俺は自分の剣を鞘から抜きながら
「試合時間は、10分
時間経過はルシーシアに任せる!
では御相手願う!!!」
相手が剣を抜いた瞬間思考加速も併用し待ち構える。
「その度胸は好きだが、
早々に終わらせて上げますよトモルシード王子!」
その一言と共に相手の剣閃が俺を襲うが、
その剣を軽く躱せば相手の目の色が変化した。
どうやらトモルシードの見た目に騙されたらしい。
何と言っても11歳の少年だからだろうが、
本気を出した相手の剣技を全て、受け止め流し躱しながら既に8分は捌ききって一度距離を取り
「貴殿は、他国の剣技には精通しているか?」
と問うた。
「フラン学園都市で、
多少の見識はあるが!?
ソレがどうかしましたかトモルシード王子?」
息切れせずに返答する事実が流石に有名な剣士であった。
俺は、
「では遠慮無くチャイ帝国の武技で、
残りの時間御相手するとしよう。」
その言葉に対しムッとしたのか?
明らかに先ほど迄の攻撃速度より速く成ったが、
俺は、華麗に舞う様に相手の攻撃を躱しながら、
剣先を流し体制が崩れて
出来た隙に、軽く蹴りを横っ腹に入れて、また距離を取る。
そこでルシーシアが試合終了の声を上げた。
「試合時間経過しました!
これにてトモルシード兄様の剣技のテスト終了です!!」
ルシーシアが観客席から飛び出して俺に駆け寄り
「凄いです。
本当に凄いですょ。
トモルシード兄様!」
と言いながら、俺に抱きついてきた。
「自信が無ければ、
ダンジョンヘ挑戦したい等とこの俺が言うわけ無いだろう!
一度死にかけて居るんだから………」
そして喜ぶルシーシアを自分から離してから
対戦相手に対して
「試合相手になってくれて助かりました。
これでソフィーシア様を説得出来ます。
有難うございました。」
と一礼しソフィーシア様を見れば、信じられないのか?
頭を抱えて居た。
しかし、約束は守られた。
今週末に2人のソフィーシア様の護衛を連れて、ダンジョンヘ行く事を許された。
今日は火曜日なので、時間はある。
夜のダンジョン攻略は続けるが、それまでは何をしようかと思考加速した、脳内で考え
合間に鍛冶職で、剣を創ってみるのも悪くないなぁ
と決断した。
それから自室に戻り、寝室にあるドアから闘技場へ行き魔石の大きさで、ハンマーを3本錬成し竈に火をファイアーボールで入れた。
竈にはあらかじめ魔法陣を組み込んでいた。
普通の炎では、インゴットが熱しきらない為だ。
俺は、何本かのダンジョンの地下2階層で手にしたインゴットで剣の形や重量や斬れ味をイメージしながら、
ハンマーを叩き続けた。
赤々と熱せられたインゴットが、数10回叩けばいきなり白く輝くとイメージ通りの1振りの剣が、完成した。
試し斬りをすれば、
インゴット製の剣は、
まさに国宝級の宝剣へと進化した。
これでダンジョン攻略にも役立つはずだと、
自然に笑みが溢れていた。
週末が待ち遠しく思えてならなかった。
そんな浮かれていた俺に次の日の昼食後に、ソフィーシア様から
「トモルシードさん。
心して聞きなさいネ。
貴方の実兄であるルシファード第1王子が
どうやらその座を第2王妃とその子共である、第2王子に奪われる危険性が有ります。」
突然真剣な眼差しで、
告げられた事に、動揺が隠せない。
「何故なのですか?
ルシファード兄上は、
面会謝絶のはずです。
権力争いに巻き込まれはしないでしょう?」
厳しい表情しながらソフィーシア様は、言葉を紡ぐ
「今のルシファード第1王子の病状は、亡くなられた第1王妃と全く同じなのです。
その事実により………第2王妃が自分の子ギルザルシー第2王子を皇太子の座に付かせようと画策しているらしいのですよ!!!」
俺は、小さ過ぎてあまり実母の第1王妃の記憶が無い。
しかし、ルシファード第1王子は、病になる前まではトモルシードを何時も気に掛けてくれていた。
楽しかった記憶が俺にはある。
実弟である俺が、何とかするべき事柄だ!!
「ソフィーシア様、
情報に感謝致します。
自分でも調べてみます。」
同じ症状ならば、遺伝性も考えられるはずだから先ずは、母上の実家の情報から何かのヒントに繋がると考慮し
自室に戻った。
今後の目標は、ダンジョン攻略へと………?