アルバイト募集
「はぁ……」
しーんと静まった教室の中でひとり、ため息をついた。
日頃の疲れだろうか。
勉学と営業の両立というものの大変さを感じた。
「どうしたの、咲来ちゃん?」
最近友達になった、美緒だ。
美緒は暖たちの親友だったので、咲来と気が合い、仲良くなった。
「実は、カフェ営業やってて……」
「あ、なんか塁から聞いたなぁ。みつばさカフェ、だっけ?」
「うん。塁くんたちが来てくれたこともあるよ」
美緒と暖たちは家も近く、会う機会も多い。
「今日、これから予定ない? 大丈夫?」
「え? うん、大丈夫だよ」
「なら、ふたりで勉強会しない?」
その流れで、咲来と美緒の勉強会が始まった。
「……大変なら、人を雇ったらいいんだよ」
美緒が、ポソリと呟いた。
「雇うって、どうやって?」
「ふふ〜ん。それはねぇ……アルバイト!」
「えぇ〜無理無理!」
みつばさカフェはまだ開店したばかりで、売り上げも高くない。
そんな状況で、アルバイトなどが出来るのだろうか。
「大丈夫だよ。だって、ここは聖天学園だよ?」
「あっ」
聖天学園の生徒が営業しているカフェと知れ渡れば、売れ上げが高まるかもしれない。
そう思って、咲来はアルバイトを雇うことを決意した。
◇◇◇
「……ということなんだけど、いいかな?」
家に帰り、咲来は事情を咲希と咲夜に言った。
「いいわね」
「さんせーい」
ふたりとも、賛成してくれたようだ。
「……待って。魔女のことは、どうするの?」
先日、暖たちに魔女と言われたことをすっかり忘れてしまっていた。
「魔女のこと、よく分からないよね……」
「どうしたらいいんだろう」
すると、咲希がスマホの画面を見ながら言った。
「近くの総合病院の人が、魔女に詳しいみたい」
咲来と咲夜もスマホの画面を見つめる。
「今度行ってみよう」
そういうことで、魔女の話は終わった。
話はアルバイト募集のことになった。
「アルバイト募集は、ポスターでいい?」
「そうね」
「オッケー」
◇◇◇
翌日、三人は近くの総合病院に来た。
「こんにちは。今日はどうされましたか?」
「すみません、診察じゃないんですけど……」
受付の人は首を傾げた。
「何のご用でしょう?」
「えっと、ここの清川先生に会いたくて、来ました」
「清川先生ですね。今しばらくお待ちください」
そして、受付の人は奥の部屋に歩いて行った。
「……その、清川先生は魔女なのかなぁ」
「どうなんだろう」
そう話しているうちに、三人は相談室へ呼ばれた。