入学式
「只今より、聖天学園中等部・入学式を始めます」
しーんと静まり返った空気の中、始まりの合図が流れる。
「新入生入場」
爽快な音楽に合わせて、ゆっくりと歩き始める。
出番が来て、私が歩き出した、そのとき。
周りにいる人々が、驚いた表情をしていた。
「えっ、同じ顔⁉︎」
「双子なのかなぁ」
すみません……。
双子を超えて、三つ子なんです……。
私は心の中で、そう謝罪した。
「あれ、また?」
「どういうこと?」
咲夜ちゃんが見えてきたら、また声が上がった。
「三人だから、三つ子?」
「でも、ねぇ。三つ子なんて、あり得ないし……」
やっぱり、この反応。
咲希ちゃんたちも、戸惑っているだろうなぁ。
それからも、新入生の入場は続いた。
「──これにて、聖天学園中等部・入学式を終わります」
入学式が終わった。
私たち新入生は会場をあとにして、教室に入った。
「えっ」
教室が、美しすぎる。
私たちのために、こんなに綺麗に……。
世界的に有名な聖天学園なのは分かっているけれど、まさかこんな綺麗なんて。
「他の教室もキレーだよ」
咲夜ちゃんが、見てきてくれて。
もう、嬉しすぎるっ……!
「彩七さんは、こっちですよ」
呆気に取られて、席が分からなくなっていた。
「あ、ありがとうございます……」
「はい、皆さん注目~」
教室に、大きな声が響く。
担任の先生だ。
「入学式お疲れ様でした。これからは休憩時間ですので、何をしてもいいですよ〜」
休憩時間かぁ。
せっかくだし、誰かとおしゃべりできたら──。
「課題教えて!」
「はぇ」
さ、咲夜ちゃん?
席を立とうとした時に座らせられちゃったから、体が痛い……。
「課題終わったんじゃないの?」
「終わってたらいいねぇ〜」
そこに咲希ちゃんも来て、みんなでおしゃべり。
「そんなことより……」
突然、咲夜ちゃんが呟いた。
どうしたのかなぁ。
「か!」
か?
「だ!」
だ?
「い! か・だ・い!」
あぁ、咲夜ちゃん、もうすぐ休憩時間終わっちゃうよ〜。