素敵な提案
翌日。私は、暖ちゃんが言っていたことを咲希ちゃんたちに伝えた。
私たちが特別な人間だったこと。
その人たちのことを何というのか、聞けなかったこと。
それだけでも、ふたりは信じてくれた。
「そうなのね……」
「やった〜! 咲夜たち、特別なんだ」
良かった……。何というのかは、聞けなかったけど。
「それより、明日は入学式よ」
「あ、そっか」
入学式、楽しみだなぁ。
「三つ子だから、注目されるだろうね」
今思えば、三つ子って大分珍しいよね。
「制服着るの、楽しみ〜」
「もう、咲夜ったら」
「あはは」
私たちは、「え、三つ子なの⁉︎」と言われるのに慣れてしまっている。
もちろん、私たちが三つ子だということにも。
「今日は早く寝ようね、咲夜ちゃん」
「え〜」
咲夜ちゃんは早く寝るのが苦手だから、不満そうな顔をしている。
「まあまあ、ふたりとも」
「咲希ちゃん!」
私と咲夜ちゃんの背後に突然、咲希ちゃんが現れた。
「それより、私からの提案なんだけど……」
◇◇◇
「あれ、やろうよ早く〜」
咲希ちゃんからの提案を聞いてから、咲夜ちゃんはずっとこんな感じ。
「だから、今じゃないのよ」
「いいじゃん〜」
そして、咲夜ちゃんと言い合っている。
私も、いい提案だなぁと思った。
それは……。
『カフェの売り上げを増やすためにも、カフェタイムやってみない?』
『カフェタイム?』
『色々なカフェの情報を集めて、記事にしている雑誌よ』
『え〜! 応募したい〜』
『まだよ。カフェタイムの新刊が出てから、応募するの』
という提案。
カフェタイムは有名な雑誌みたいだから、うちも載せてもらえたら嬉しい。
そんなことを考えていると、咲夜ちゃんが大きな声を出した。
「あぁ〜っ!」
「ど、どうしたの?」
私は、頭を抱えて地面に座り込む咲夜ちゃんを支えた。
「明日持っていく課題、忘れてた〜!」
「えぇ〜」
咲夜ちゃん、こういうところがあるからなぁ……。
「い、今すぐ始めよう」
そして、咲夜ちゃんは課題を始めた。