ドッキリ大成功?
私は馬顔魔物を倒してもらう為に灰土さんを探しに庭へ行きました。ですが、庭にはさっきまでなかった銀色の紙がそこらじゅうに散らばり、山みたいに積み重なっていました。普段とは違う不気味な雰囲気がして、早く灰土さんを見つけて倒してもらわなくては!
「灰土さーん!!! どこに居るのですか!!! 主人様の家の中に侵入者がいます!!!」
私は必死に強い思念を送り灰土さんを呼びましたが、応答がありませんでした。
「お兄ちゃん?」
応答してくれたのは灰土さんではなく花茶がこたえてくれました。よかった、花茶ならあの馬顔魔物を倒せます!
「花茶今どこいますか?」
「花茶は庭にいるよ」
「どこにいるのですが?」
私は辺りを見渡しましたが、花茶の姿は見えませんでした。
「ここだよー、お兄ちゃん大きな声出して何かあったの?」
銀色の紙の中から顔が馬、体は私と同じゴキブリの巨大な魔物が現れたのです。
「いぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
私は恐怖の余り叫ぶと私はその場で気絶をしてしまいました。
「お兄ちゃん!? あれ? よく前見えないな。あっ! これのせいか!」
花茶は頭に被せたリアルな馬のマスクを外すと藍介の元に駆け寄った。その時、天井から影が現れ花茶は咄嗟に頭上を確認した。そこにいたのは7本の脚に犬、猫、パンダ、熊、ゾウ、ライオン、ウサギのマスクを付けて紅姫が現れた。
「花茶ちゃん馬のマスク知りませんか?」
「馬のマスク? これのこと?」
「えぇ、それです。私の足に付けようとしたら落ちちゃって花茶ちゃんが拾ってくれて助かりましたわ。そうそう、花茶ちゃんこの私の姿を見て驚かない?」
「ん? 驚くことあるかな?」
「私絶対に勝てると思ったのに、まさか花茶ちゃんに負けてしまうなんて、もっとパーティーグッズを研究しないといけないわ!」
「ドッキリ大成功!!! ってあれ? 藍介ひっくり返ってどうしたのよ」
私は藍介の悲鳴を聴いて紅姫のドッキリが成功したと思って看板持ってきたのに、藍介完全に気絶しちゃってるわね。
そんなに怖かったのね。これは、ドッキリ大会優勝は紅姫で決定かな。
「僕を置いて行った罰ですね!」
「緑癒〜、藍介に〜置いていかれたの相当怒ってたんだね〜」
「それはもちもんです! か弱い僕を置いていくなんて酷いですよ!」
「か弱いねぇ〜」
「これは、凄いわね、うん、紅姫が優勝で間違いないわね。紅姫おめでとう、藍介を気絶させるほど驚かせたなんて凄いわ」
私が作ったリアルアニマルマスクを脚につけて逆さまにいる紅姫に拍手をしたのだけど紅姫は喜んでくれなかった。ん?
どうしたのかな?
「主人様、私が優勝じゃありません。花茶ちゃんが藍介さんを気絶する程驚かせたので、花茶ちゃんが今回のドッキリ大会の優勝者です」
「花茶が驚かせたの!?」
「優勝? それって1番ってことだよね?」
「花茶ちゃん〜凄いじゃん〜優勝おめでとう〜」
『なんと! 俺が準備している間に終わってしまっていたとは』
灰土は鼻メガネをかけて白い付け髭をつけた状態で現れた。
「ぷっ、灰土その格好で驚かせようとしていたの」
私は灰土のおかしな姿を見てつい笑ってしまった。
『主人様が笑っている。この姿の方が主人様受けがいいのだろうか? やはり、付け髭の効果なのでは! 主人様に他の付け髭もお願いしようか』
「灰土〜、主人様が笑ってくれたからって付け髭似合ってないからね〜」
「似合っていませんわ」
「糸吹きさん、糸吹きすぎて口元真っ白になってるけど大丈夫なの?」
「花茶ちゃん、これは付け髭と言うパーティーグッズみたいですよ」
「付け髭? なんで糸を口元に付けるの?」
『かっこいいから付けるのですよ。渋くてかっこいいのです』
「花茶には分からないなぁ」
皆んなが庭でワチャワチャしていると地面で仰向けになっていた藍介が目覚めた。
「お! 藍介目覚めたのね! 藍介この看板見て」
「主人様!!! 馬顔の魔物が2体主人様の家に侵入しています! 早く対処しなくてはいけません? ん? 何ですかその看板は? ドッキリ大成功? ドッキリというのは? 待ってください調べますので」
本を出し藍介はドッキリのことを調べている間に事の経緯を説明したら藍介は怒り始めた。
まぁ、怒るわよね。
「ドッキリを仕掛けるなんて酷いです!!! 心臓止まっちゃうかと思いましたよ!!! 花茶まで主人様と一緒に私を驚かせようとするなんてお兄ちゃん怒りますよ!」
「お兄ちゃんが珍しくすごく怒ってる。主人様どうしよう」
花茶は私の後ろに隠れた。
「藍介、花茶は元々ドッキリ大会には参加してなかったのよ」
「ですが、私は気絶する程驚きましたよ」
「お兄ちゃん本当にごめんね。銀色の紙が庭に沢山落ちてたから銀色の紙を片付けようとして引っ張ってたの。そしたら、目の前が急に暗くなって」
「偶然という事ですか。それでも、怖かったですよ!」
「まぁ、まぁ、花茶には悪気がなかったんだし」
「1番怒らないといけないのは主人様です! なんで、ドッキリ大会なんて開催しているのですか!!!」
「うーん、何となく、楽しかったから別にいいじゃない」
こういう時は藍介を抱きしめて藍介の機嫌を取らないと。
私は怒っている藍介を手の上に乗せて頭を撫でてあげた。
「ちょっと、主人様! 私は怒っているのですぅ。くぅぅぅ。久しぶりのナデナデは抗うことが出来ないぃ」
「ほれ、ほれ、ここが良いのだろ」
私は藍介を仰向けにさせてお腹を指でツンツンしてみた。
「キャッ! 主人様、やめてください」
おや、藍介機嫌良くなってきているのでは?
「いいな〜、いいな〜、主人様〜、俺のお腹触って〜」
私は藍介と紫水の相手をしてあげた。
藍介と紫水は上機嫌になりさっきまで怒っていたのに今じゃパーティーグッズを使って遊んでいた。
花茶には後でドッキリ大会優勝として猫のぬいぐるみをプレゼントした。そういえば、レースの後から藍介と緑癒以外にも黄結姫の姿が見当たらないような。
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