緑癒、すみません
私は目の前にいる銀色の糸でぐるぐる巻きにされ吊るされている紫水に話しかけました。
「紫水! これは、どういう事なのですか!」
「藍介〜、藍介も〜俺と一緒に〜ぐるぐる巻きになろ〜。とっても楽しいよ〜。凄く気持ち良くて〜、体がフワフワするんだよね〜」
何でしょう、この状況怖いです。普段の紫水とは違う感じがします。いつもなら水を使って何もかも解決するのに今回はされるがまま。この状況は異常です!
「紫水! 水を使ってその糸から抜け出してください!」
「嫌だよ〜、これって〜気持ちいいんだよ〜」
「紫水! 正気に戻るのです!」
「藍介も一緒に〜ぶら下がって〜、気持ち良くなろよ〜」
「気持ち良くってよく分からないですよ! 緑癒、すみませんがこっちにきてくれませんか」
私がドアを開き緑癒を連れて来させようとしたら、緑癒の目の前に変な顔の人型の魔物がいたのです。なんか、見たことあるような動物の顔ですね。そう! 馬です! 馬! って、誰なんですか貴方!
緑癒は馬顔魔物に話しかけていました。
「貴方は一体誰なんですか!!! 今すぐ主人様の家から出ていってください!」
馬顔魔物は聞いたことのない声で話しかけてきました。
「お前達も一緒に気持ち良くなりたいか」
「何を言っているのか分からないです!」
「そうです! 緑癒戦えますか! 私が強化魔法で貴方をカバーしますのでやっちゃってください!」
「え! 僕が戦うのですか!」
「体型的に緑癒がデカいのでいけますって! 筋力上げときますね」
「無理です! 藍介さんが戦ってください!」
私と緑癒がちょっとした喧嘩をしていると馬顔魔物はどこからか筒状の武器を取り出しすと、家に入る前に聴いたパァンっと大きな音が鳴って銀色の紙が大量に筒状の武器から出てきました。
「うぁぁぁぁぁあああ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁあああ!!! また、同じやつです! これは貴方の攻撃なのですね! もう! 僕は怒りましたよ! 紫水近くにいるなら手伝ってください!」
私と緑癒は身動きが取れなくなってしまいました。馬顔魔物は新たな筒状の武器を取り出しまた攻撃をしてきました。
「これじゃあ、やられているだけでどうすれば」
でも、不思議なことに攻撃されてもダメージを負ってはいないのです。拘束されるだけで、何か他に意図があるのでしょうか?
「藍介〜、緑癒〜、一緒に気持ち良くなろよ〜」
「そう、ムカデの言う通り気持ち良くなりましょう」
馬顔魔物はそういうと私を掴もうとしてきましたが、馬顔魔物は私を掴む為に紙を少しどかした事で拘束力が緩くなり私は逃げ出すことに成功しました。緑癒には申し訳ないですが、灰土さんを連れてくるので待っていてください!
「緑癒! 灰土さんを連れてくるのでそれまで頑張っていてください!」
「ふぇぇ! 藍介さん助けてくださいぃぃぃ!!!」
「すみません」
「あいすけさーーーーーん!!!」
私は緑癒を後にして灰土さんを探しに行きました。緑癒、本当にすみません。
「ふぅ、やっと藍介を引き剥がすことに成功したわね」
「貴方がどれ程強い魔物が知りませんが!僕達には主人様という神様がいるのです! 貴方なんて主人様なら1発で倒しちゃうんですからね!」
「そんなに私が強いわけないでしょ。紫水、ぶら下がってないで次行くわよ」
「あれ? 魔物から主人様の声? お前もしかして僕達の神を食べたのか! 絶対に許さしません!」
「あっ、そっか、これ取らないと分からないか」
魔物の顔が取れ、主人様が現れたのです。
「えっ!!! 主人様!? ん!? えっ!? どういうことなのですかこれは!」
「藍介にドッキリを仕掛けているのよ」
「ねぇ〜、ねぇ〜、さっきの俺の演技どうだった〜、怖かったでしょ〜」
「気持ち良くなろってどういうことなのよって思ったけど、まぁ、不気味な感じがとっても怖かったわ!」
「俺って〜何でも出来ちゃうから〜、演技なんて楽勝だよ〜。主人様〜褒めて〜褒めて〜」
「はいはい。でも、次は紅姫の番ね」
「紅姫さんめっちゃ張り切ってたから〜、藍介〜、凄く驚くんじゃない〜」
「私だって緑癒を2回も驚かせることに成功したんだからね! あっ、忘れるところだったドッキリにはこの看板よね」
主人様はドッキリ大成功と書いてある看板を取り出して僕に見せてきました。
「ドッキリ大成功!!! 緑癒、ビックリしたでしょ」
「ビックリって言うより怖かったですよ!」
「ごめんごめんって、今ね私と紫水、紅姫、灰土でドッキリ大会を開催しているのよ」
「ドッキリ大会ですか?」
「1番藍介をパーティーグッズを使って驚かせた人が勝ちってルールでやっているのよ」
「藍介さん可哀想です。それに、何で僕までドッキリ仕掛けられているのですか、主人様酷いですぅ」
「ごめんなさい、まさか緑癒も一緒に居るなんて知らなかったからさ、緑癒が台所に来た時、藍介だと思ってこのバズーカークラッカーを使ったんだけど、緑癒に使っちゃったから、もう一緒にドッキリに参加してもらおうってなったのよね」
「僕と藍介さん大きさが違うのですから普通間違えないですよ!」
「いや、それがさ、この馬マスク被ると前が殆ど見えなくて大変だったのよ」
「それなら作り替えた方がいいのでは?」
「まぁ、いいじゃない。もうそろそろ、紅姫の番よね」
「藍介の驚く姿楽しみ〜」
「主人様、もうそろそろ、拘束を解いてもらってもいいですか?」
「あっ、ごめんごめん、後少しで消えるから大丈夫よ」
すると、今まで僕を拘束していた銀色の糸がスゥッと消えました!
「主人様、僕怖かったので慰めてくださいー」
「はいはい、ごめんね、よしよし」
主人様は僕の頭を撫でてくれましたが、僕は本当に怖い思いをしたのでもっと撫でて欲しいです! 特にお尻を撫でて欲しい!
「主人様、いつものアレをお願いします」
「もう、それは藍介のドッキリが終わってからね」
主人様はそう言うと庭へ向かいました。僕も主人様の後をついて行き僕を置いて行った藍介さんが驚く姿を観に行くことにしました。すると、庭の方で藍介さんの悲鳴が聴こえました。
僕を置いて行った罰です! ざまぁみろですね!
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