まさかの障害
ドドドドと地鳴りを響かせ後ろから現れたのは灰土だった。
灰土も参加してたんだ。でっぷりと太っているのに速いわね。
灰土は花茶と並走し何か花茶に話しかけているみたいだった。
「灰土も参加してたんだね」
『花茶様! 主人様にこのレースは危険なのでこれ以上レースを続けないでくださいと言ってもらえませんか!』
「それってどう言うこと?」
『崖やマグマなど危険な道を走るなんて自殺行為と言っても過言ではないです! 主人様はか弱い存在。主人様の身の安全を考えればレースを途中退場して欲しいのです』
「んー? 主人様に聞いてみるね。主人様。灰土がね、主人様がか弱い存在? だから、これ以上レースを続けるのは危ないから途中退場して欲しいだって」
「え? ここまできて退場はしたくないかな」
そもそも、か弱いって何よ! まぁ、他の子達からしたら身体的には弱いけどさ。それでも、そんな風に言われると傷付くじゃない。
『主人様! それでも、俺は貴方が危険な行為をするのであれば俺は貴方達を止めます!!!』
俺は花茶様の背に乗っている主人様に糸を吹きかけた。
「えっ、灰土何するのよ!!!」
「ちょっと! 花茶に何で糸を飛ばしたの! あっ! 主人様に糸付けて!!! もう、花茶怒ったんだから!!!」
花茶は灰土に体当たりをした。灰土は一瞬よろめいたが、すぐに持ち直し糸を花茶に乗っている私に吹きかけてきた。
もう! 何するのよ! これじゃあ紅姫が優勝しちゃうじゃない! 分かった。分かったわよ! 私が花茶から降りれば良いんでしょ!
「花茶、私灰土に説教するから、降りるわね」
「うん! 主人様糸吹きにガツンと1発言ってあげて!!!」
花茶はその場で止まり、私は花茶から降りた。
「花茶は先行ってて」
「花茶も主人様と一緒に糸吹きに説教する!!!」
「私は足が遅いからレースに戻るのは難しいけど花茶のスピードなら戻ることができるわ。だから、私の分まで走ってきてくれないかしら」
「えー。うーん、分かった! 主人様いってきまーす!」
「頑張るのよ!」
花茶は走り去っていった。頑張るのよ花茶! 勝ったら新しいぬいぐるみあげるからね!
「灰土、私貴方の糸まみれなんだけど、どう言うことなのかしら?」
『俺は貴方が危険な行為をしているから止めたまだです』
「花茶が言ってた事を推察するに灰土は私がこのレースに参加していることが危険だから辞めさせたいのよね?」
『!? 主人様と会話が出来ている!? 主人様は俺の思念を受け取れるようになったと言うのか!? それなら、俺の考えをわかってもらえる』
「灰土、貴方のその行動はとても素晴らしい事だと思うわ。でもね、私が他の子と比べて弱いのはわかるけど過保護すぎよ!私は大人だし、危なかったら何かアイテムを想像すれば解決できるだけの知識はあるわ」
私は掘削機君を2台作り出した。
掘削機君は巨大な灰土に向けてドリルは高速に回転していた。
「私がそんなに弱いって言うなら灰土! 私と戦いなさい!!!」
『えっ!? どうして主人様と戦わないといけないのですが!? 俺は危ないから辞めてもらいたいだけで主人様とは戦いたくないです』
灰土は掘削機君と私を交互に見つめていた。
うーん、ドリルの音だけじゃ怖がらないかぁ。
つい、戦いなさいって言っちゃったけど私って戦えるの!?
何言っちゃってるのよ私!
でもさ、か弱いって思われるのなんか嫌だし。弱いせいで守られるのなんか癪に障るのよね。この洞窟の主人なのにどうして守られるだけの存在なのよ。私だって、強いんだからね!
絶対に! 灰土に勝ってみせるわ!!!
凪が作り出したアイテム紹介
◾️掘削機君2台◾️
黄結姫がドリルの音が嫌いだから、ドリルを回転させて灰土に威嚇してみたけど全く効果がなかった。
2台使っているのに怖くないなんて、なかなかやるわね。ギュイイイィィィィンとドリルが高速回転しているが、安全設計の為、土や岩以外には効果がない。回転しているドリルを素手で触っても魔法陣が展開して手を守ってくれるぞ!
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