灰土の道整理
虫レーススタート地点にてDJ蜘蛛が観客に向けてレースの実況をしていた。
『途中参加の灰土様は一体どんな走りを私達に見せるのでしょうか! 4カメ蜘蛛さん中継お願いします!』
DJ蜘蛛がそう言うとモニター画面には巨大な芋虫がレースコースを爆走している映像が映し出された。
『なんと! 灰土様はコースを脱線し教会まで一直線に向かってしまっている!!! ん? ああ!!! 俺としたことが灰土様に赤い矢印について説明するのを忘れていた。これはまずい。この度は、俺。コッホン。私の不注意で灰土様を棄権にさせてしまったことを皆さんに謝らないといけません。申し訳ございませんでした』
俺は主人様と花茶様の後を追っていた。
教会に先についたのだが、主人様がいらっしゃらなかった。
藍介と紫水に詳しいことを聞き、俺は元来た道を引き返し、赤い矢印を探した。
『赤い矢印、赤い、これか!』
俺は1つ目の矢印の指す道へ進み、2つ目の矢印通りに進んだのだが、道の先には崖ができていた。
4層目に住んでいる俺だが、こんな崖一度も見たことがなく、俺は困惑した。
『灰土様はコースに戻ってきました! 一つ目の障害。崖エリアを灰土様はどのように突破するのでしょうか!』
『主人様はこんな危険な道を通ったと言うのか!? これは、俺が考えているよりも危険な遊びだ! 今すぐ辞めさせなくてはいけない。だが、この崖をどうにかしないとな。この道を通る者が危なすぎる』
俺は特殊固有スキル『土風岩嵐』を使用して崖を埋めることにしたのだが。
『うーん、スキルを使うにしても深さを調べなくてはいけないな。だが、それだと時間がかかる。仕方ない崖を埋めるのはやめて道を作ろう』
俺はスキル使用して一旦反対側に繋がる道を作り、その道を支えるために半円の岩を設置。半円の岩の空洞に俺の糸を何本も付けて補強した。
『うん、これなら後から来た者達も安心して崖を渡れるな。よし! 主人様を追いかけよう!』
『何と言うことだ! 灰土様は崖に道を作りました!ですが、このコースは私のスキル『会場設営』によって作られた物なのでこのレースが終了したら道自体無くなります。4層目にお住まいの方は崖などは無くなり元の道に戻りますので、安心してください』
俺は崖の先の道を走っていると急激に辺りが暑くなってきた。
『なんだ、ここは熱いな。って! 溶岩!? 何故? 溶岩があるんだ!? 危険過ぎる。これは溶岩を埋めなきゃいけないな』
俺は溶岩を土で埋めてみた。
『なんか、埋められたな。まぁ先に進もう!』
『灰土様はマグマエリアのマグマを全て土で埋め立てています! 今回このエリアのマグマは熱はなく。ただ見た目だけがマグマにそっくりなドロドロした物体です。一応、マグマエリアでは他のエリアの10度だけ高く設定してあります』
俺はマグマがあった場所の奥の道に進み走っていると黄結姫様の尻尾の先が見えた。やっと、追いついたぞ。後少しだ! 気合いを入れろ!
『うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!』
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