DJ蜘蛛のスキル
私と花茶は紅姫と並走していた。
紅姫案外速いのね。ここまで、拮抗するなんて考えなかったわよ。
「あっ! 主人様! 2つ目の赤い矢印あるよ!」
「左に曲がるのね!」
あれ? この道に左に曲がれる道ってあったっけ? マップ開いて確認しよう。
私は虫マップ君を取り出して確認したら、マップ上に左に曲がれる道は存在していなかった。えっ!? 道がない。いや、でも、今通っているから道があるわけであって、何で新しい道があるの?
「ごめんなさい! 主人様止まるね!」
「えっ!!! ぐっふぁっ! 花茶急にどうしたのよ」
花茶が急に止まったことでシートベルトがお腹に食い込んだ。目の前には見たことのない崖。崖の下は真っ暗で崖の向こう側の道まで100メートル以上の距離があった。
だから! 何で、マップ上で道がないのにあるわけ! こんな崖あったら、この前探検した時に確認しているはずでしょ!
意味が分からないよ! こう言う時、藍介がいてくれたら何か分かったかもしれないのに。
『主人様&花茶様は2つ目のチェックポイントを通過し、崖エリアに到着した!』
「お先に失礼しますわ」
紅姫は天井に糸を付け、宙を飛んだ。
かっ、かっこいい!!! なにそれ!? めっちゃかっこいいんだけど!!! 私もやってみたい!
「うわっ! 紅姫さんすごいね! どうしよう。羽あるけど花茶緑癒お兄ちゃんみたいに上手に飛べないし、天井這っていくと主人様が落ちちゃう可能性あるし。うーん。どうしよう」
「主人様、花茶ちゃん私もお先に失礼します」
黄結姫は体を天井まで直立させ、向こう側の道に体を倒した。これは! 黄結姫の橋ね!
「花茶! 黄結姫の背中の上登るわよ!」
「えっ! 黄結姫さんの背中登っても良いのかな?」
「それしか方法がないんだからやるしかないわ!」
「分かった! 黄結姫さんの体に登るね」
私と花茶は黄結姫の背中に登った。すると、緑癒が呑気に休憩していた。
「緑癒お兄ちゃん! どうして黄結姫さんの背中に乗っているの!」
「それはですね、追いかけっこで疲れてしまって黄結姫さんの背中で休憩していました」
「ずるい! ちゃんと勝負してないじゃん!」
「いいえ、これは戦略的な休憩です」
「花茶、緑癒の事はほっといて先に進みましょう」
「はーい」
花茶は黄結姫の背中を走り始め、崖の向こう側に着いたら黄結姫にお礼を言って紅姫の事を追いかけた。
『レース参加者は全員! 1つ目の障害である。崖エリアを突破しました!次の障害は、マグマエリアとなっています! さぁ!参加者は全員突破することができるのか!』
教会には藍介と紫水が教会前に設置されているモニターを観ていた。
「ねぇ〜、ねぇ〜、藍介〜、4層目の道でこんな場所あったっけ?」
「いえ、崖なんてありませんよ。多分これは、DJ蜘蛛さんのスキルによるものですね」
「DJ蜘蛛のスキル? どんなスキルなの?」
藍介は本を取り出し調べ始めた。
「確かですね。DJ蜘蛛さんには特殊固有スキル『会場設営』と言うスキルを持っていまして、そうそう、地形を自由に変えることが出来るみたいですね。えーと、催し物を開催することが発動条件みたいですね。この前のダンスフロアもDJ蜘蛛のスキルだったみたいです」
「ほへぇ〜、あいつそんなスキル持ってたんだ〜、地形変えられるって凄いね〜」
「スキル範囲は分かりませんが、このレースを見る限り、広範囲のスキル行使が出来るみたいですね」
「主人様と花茶ちゃん大丈夫かな〜? 次マグマって言ってなかった?」
「言っていましたね」
「ねぇ〜、藍介〜、助けに行ってみる?」
「いいえ、私達はここで待っていることにしましょう」
「え〜、危ないよ〜俺主人様の護衛だから助けに行って〜」
「DJ蜘蛛さんも流石に危険な行為はしない筈なので待ちましょう」
「う〜ん、分かったよ〜。あっ、灰土も参加してるよ〜! 楽しそうだな〜、俺も参加したかった〜」
「次回開催されたら参加するのも良いですね。そしたら、私は主人様とチームを組み2人で‥‥」
「藍介だと主人様が走ることになるから優勝は無理だよ〜、俺なら〜主人様を背中に乗っけて走れるから主人様と組めるね〜。それで、優勝したら主人様に頑張ったねって言われてほっぺにキスしてもらうんだぁ〜。絶対に次回参加しないと!」
藍介と紫水は教会前でレース参加者がゴールするまで待つことにした。
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