第1回 虫レース!
私は花茶の背に乗ってスタートラインでDJ蜘蛛の開始の合図を待っていた。
「花茶! やるからには絶対勝つわよ! そうね、勝ったら欲しい物作ってあげるわよ!」
「やったー! 花茶、新しいぬいぐるみ欲しい!」
「紅姫と黄結姫、緑癒、貴方達も勝ったら欲しい物作ってあげるわ!」
「それなら、私はパーティーグッズが欲しいです」
「えーと、えーと、欲しい物思い浮かんだら言います!」
「教会で信者達に信者の証を渡したいですね」
「花茶はぬいぐるみ、紅姫はパーティーグッズ、黄結姫は保留と緑癒は信者にあげる証っと」
私はメモ帳を取り出して欲しい物をメモした。
「主人様、DJ蜘蛛が皆にレースの風景を他の子供達に観せたいと言っているのですが、何かアイテムありませんか?」
「えーと、カメラとモニターってことね。あと、マイクもいる?」
『マイク!!! 紅姫様! 紅姫様! マイク欲しいです!』
「DJ蜘蛛がマイクも欲しいみたいです」
「分かったわ、配信一式作るわね」
作った配信一式をDJ蜘蛛に渡したらDJ蜘蛛は飛び跳ねて喜んでいた。その後、準備をするから少し休憩してて欲しいと言われてお昼休憩をすることなった。
なんか、大掛かりになってきてない?
まぁ、私もつい作ってあげちゃったからいけないんだけどさ、これは、虫のレースね。
定期的に虫レース開催しても良いかもね。
長達以外にも参加したい子がいたら出てもらったりして交流の場として良いと思わない?
紅姫は子供達にDJ蜘蛛のお手伝いをお願いしたみたい。
黄結姫は洞窟に居る全ての虫達にレースをやるから観に来てと宣伝していた。
黄結姫、洞窟内の全ての生物に思念伝達を送れるなんてすごいわね。私なんて、長達にしか思念送らないのに。
準備は2時間ほど掛かった。
準備中私は暇だったから、お昼ご飯は塩おにぎりを作って準備している皆んなに食べてもらった。
そして、第1回虫レースが開催した。
私はもう一度花茶の背に乗り、スタートラインに着いた。
「花茶! お腹いっぱいで走りにくいかもしれないけど頑張るわよ!」
「うん! 花茶頑張る!」
「私が勝たせてもらいます」
「わ、私だって勝って見せます!」
「僕も負けませんよ!!!」
『主人様には聴こえないと思いますが、DJ蜘蛛が今回のレースの実況解説を行いたいと思います! それでは!まず最初に選手の紹介です!』
小型カメラを持った蜘蛛が天井から糸を垂らして降り、私と花茶を撮影していた。巨大モニターには私と花茶が映っていた。
映るか心配だったけどちゃんと使えているみたいね。なんか、自分が大画面で映っているなんて恥ずかしいわね。
『主人様&花茶!!! 私達の神である主人様が、6層目の長である花茶様と共にレースに参加!!! 主人様は花茶様と言うスピードスターをどのように乗りこなすのか! 皆さん! 主人様と花茶様に声援をお願いします!』
私達は沢山の蜘蛛とムカデに囲まれていた。
『主人様!!! 頑張ってくださーい』
『キャー!!! 花茶様よー!!! 可愛いー!!!』
『おい、何でお前泣いているんだよ』
『主人様を初めて見たんだよぉ。神様が動いてる、動いてるぅぅぅ』
「主人様、皆んなにとっても褒められて花茶とっても嬉しい!!! 頑張ろうね!」
「ん? 皆んなって虫達のこと?」
「そうだよ」
皆んなに褒められるね? そっか、私は虫達の思念受け取れないけど花茶には受け取れるのよね。周りは盛り上がっているみたいね。
『続きまして、3層目の長である。強大な力を持ちながらも慈悲深い我らの母!紅姫!!!』
『ママー!!! 頑張ってー!!』
『紅姫様頑張ってください!!!』
『紅姫様!!! 愛しています!!!』
『パーティーグッズ欲しい!!!』
「皆さん声援ありがとう。私絶対に勝ちますわ」
紅姫は子供達に手を振ってあげていた。
強者の風格があるわね。でも、負けないからね。
『続きまして、洞窟No. 1の巨大な体を持つ2層目の長!!!黄結姫!!! 百以上の脚を使った豪快な走りで優勝なるか!! ですが、黄結姫様は体を結んでしまうと言う弱点もあります。その弱点を克服して最後まで走り切れるでしょうか!!!』
『黄結姫様!!! 体結んじゃダメだからね!』
『黄結姫様ファイト!!!』
『参加できなかった紫水様の分まで頑張ってください!!!』
「はい! 紫水の分まで頑張ります!」
黄結姫は上半身を直立させて左右に体を揺らしていた。
体が大きいから迫力あるわねぇ。
『最後に2層目の長にして、凪教設立者!!! 緑癒!!! 唯一空を飛びながらの参加!!! 美しい羽で優雅に飛ぶ姿は美しいとしか言葉しか浮かびません!』
『緑癒様!!! 信者の為にも絶対に勝ってください!!!』
『信者の証欲しい!!!』
『絶対に勝てよ!!!』
「あれ? 何故だが僕だけ皆さんに応援されていませんよね?」
「緑癒お兄ちゃんどんまい!」
「花茶ちゃん、僕やる気なくなってきました」
『おい、緑癒様がやる気無くしてしまったみたいだぞ、皆んな応援してやれよ!』
『緑癒様!!! 頑張れー』
『緑癒様とってもかっこいい!』
『緑癒様のお尻とっても可愛い!!!』
「応援ありがとうございます」
緑癒は少し不貞腐れてしまったみたいだった。
『レースコースを説明します。ここから教会までの最短距離だとコースが短いので、こちらの赤い矢印の指す道が今回のコースとなります。コースにはあらゆる仕掛けをご用意しました。それでは、旗持ちさんスタートの合図よろしくお願いします』
「了解!!!」
「あらゆる仕掛けですか、楽しみですね」
「怪我しないように気をつけて行きましょう」
「怪我しても僕が治療しますよ」
「ん? 仕掛けってなに?」
ムカデ、蜘蛛、蚕、ゴキブリのシルエットの絵が描かれている3メートルほどある旗を持ったムカデがスタートライン目の前に現れた。
私が作った旗なんだけどこれ良いデザインだと思わない? 思うわよね! この旗結構自信作なんだから!
『位置について! よーい!スタート!!!』
ムカデが旗を左右に振り、レースが始まった。
花茶はスタートダッシュが成功したが、速すぎて私はサドルに必死にしがみついた。シートベルト付けたけど、この速さは怖すぎよ!
凪が作り出したアイテム紹介
◾️配信一式◾️
レースを中継できるようにカメラ、モニター、を用意してみた。カメラは大中小様々な大きさで、高性能の物を想像した。モニターもスタジアムとかで使用されている大きさ。
◾️マイク◾️
レースには実況が欲しいと思って作ってみた。
レース後、少しマイクを改造して、白黒の蜘蛛の巣模様のマイクをDJ蜘蛛にプレゼントしてあげた。
◾️スタート合図で使った旗◾️
真っ白な旗の中央にはムカデ、蜘蛛、蚕、ゴキブリの黒色のシルエットが描かれている。
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