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緑癒の夢

 僕はいつもより早く眠りについたはずでした。

なのに、夢の中で目が覚めたのです。

夢の中の僕は知らない布団? から起き、僕の体に違和感を感じました。僕の大切な羽が無いのです。それに、手が主人様と同じ。これって、どういうことなのでしょうか?


 僕は歩いてみることにした。


「ぐへぇっ!!!」


 僕は歩こうとしたら、布団から転げ落ちてしまいました。


「教皇様! どうかなさいましたか!」


 聖職服を着た見知らぬ人間の男が急に現れました。


 この人は一体。そもそも、なぜ人間がいるのですか?

教皇? 教皇ってなんですか?

ん? あれ!? 僕の体! 人間じゃないですか!?

えっ!? どうして‥‥。

あっ、これは夢ですね。僕は紫水の話で精神ダメージを負い、ダメージを回復するために早めに寝たのです。うん、これはリアルな夢ということです。僕もたまにそういう夢見るのですよ。そうですね、勇者蚕になって冒険する夢はよくみますね。あれ、楽しいんですよ。内容は途中から思い出せない時とかありますが、この夢もそんな感じです。夢なんです。

そう! 夢!


「教皇様?」


「なんでも、ありません。寝ぼけてベッドから落ちただけです」


「そうなのですね。ですが、教皇様は世界で1人しかいないのです。寝ぼけてベッドから落ちて死ぬと言うことだけはやめてくださいよ」


「はぁ、分かっていますよ。少し、1人になりたいので出ていってもらえませんか」


「かしこまりました。今日のご予定は昼からなので久しぶりにゆっくり休んでください」


 男はそう言うと部屋から出ていった。

僕は鏡の前に立っていた。


「あーあ、昼までしか休めないなんてあいつは休暇の意味を知らないんじゃないか」


 あれ? 僕が考えていないことを言葉にしている。

僕は主人様がたまに見ている鏡と言う物に近付いていきました。


「それにしても、僕はやっぱり世界一の美男だな!」


 鏡の前の僕は主人様よりとても背が高く、髪は金色、瞳の色はとても濃い緑、顔は、僕が言ったのでよく分からないですが、僕は美男なのでしょうか?


 僕は布団に戻り枕を抱きしめていました。


「僕はもう疲れたよ。いつも教皇様助けてください。教皇様! 疫病が蔓延しています。どうかお力をとか言われてさ。僕だって、外で追いかけっこしてみたい! 可愛い彼女作りたい! あー、生まれ変わることができるなら、自由な生活したいなぁ。人じゃなかったらそうだな‥‥。空を飛んでみたいから鳥になりたいな。それで、番を作って沢山僕の子供を作って子孫を繁栄させて死ぬんだー。なんて、素晴らしいのだろう! でも、一度ぐらいこいつ使ってみたいなー」


 僕の目線が下半身に向いた。

なぜ下半身を見ているのですか?

これは、夢ではなく、この人間の男の中に僕の精神だけが入った状態ということなのでしょうか? これは! 僕は新たなスキルを得たのですね! それなら! 『ステータス』

あれ? ステータスが表示されません。

僕の本体に精神が戻ってないから表示されないのでしょうか?


「はぁ、僕はいつになったらこんな堅苦しい生活から抜け出せるのかな」


 突然、部屋のドアが開き、慌てた男が入ってきた。


「教皇様!!! 大変です。ガラス地区のクラスタ町にて疫病が蔓延したようなのです。急遽、司祭たちを向かわせましたが今回の疫病は邪神教が関与していると報告がありました」


「また、邪神教かぁ、勇者教といい僕達以外の他の宗教信者ってなんで争い事を作りたがるのかな。僕には理解できないよ」


「そう言われましても、すみませんが身支度をして貰ってもよろしいですか」


「はいはい、休暇なしってことね。ニルス、昼の予定キャンセルしといて疫病は僕でなんとかしとくから」


「かしこまりました」


「せっかくの1年ぶりの休暇なしかぁ」


「我らが至らぬばかりで教皇様のお手を煩わせてしまい申し訳ございません」


「いいって。瞬間転移テレポートの準備しといて」


「もう準備はできています」


「それなら、さっさと行って終わらせるか」


 僕は身支度を済ませガラス地区のクラスタ町に瞬間転移テレポートで向かった。


 町は酷い有様だった。


 子供の顔には赤い斑点模様が浮かび上がり、体が硬直していた。老婆は力つき道のど真ん中で死んでいた。若い男は体力があるから死なずにいたが、それでも全身が痛いと泣き喚いていた。疫病に罹らなかった者達は必死に患者を看病する者、恐ろしい地獄みたいな光景から逃げ出す者、この町を管理していた貴族は疫病が蔓延した瞬間、町から逃げ出したみたいだ。


 貴族のくせに何やっているんだよ。ほんとこの国の貴族はクソどもばかりで腹が立つ。

お前達が1番に民を守らないといけないと言うのに。何で僕がクソ貴族共の尻拭いしないといけないんだよ。

さっさと浄化作業して国王にチクるとするかぁ。


「教皇様! 教皇様がいらしたぞ!!!」


「教皇様!? なんと慈悲深い方なんだ」


「教皇様!!! お願いです! この子をこの子を治してください!」


 顔に赤い斑点模様が出ている赤子も抱き抱えた女性が僕の目の前に現れた。


「赤ちゃんを触ってもよろしいですか」


「はい!」


 僕は赤子に僕だけしか使えないスキル『神の慈悲』を使い病を治してあげた。赤子の赤い斑点模様が消え去り、顔色も良くなった。


「ありがとうございます。ありがとうございます」


「教皇様! 俺の母ちゃんをみてくれ!」


「何言っておる、わしが先じゃ」


 僕の周りには沢山の患者で溢れかえっていた。

いつもこうだ、僕が病を治すと人が僕に向かって治してくれと要求する。1人ずつ治していくのは面倒だからスキル範囲を広くするか、また魔力水飲みまくらないと。

魔力水味はいいんだけどさ、飲みすぎるとお腹チャプチャプして嫌なんだよね。トイレの行く回数増えるしさ、でも、僕しか治してあげられないからやらなきゃね。


「カール、魔力水の準備を」


「もうご用意できています」


 ちょっと、皆んな用意周到過ぎない? まぁ、やるけどさ。


「スキル範囲特大『神の慈悲』」


 僕は金色に光りに包まれ辺り一帯を金色の光で包み込んだ。

今回は10回ぐらいかな。


「おおー!!! 教皇様! ありがとうございます」


「ありがとうございます」


 僕を囲っていた者達が一斉に僕に感謝した。

そして、僕はクラスタ町全体を浄化してこの疫病の原因を調べてた。すると、やっぱり邪神教が関係していたので、疫病を広めた犯人を捕まえたのだが、犯人は自害してしまったみたいだった。だから、僕が一緒にいた方が良かったんだよ。

自害しようとしても僕なら治せたのに。


 あーあー、疲れた。疫病は速攻解決したけどその後で苦労したから10日も掛かっちゃったよ。早く帰って寝よう。



「はぁっ!」


 僕は夢から覚めました。

自分の体を確認すると羽ある。主人様が大好きな大切なお尻もある。なんと、生々しい夢だったんでしょう。 やはり、新たなスキルで他人の精神に入り込んだのでは?


『ステータス』うん、新たなスキルなどないですね。

それなら、やっぱり夢だったと言う事ですね。

それにしても、恐ろしかった。

人はなんであんな醜いことができるのでしょうか。

普通なのが夢の中の僕と僕がいる宗教の人達だけで、他の人間は心が腐敗していましたよ。もう、僕もあんな事あったら激怒しちゃいますよ。それぐらい酷い人達だったのです。

これは、主人様にお話して慰めてもらいましょう!!!


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