教会の煩悩室?
教会の中にある懺悔室と書かれた部屋に聖職者がつけている帽子ミトラを頭にちょこんとつけた大きな蚕がいた。
僕は現在、教会内に懺悔室と言う罪や後悔を告白する部屋を主人様に作って貰ったのですが、作ってまだ5日しか経っていないのに利用者が多くて5日間も僕は懺悔室に籠っています。
「緑癒、すみません。話を聴いて貰ってもよろしいですか」
あぁ、1番の利用者の藍介さんがいらっしゃいましたね。
藍介さん、話が長くて大変なんですよ。基本、話す内容は主人様の事などで大変ですが、主人様のいいえ、神のお話を聴けるのは楽しいのですが、その拘束時間がもう、長い。
そのせいで、他の方達が懺悔室の前で沢山並んでしまうのですよ。後で神に相談してみましょう。
「藍介さん今日はどうなさったのですか? 4日間ここで主人様に謝り続けていますが、今日も謝るのですか?」
「いいえ、今日は違う話を聴いて欲しくてきました」
やっと、話が進展しましたね。
「分かりました。それで、どのような話なのですか?」
「それはですね、私は今主人様の砂像を制作しているのですが、主人様の体型を思い出すために何度もスキル『愛祭』を使っていたのですが、私は気付いてしまったのです」
「何を気付いてしまったのですか?」
「それは、主人様の‥‥」
「主人様の?」
「その、主人様のお胸が左右大きさが違うということを気付いてしまったのです!」
藍介さん貴方、本当に反省しているのですか?
いや〜、まさか、4日間あれ程、神に謝罪していたというのに、神の胸が左右大きさが違う‥‥。
おぉ、神よ。
僕も神の胸の話、物凄く気になってしまいました。
神よ、この話を聞く僕を許したまえ。
藍介さんこれ、神が聴いたら絶対怒るやつですね。
「藍介さん、主人様に絶対にその話はしてはいけませんよ。後、紫水と灰土さんにも話してはいけません」
「分かっていますって。緑癒だけに話しますね。緑癒も私が主人様の下敷きになった時の主人様の胸の感触知っていますよね」
「えぇ、あれは本当にありがとうございます」
あの時、全身が柔らかい物に包まれた感触。
本当に最高でしたよ。
「その時は左胸に当たりました。そして、ダンスホールで主人様の胸に抱きついた時は右胸に抱きついたのですが、大きさが違うのですよ」
「ん? 下敷きになっていたのに大きさなんて分かるのですか?」
「それが、胸の柔らかさが違かったのです。驚いた私は必死に主人様との記憶を沢山思い出し体験していた結果。主人様の左胸の方が柔らかくて右胸より大きく、右胸は張りがあり左胸より弾力があることが分かったのです!」
「なんと!? 人間の胸は左右大きさが違うのですか?」
「えぇ、本で確認済みです。基本的に左胸の方が大きくなるみたいですね。理由としては、左心臓があるからとか、乳腺の発達の仕方や脂肪のつき方など色々な理由があるみたいです」
「さすが藍介さん! すみませんが、藍介さん僕も主人様の胸の大きさの違いを確かめたいので、スキル使ってもらえませんか?」
「仕方ないですね、1回ずつしかやりませんからね」
「ありがとうございます!」
僕は藍介さんのスキルによって神の左右胸の感触を確かめました。はうぅぅぅう。最高すぎるぅ、あっ、本当だ右の方が少し弾力があるような気がします。
左胸、右胸どっちが好きかと聞かれれば、僕は左胸を選びます! やはり、胸は弾力より柔らかさですね!
「緑癒、どうですか? 左右の胸の違い分かりましたか?」
「藍介さん、これは大変素晴らしい発見ですよ!」
「いや、発見した時は嬉しかったのですが、今私は主人様の砂像を制作しています。左右胸の大きさが違うなんて知らなくてもう今じゃ胸を修正することができないのですよ」
「少しだけ、右胸を削ればいいだけでは?」
「そしたら、主人様の胸の大きさが変わってしまいます!私は主人様の胸を減らしたくないのです!」
「そしたら、そのままにしたらどうです?」
「くぅぅ、そのままにするのは、プライドとして嫌なんですよ。あぁ、左右胸の大きさが違う事を気付かなかったら後悔なんてしないのに、何故私は気付いてしまったのでしょう」
藍介さんが後悔することあって良かった。
このままだと懺悔室が煩悩室になるところでしたよ。
僕は別に煩悩室、あってもいいと思うのですよね。
煩悩ない生物なんてこの世にいませんから。
「だから、ここに来たのですね」
「胸の話だけなら自分の心に秘めますよ。ですが、後少しで完成って時に左右胸の大きさが違うと気付いた時の絶望。緑癒には、わかりますか」
「うーん、そこまで熱中して物を作った事ないので僕にはわかりませんね」
すると、懺悔室のドアをドンドンと叩く音がしました。
「うわっ! びっくりしました」
「ねぇ〜! もうそろそろ〜、俺の話を聴いてよ〜」
ドアを叩いたのは紫水ですね。もう、乱暴な事は僕嫌いなのですよ。
「緑癒、長話になってしまいすみません」
「いえいえ、主人様の貴重な情報ありがとうございます」
「それでは、私は出ますね」
「えぇ、また来てくださいね」
「また来ますね」
藍介さんが懺悔室から出た瞬間、紫水が待ってましたとばかりに懺悔室に入ってきました。
懺悔室の中は紫水の身体でぎゅうぎゅう状態。
あの中にいたら、僕は圧迫死しそうですね。
「やっぱり〜、さっきまで藍介が話してたんだね〜。1時間待っても空かないから〜、藍介がいるのかな〜って考えてたけど的中しちゃった〜。ねぇ〜、ねぇ〜、緑癒〜、藍介は何話してたの〜?」
「すみませんが、守秘義務があるので話せません」
「え〜、そこをどうにか〜おねが〜い話してよ〜。主人様の情報知れそうじゃん〜」
紫水、なんて鋭い子なのでしょう!
さっきの藍介さんの話を教えたら面倒になるに決まっています。守秘義務と言って押し通しましょう!
「守秘義務なんです」
「じゃあさ〜、俺が知ってる主人様の情報話すから〜、緑癒が知ってる主人様の情報教えてよ〜」
紫水は神の家に出禁になってから僕に神の情報を聞きに来ているのですが、ここは懺悔室なのですよ?
情報交換の場ではないのです。
僕はさっきたまたま神の情報を聞いただけであって、故意に藍介さんから情報を聞き出そうとはしていません。
「ここは情報交換の場ではないのです。罪や後悔を告白するのがここの役割なのです。そうでないなら追い出しますよ」
紫水に強気に行ってしまいましたが、大丈夫ですかね?
怒りませんか? 怒らないでください。紫水と喧嘩したら僕が負けるのは目に見えています。
「え〜、それなら〜、俺〜の後悔した話するね〜」
あの紫水が後悔ですか、珍しい事があるのですね。これは、明日あたり魔石が魔力爆発しそうですね。
「どんな後悔なのですか?」
「それは〜、主人様が寝ている時に布団に忍び込んだ話なんだけどね〜」
今なんと? 神が寝ている時に布団に忍び込んだ。それって、犯罪じゃないですか! 神にとって布団の中は聖域! それを害したとなれば大罪です。これは、後悔の話じゃありません。罪の告白だったのです!
「えぇ、それで忍び込んで主人様に何をしたのですか?」
「うふふ、あのね〜、あのね〜。主人様が涎垂らしてたから、俺〜主人様の涎食べてみたんだよね〜」
ん? こいつは何を言っているのでしょう?
神の涎を食べる。はて? 涎は食べ物じゃないですよね?
それが、何故後悔となるのでしょう?
あ! そういう事ですね。やってはいけないという事を分かっていた。そう、良心の呵責というやつですね。
「それが、何故後悔となるのですか?」
「勝手に食べちゃったからさ〜、やっちゃったな〜って主人様が知ったら怒られそうだから後悔してるんだよね〜」
「それは、主人様が知ったら。そりゃあ、怒りますよ。寝ている時に勝手に布団に入ってまして、涎を食べるなんていう行為をしたのですから」
「でもさ〜、主人様の涎美味しかったんだよね〜。俺は〜普段湖の水か〜、主人様から貰った水筒の水食べてるんだけど〜。湖の水は〜、色々な属性の魔力が含まれていて〜、食べに行く場所によって味が変わるんだけどさ〜。水筒の水は〜、魔力の塊って感じで食べ応えあるんだよね〜。でも〜、その2つの水よりも主人様の涎が物凄く美味しかったんだよ〜。主人様の魔力を直接取り込んでいる感じ〜。もう〜、最高に美味し過ぎて興奮しちゃったんだ〜」
僕の中で今までの紫水は、良い人とは言い切れませんが、まぁまぁいい人だったんです。ですが、今日この場で僕の中の紫水はヤベェ奴になりました。これからは、紫水にあまり近付かないようにしましょう。あと、藍介さんと灰土さんに頼んで紫水を再教育してもらいましょう! ですが、この事は守秘義務によって話してはいけません。どうやって、藍介さんと灰土さんに紫水の再教育して貰えばいいのでしょうか? さすがに神にも言えませんし、うーん、いい案が浮かびません。やっぱり、神に頼ってもいいのでは‥‥。
「紫水、主人様が嫌がる事をした事は分かっていますよね」
「うん〜、だからここで話してるじゃん〜」
「自身の罪を向き合い、もうこれからはこのような事をしてはいけませんよ。また、食べたいと思った場合は主人様に直接聞いて、許可を得てからにしましょう」
神よ申し訳ございません。僕にはこの件を解決することできません。神よ、紫水をどうか正しい道へ導いてください。
「やっぱり〜、主人様に言わずに食べちゃうのはいけないよね〜。緑癒〜聴いてくれてありがとう〜。食べたくなったら次は主人様に許可もらうね〜」
「それでは、話は終わりでいいですね」
「うん〜。それじゃあ〜またね〜」
紫水は満足して懺悔室を後にしました。
僕は話の内容の異様さに心にダメージを負い、懺悔室に並んでいた方達に休みたいので今日は懺悔室を閉じると話、謝りました。
はぁ、紫水の話でドッと疲れましたよ。
もう、早めに帰って眠るとしましょう。
僕は2層目の住処に戻って神からもらった帽子を緑色の帽子立てに置き、僕はいつもより早めに眠った。
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