新たな宗教『凪教』
紫水が私に話しかけてきました。
「藍介〜、せっかく結婚について授業してくれてたのに喧嘩しちゃってごめんね〜。授業の続きやる〜?」
「貴方達あんなに暴れて疲れていないのですか?」
「俺は平気〜」
「俺は体力には自信があるので大丈夫です」
「僕は少し眠いですね」
「それなら、少しだけ授業をしたら眠りましょうか」
「は〜い」
「よろしくお願いします」
「頑張って起きます」
私は本を取り出し授業の続きをしました。
「結婚の申し込みを相手に承諾されたら、教会で結婚式を開き婚姻届にサインをして、役所に提出することで、結婚したと言うことになるみたいですね。他には逆パターンがあり、婚姻届にサインして役所に提出してから教会で結婚式を開くと言うのもありますね」
緑癒は右足を上に挙げ私に質問をしました。
「藍介さん、教会はどんな所なのですか?」
「人間が信仰している神を祀っている場所ですね」
「それなら、教会があれば主人様と結婚式はできるのではないですか?」
「教会といっても私達は神を信仰していませんし、教会だけが造られても聖職者が居ないと意味がないのですよ。司会進行者など結婚式には色々な物を準備しないといけません。この絵に描いてある物を準備できるかといえば、主人様のお力を借りる事が出来るのであれば可能ですが、私達だけで作ることは不可能ですね」
「それじゃあ〜、主人様にお願いしてみよ〜よ〜」
「どうやってお願いするのですか、主人様と結婚したいから教会作ってくださいと言ってみるのですか?」
「うん〜。俺の主人様への思いを伝えたら〜、優しい主人様なら〜、俺と結婚してくれると思うんだよね〜」
「紫水、それは難しいと思うぞ」
「え〜、灰土なんでそう思うんだよ〜」
「俺達は主人様と種族が違う。それに、体型も違うじゃないか。子孫を残すと考えると主人様の負担は大きいものとなる。交尾をして主人様を死なせてしまったらどうするんだ」
「急に悲しい話しないでよ〜。それなら〜、交尾はしない前提で結婚するのはどう〜?」
「それは俺たちが生きる目的を否定していることにならないか?」
「子孫を残す事が〜、俺の生きる目的じゃないから〜、俺は子供できなくても大丈夫〜」
「そうなのか、まぁ、俺もまだ生殖器がない状態だからな。生殖器がある紫水が少し羨ましいよ」
「そうか、灰土まだ赤ちゃんだったね〜」
「やめろ! 赤ちゃんじゃなく、子供だ!それでも、精神年齢はお前より上だからな!」
そういえば、灰土さんは幼虫でしたね。幼虫でこの強さ、成虫になったら紅姫さんや黄結姫さんより強くなるんじゃ。
「藍介さん! 聖職者になるためには何をすればいいのですか?僕、とっても興味があります!」
「えーと、待ってくださいね。聖職者になる為にはまず最初に宗教に入信しないといけませんね」
「宗教? それはなんですか?」
「神や超越者を信仰したり、その教えを基づく行いですかね。この世界で一番入信者が多い宗教は、勇者を信仰している『勇者教』ですね」
「勇者ですか、ん? 超越者を信仰したら宗教を創れるって事ですよね?」
「えぇ、まぁ、出来ますね」
「それなら! 主人様の宗教を創りませんか!」
「なんか楽しそう〜」
「いいですね」
主人様の宗教。これは、主人様と会話できない者達にとっても救いになるかもしれませんね。
「分かりました。主人様の宗教作りましょう! 宗教を創るとすると、代表者を決めないといけませんね」
「僕が! 僕が代表者やります!」
「宗教名は何にしますか?」
「主人様教〜」
「主人様の名前を使った方がいいんじゃないか」
「お〜、それいいね〜」
「それなら、凪教なんてどうでしょう!」
「凪教ですか、いいですね! では、具体案は後日まとめるとしまして、もう深夜です。もうそろそろ寝ましょう」
「え〜、面白くなってきたのに〜」
「私は主人様のお世話があるので、今寝ないと寝る時間がないのですよ」
「うわっ、主人様のお世話している自慢だ〜。俺だって〜主人様の護衛してるもん〜」
「今は護衛してないだろ」
「たまには休まないとね〜」
「ふぁーーー。僕、眠くなってきました」
私は緑癒の背中に乗せてもらい、緑癒の背中の上で眠りました。灰土さんは岩を抱きしめながら眠り、紫水はいつも通り水を枕がわりにして私達は眠りにつきました。
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