シルビーの親友
メビドゥース公爵家に嫁いで7日が経った。
私どゴーエイは片っ端から部屋を調べ、大罪芸術の情報は全く出てこなかった。そして、この頃、ゴーエイは空を見上げている事が多くなった。
庭園に情報がないかと、私はゴーエイと一緒に探していた。
『シルビー、ヘヤニ、モドレ』
『まだ、何も見つけてないじゃない。もう少し探すわよ!』
『ダメダ、イマスグニ、モド』
肩に乗っていたゴーエイが急に私の頭に飛び乗り、空に糸を出して、糸を網状にした。
すると、空から人間の頭サイズの石が落ちてきて、ゴーエイの糸が石を受け止め、ゴーエイは石から私を助けてくれた。
「うそ!? 石!? どうしてこんなに重たそうな石が降ってくるのよ!!!」
『シルビー、イマスグニ、ヘヤニモドレ。オレデモ、3カイ、シカ、フセゲナイ』
「分かったわよ!!!」
私は走って庭園から屋敷に戻った。戻ると、私を見たメイドが驚いて駆け寄ってきた。
「奥様、そんな息を上がらせてどうしたのですか」
「庭園で、大きな石が、降ってきたのよ」
「石、ですか?」
「今は危ないからでちゃダメよ」
『シルビー、ソトミテ、ハンニン、アノ、トリ』
「えっ?」
私は窓から庭園を見たが、鳥はいなかった。
『鳥なんて、いないじゃない』
『ウエヲミテ』
『もしかして、翼人!?』
空には翼人がこちらを鋭い眼差しで睨んでいた。
「ねぇ、あそこで飛んでいる翼人は一体誰なの!」
私はメイドに翼人を指さして聞いた。
「翼人ですか? 本当だ、翼人がいますね。ですが、すみません。私にはあの翼人が誰なのか分からないです」
「どうして、敷地内に亜人がいるの」
「私、この屋敷に来たのが1月前でして、奥様、すみません」
「もういいわ、それなら、仕方ないわね」
そして、これを境に翼人による私への嫌がらせが増えた。私の部屋のテラスにネズミの死体を置いたり、部屋に石を投げ、窓を破ったり、その都度、ゴーエイが私を助けてくれた。
一緒に屋敷に来たネルガルは結婚式以降、別の何処かに連れ去られ、ネルガルに何度も連絡を入れたが、返って来ていなかった。
『もう! ネルガルは一体どこに行ったのよ!』
『オカシイ、ネルガル、ノ、マリョク、チカクニアル。デモ、クワシイ、バショ、ハアクデキナイ』
『他の蜘蛛ちゃん達はどうなの?』
『レンラク、デキタ、デモ、スガタ、ミツカラナイ。アッチモ、オレタチ、サガシテイル。デモ、ミツケラレナイ』
『魔法で居場所がわからなくなっているとかない?』
『オレハ、ソコマデ、カシコクナイ』
『了解、それなら、親友に相談するしかないわね』
私は持ってきた宝石箱を開けて、蝶のブローチを手に取った。
私は蝶のブローチに少量の魔力を注いだ。
蝶のブローチから、青白い蝶が現れ、ヒラヒラと私の前に飛んできた。
青白い蝶から男の声が聞こえた。
「シルビー!!!!! もっと早く連絡してくれよぉぉぉぉおおおお!!!! 僕、シルビーから連絡来なくて寂しかったし、とっても心配したんだよ!!!」
「心配してくれて、ありがとうね。ソル」
「うゔぅ、シルビー、親友の僕を置いて結婚するなんて、酷いよ。ましてや、玉の輿、イケメン、悔しい」
「私は結婚なんてしたくなかったけどね。で、早速なんだけど、私1人じゃ調査行き詰まったので、助けて欲しいのよ」
「うゔぅゔ、分かった。僕は何をすればいい」
「私と一緒に屋敷に来た魚人奴隷の居場所が知りたいの」
「あぁ、あの、魚人のくせにイケメンなあいつか、僕、あいつ嫌い。あんな魚を助けるよりも、シルビーはそこから逃げた方がいいって、僕の塔へ来れるように転移魔法はいつでも発動可能だよ。今、発動する?」
「まだ、何も情報を見つけ出してないからダメよ。で、ネルガルの場所分かる?」
「ねぇ、ここの結界変なんだよね。しかも、その土地の魔力が歪んでいる。土地から流れ出る魔力が歪むことなんて、瘴気が発生した以外では、歪むことなんて、ないのに、どうして。シルビー、蝶をあと10匹作り出してくれないかい?」
「私、魔力とっても低いの知っているのに、酷なこと言うのね」
「仕方ないだろ。ここの土地の謎を解明するには、魔力サンプルが少なすぎるからね」
私はなけなしの魔力を使って、蝶を10匹作り出した。
「よし、その蝶を外へ放ってくれ、あとは僕が調べるから。そのブローチはいつでも身につけておくように、宝箱にしまいっぱなしはしないでね。もしもの時、僕が君を助けられなくなっちゃうから」
「分かっているわよ。それじゃ、解析が終わったら、連絡頂戴」
「了解、シルビー、危険なことは絶対にしないでね」
「分かっているって、それじゃ、夜も遅いし、切るわね」
「おやすみ、シルビー、後は僕に任せてゆっくり休んでね」
こうして、使用人達の間で、見たことのない青白い綺麗な蝶が庭園にいると言う、噂が流れ始めた。
ソルの解析は3日間かかり、解析が終わったその日の夜にソルから連絡が来た。
「シルビー、今すぐに、その屋敷から逃げて! 魔力が歪んでいるんじゃない、空間が歪んでいるんだ!」
「んんーーー? どゆこと?」
「あー、もう! 魔力の解析の結果、魔力自体にはなんの問題もなかった。だから、僕は結界が悪さをしているんじゃないかなって思って、調べたんだ。そしたら、その結界が新たな空間を作り出した事で魔力の歪みが発生していたんだ。まぁ、魔力の歪みと言っても、僕みたいな最高位のウィザードじゃなかったら、分からないぐらいのほんの少しの歪みなんだけどね」
「で、空間を作り出すってどう言う事なの?」
「あのね、結界によって、もう一つの屋敷を見つけることが出来たんだ」
「それって、もしかして、ネルガルはそのもう一つの屋敷にいるってこと!」
「あー、せっかく僕が言いたかったのに、察しがいいのは良いことだけど、僕のセリフを奪わないでくれよ」
「ごめん。それで、もう一つの屋敷に行くにはどうすればいいの」
「その前に、シルビー、これ以上、ここにいるのは危険だ。僕の塔へ君を避難させる」
「え?」
青白い蝶から白い鱗粉をだし、私の足元に転移魔法陣が出現した。
「私はまだ、逃げないわよ!」
「これ以上はダメだ。僕が直接乗り込んでどうにかするから、今は君だけを助けなきゃ」
「ちょっ!?」
転移魔法陣が発動し、私は白い光に包まれた。のだが、光の柱が消え、私の目の前には、私の親友、魔塔当主ソルードが目の前にいたのであった。
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