メビドゥース家の花嫁
エビィ様が魚人を助けにパーティーへ向かった夜、エビィ様が屋敷へ戻ると私の部屋に来てくれた。でも、彼の顔が暗かった。
「アニエル」
エビィ様は私をみるなり、強く抱きしめてくれた。
「エビィ様、おかえりなさい。エビィ様、パーティーで何かあったのですか」
「魚人の彼を今日助け出せると思ったのですが、彼を欲しがる貴族が沢山いまして、彼を救い出せなくなりそうで」
エビィ様の邪魔をするなんて、許せない、その貴族達を消さないと。
「エビィ様が悪いわけではないじゃないですか」
「アニエル」
エビィ様が私の唇にキスをした。
エビィ様が、私にキス!? 唇にキス!?
「んっ!ん!!!」
「君だけが、僕の癒しです」
私も貴方を愛しています!!!
「エビィ様、貴方様の癒しになるのでしたら、私は貴方様に何もかもを捧げます」
「ありがとう、アニエル、もっと、君を感じたいんだ」
「はい、エビィ様」
私はその夜、エビィ様と愛し合った。まるで、夢のような幸せの時間だった。
あぁ! 私はこれで、エビィ様の番になれたんだ!私は、一生エビィ様を愛します!!!
愛し合った次の日の朝、私が目覚めると、ベッドには裸のエビィ様が眠っていた。
夢じゃなかった。私はエビィ様の番になれたんだ。
私は眠っているエビィ様に抱きついた。
「んんん? あぁ、アニエル、おはようございます」
エビィ様は私の顔にキスをした。だから、私はエビィ様の唇にキスをした。
「おはようございますエビィ様」
エビィ様は身支度を済ませ、執務室へ向かった。
「私が、エビィ様の番。エビィ様があんなに私を愛してくれた」
だけど、私の幸せな時間が一枚の手紙で覆った。
その日の夕方、魚人奴隷の購入にて、魚人奴隷の主から、手紙が送られ、エビィ様は私の部屋に訪れた。
「アニエル、僕は、君以外の女性を受け入れたくない」
エビィ様は手紙を握りしめたまま、私を力強く抱きしめた。
「エビィ様、どうかなさったのですか」
「アニエル、これを読んでくれ」
私は渡された手紙を読んだ。そこには、魚人が欲しければ、娘と結婚しろという内容であった。
エビィ様には番の私がいるのに、どうして、知らない女とエビィ様が結婚する。政略結婚だとしても、私は、嫌、私の番をとられるのはいや!!!!
「どうして、こんな、酷い、エビィ様、魚人の奴隷は諦めてください」
「アニエル、すみません。僕はこの提案を呑むしかないんです」
「どうして、魚人の奴隷なんかの為に、好きでもない人と結婚なんて、そもそも、エビィ様には私と言う番がいるのに」
「アニエル、私に妻ができても、君が一番大切なのは変わらない。それに、結婚しても、離婚をする事ができるから、魚人を助け出したら、すぐさま、離婚協定をするつもりだよ。だから、安心してくれ。それでも、君以外の女性を受け入れなきゃいけないのが、僕にとって苦痛なんだけどね」
「エビィ様!!!」
私はエビィ様を抱きしめ返した。
「アニエル、僕はこれから、早急に結婚式を行う。その間、君に会いに行けなくなるけど、僕を許してくれるかい?」
「えぇ! 私はいつまでもエビィ様をお待ちします」
「ありがとうアニエル! 今日も君を感じたいんだけどいいかい?」
「はい! エビィ様! 私は貴方を愛しています!」
こうして、結婚式の日取りが決まり、10日後、花嫁が屋敷へやってきた。
私は元々別館で暮らしていた為、結婚式が行われるホールには行けなかった。けど、エビィ様が魚人を助け出したら、妻がいなくなるわけだし、それまで、待つことなんて、私には……。
私には……できる。
やっぱり、嫌だ、エビィ様に私以外の女がいるのが嫌だ!!! そうだ、殺そう! あの女を殺したら、エビィ様が面倒な離婚をしなくてもいい! エビィ様を苦しめるあの女を殺そう! そしたら、より一層! エビィ様が私を愛してくれるはず! もっと、もっと!愛してもらえる!
私はゴーエイを肩に乗せ続けたまま、結婚式に出た。
『アレガ、シルビー、ノ、オット、ネルガル、ヨリ、イケメン、デ、ヨカッタナ』
『ゴーエイ静かにしなさい。て、ネルガルの方がかっこいいんじゃない?』
『ホゥ、ネルガル、イケメン、ダッタカ、オレニ、トッテ、ネルガル、ハ、プカプカ、ウカブ、ダケ、タマニ、ピアノ、ヒク、ソレハ、スキ』
『プカプカ浮かんでないネルガルは珍しいからね。でも、まさか、ネルガルも結婚式に参加させるなんてね』
結婚式では、メビドゥース家のホールで行われ、参列者は親族のみの規模が小さな結婚式であった。
そして、無事に何事なく、式は進み、その日の夜。エビィと同じ寝室を案内された。
『ショヤ、ガンバレ、オレ、ハ、ニンゲン、ノ、コウビ、キョウミナイ、カラ、テンジョウ、デ、ミハッテオク』
『初夜なんてしたくないわよ!!! ねぇ、ゴーエイ、かぶっとあいつを噛んで毒殺してくれない?』
『サスガニ、ソレハ、デキナイ、シルビー、ガンバレ』
『もう! 役に立たないわね! こうなったら、親友の力を借りて』
そして、部屋にエビィが入ってきた。
「シルビー嬢、すまない。これから、僕は仕事があるから、初夜は延期させてもらうよ」
「そ、そうなのですか、そうなりますと、私は初夜を行えない、女だと、メイド達に言われてしまいます」
「そこは大丈夫さ、君の立場を危うくさせることはしない」
そう言って、エビィは窓から出ていった。
『ふぅ、やったわ!!!!』
『シルビー、ヨカッタナ』
『えぇ、この隙にメビドゥース家を調べましょう。ネルガルはどう?』
『イマノトコロ、イジョウナシ、ミタイダ』
『まさか、ゴーエイを通じてネルガルと話せるようになるのは、調査を進めやすくなるわね』
『オレノ、ホカニモ、ココニハ、ナカマガ、イル。イマカラ、オレハ、ナカマニ、アイニイッテクル。シルビー、ハ、ツカレテ、イルカラ、ネムッテイロ』
『眠ってなんかいられないわよ。私はエビィこそが、大罪芸術のリーダーの証拠を調べなきゃね』
『キヲツケルンダゾ』
『分かっているわよ。私は夜の蝶のメンバーなのよ。しくじるわけないじゃない』
その日、私は寝室を隅から隅まで調べたが、何もなかった。まぁ、1日目はこれでよしとして、明日から屋敷を調べなきゃね。こうして、私はメビドゥース家の花嫁となった。
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