真白の暗躍 前編
「主人様!!! 本当に申し訳ございません! 真白が後できつーく罰しておきますので、帰らないでください」
真白は主人様に抱きながら話した。
「真白は疲れてたんでしょ。それなら、ゆっくり休んだ方がいいんじゃない? 今度、真白が休みの時にお邪魔させてもらうわね。だから、今日はゆっくり休みなさい」
「主人様誤解です! 真白は今日休暇なんですよ。それに、従業員が主人様を不快な思いをさせてしまったのに、何も謝礼せずに帰すなんて出来ません」
すると、カイテンが真白に話しかけた。
「真白様、天海の間の準備ができました。ですが、申し訳ございません。お食事はまだ出来上がっていません」
「なら、早く作らせてください。主人様!さぁ! こちらにどうぞ! 天快楽一の部屋を準備させました!」
真白は、主人様の両肩に手を乗せて、天海の間に案内しようとした。
「おい、真白、俺も一緒だからな」
真白は嫌そうな顔を一瞬したが、すぐさま、機嫌を取り戻した。
「まっ、仕方ない、黒常がたまにはいい事をした訳ですし、黒常付いて来ていいですよ。さぁ!主人様、こちらです!」
「ちょっ、こっちに歩けばいいの」
「はい!階段があるので、気をつけてくださいね」
天快楽で働いていた従業員達は、真白の満面の笑顔を見て、驚き、女性従業員達は、真白に連れて行かれている女に嫉妬をしていた。
「なんで、あんな女が真白様の笑顔を、悔しい、真白様の一番は私なんだから」
「あの人、どこかで見たような?」
「あの女の素性調べなきゃね」
真白は主人様と黒常を天海の間に案内した。
天海の間は他の部屋とは違い、襖があり、ここだけ、通って来た部屋とは全く異なる部屋であった。
「主人様にはこちらの方が馴染みやすいと思いまして」
真白が襖を開くと、黒常が怒鳴った。
「おい!真白! 昼間からこんな香焚くんじゃねぇよ!」
「お香焚いているの? 私、石像だから、匂い感じられないのよね」
「そうなのですか、それは残念です。とっても、気分が良くなる香を焚かせたのですが、まっ、窓を開けて換気すればいいですからね」
『おい!真白、お前、主人様とここでおっぱじめようとしやがって、だけど、残念だったな! 主人様には味覚もないし嗅覚もないみたいだぜ!ざまぁ!みろだ!』
『黒常、真白と主人様の恋路を応援するって言ってましたよね? もしかして、真白の恋路を邪魔する気ですか?なら、ツケ払いの返済はしないという事で、無一文で追い出しましょうか?』
『ごめん、俺が言いすぎた。ほら、急にあんな香り、嗅いだら驚くだろ。そうだ、応援ついでに、俺にご褒美くれてもいいんじゃねぇか? 主人様をここに連れて来てやった訳だし、出来れば、可愛い子2人ほど、紹介してくれねぇか?』
『それも、いいですね。主人様と2人きりになれるし、今日の黒常は良い子デーという事ですね』
『ありがとうな、でも、ミーライにはいうんじゃねぇぞ』
『今回は言いませんよ。だから、楽しんできてくださいね』
『よっしゃあ!!!!』
主人様を座布団に座らせて、それぞれ、席についた。
「うわー! ここだけ、昔の日本みたい!」
主人様は辺りをキョロキョロと見渡し、楽しそうにしていた。
「主人様の故郷を、藍介様にお願いして教えてもらい作ったのが、この天海の間なのですよ。主人様、懐かしいでしょうか」
「いやー、その、江戸時代にタイムスリップしたみたい、まぁ吉原ぽいけどさ、それって、ここはえーと、遊郭、そう、遊廓ってとこなんでしょ?私、その、こういうお店入るのが初めてで、懐かしいというより、緊張するわ」
「江戸時代と言うのは主人様の故郷ではないのですか?」
「結構昔の故郷って感じね」
「そうなのですか、主人様に喜んでもらいたくて頑張ったのに、シクシク」
真白は嘘泣きをした。
「いや、でも、凄いわよ。雰囲気も良くて、良い部屋ね」
「おい、真白、換気するからな」
「はい、お願いします」
「それでなんだけど、どうして、真白がこのお店で働くことになったの? 藍介には適材適所です。とか、言われたんだけど、まさかの、大人のお店!もう、びっくりよ!」
「それが、藍介様にこのお店を立て直して欲しいと言われ、真白は最初、仕事がよく分かなかったのですが、主人様に褒めてもらうために頑張って、わずか、3ヶ月で王都一の妓楼に登り詰めたのです! 主人様、真白、その間、本当に辛かったです。人間達は真白を見ると、老若男女問わず、真白に魅了され、仕事だから割り切ってましたけど、もう、真白の心も疲れ果てた、その時! 主人様が真白に会いにきてくれました!主人様、真白を沢山褒めてくださーい」
真白は主人様に抱きつき、彼女の顔に頬擦りをした。
「藍介には仕事の内容とか聞いてなかったの?」
「詳しい仕事内容は教えてくれませんでした。真白は真白なりに考えて仕事に励みました。でも、真白の体は汚れてしまいました。真白は、主人様だけに真白の全てを捧げたかったのに」
真白は強く主人様を抱きしめ、涙を流した。
「真白、辛かったら辞めても良いのよ。藍介からには私が伝えるし、人間の国にいたくないなら、私の家に帰ってくればいいのよ」
「でも、主人様は藍介様の仕事量を減らすために、真白達を送ったのでしょう。それなのに、真白が勝手に帰ることなど出来ません。藍介様の役に立たなかったら、真白が主人様から離れた意味がなくなってしまうではないですか」
「でも、辛いなら」
「最初は辛かったです。すぐにでも、辞めたくなりました。でも、もう、大丈夫です。主人様が真白を気にかけてくれている。それだけで、真白は嬉しいんです」
そんな、会話を聞いていた黒常は我慢できずに、真白に思念伝達で話しかけた。
『うわっ、よく言うわ。ノリノリで楽しんでたの真白じゃねぇか、本当に人間は愚かな生き物ですね。とか、大金叩いて真白と一晩、買った貴族のジジィに高い料理だけ食わして、そのあと、やる事なく、寝かしつけてたじゃねぇか。俺はお前が選り好みするのを知ってるんだからな』
『黒常、黙らないと、今までの借金払ってもらいますよ』
『あっ、それじゃ、俺は可愛子ちゃん達と遊びに行ってくるわ』
『はい、今すぐにそうしてください。さっ、邪魔者はシッシッ』
『家族なのに、ひでぇ扱いだよな』
『黒常だから、ですかね』
「そんじゃ、真白が主人様に沢山話をしたそうだし、俺は行かせてもらうわ」
「黒常も、辛いことがあったら、いつでも、私に話してね」
「主人様、ありがとうな。今んとこ、俺には辛いことは、ミーライ以外はねぇな」
「どれだけ、ミーライちゃん怖いのよ」
「まっ、あと16年したら良い女だと思うんだけどな。じゃな!」
黒常が天海の間から退出して、天海の間には、真白と主人様の2人だけとなった。
「主人様、真白は頑張りましたが、従業員の教育が追いついていませんでした。なので、この天快楽で一番高価なサービスを提供させてください」
「高価なサービス?それって、つまり」
主人様は何かを考え時、顔を真っ赤にした。
「いや、それは、大丈夫だから!ほら、長達にもそう言うこと許してないし、その、私、そういうの、初めてだから、そもそも、今の私の体は外見は人間だけど、中身は石像だからね!」
「ん? 主人様はもしかして、真白との夜をご所望でしたか?」
「え? その、そう言うお店なんじゃないの?」
「それもありますが、一番高価なサービスはこちらです!」
真白が手を鳴らすと、料理を持った従業員達が次々に豪華な料理を並べていった。
「ここでは、入手しにくい魚料理なんです!しかも、藍介様の作ったレシピによって、ここだけでしか食べれない料理ばかり! ここにくるお客様はこの魚料理が食べたくてくる方もいるほどなんですよ! なので、この店での高価なサービスとは、魚料理と言うことになります!」
「美味しそう!!! でも、ごめんなさい。私、口を動かして、一応、食べれるんだけどさ、味がしないのよ。だから、せっかくの豪華な料理を無駄にしちゃうわ。はぁー、とっても美味しそうなのになぁ」
「うーん、それでしたら、この料理を主人様の家に送ればよろしいのではないですか?」
「送るって、あー!!!そうか!転移魔法使えば良いのか!そしたら、今晩は、豪華魚料理ね!」
「はい!主人様に喜んでもらえて真白は嬉しいです!」
こうして、主人様は豪華魚料理を自分の家に転移魔法で送ったのでした。
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