真白の決意
主人様から貰った人形を枕元に置き、私は眠りにつきました。そして、次の日の朝。
「藍介、起きなさーい」
柔らかな物が私の頬に当たり、主人様の声が聞こえたので、私は目覚めました。
「ん? あるじさま?」
「藍介、おはよう」
目の前には主人様人形が立っていました。
「主人様!? おはようございます!!!」
「どう、サプライズ!」
「朝から主人様、いいえ、妻に起こしてもらえるなんて、最高のサプライズです!!!」
私は人形を優しく持ち上げ、顔に近づけ、人形に頬すりをしました。
「ちょっと、もう、で、昨日のことなんだけど、3人は確定しているじゃない? それで、真白、黒常、DJには、どんな仕事を任せようとしているの?」
「DJさんには本人の希望の白桜のサポートに向かってもらいます。それで、真白さんと黒常にはこちらに来てもらい彼等の働きぶりを見てからじゃないと、この2人の事はあまり知らないので、それぞれの力が活かせる仕事を任せたいのです」
「そうねぇ、真白は毒が作れるとかいってたけど、殺傷能力が低いとか言ってたわ。黒常は影を操る事が出来るわよ」
「影ですが、黄結姫さんと同じと言う事ですね。あ!あと、主人様! 昨日真白さんが言っていたお風呂に一緒に入った件!!! あれは、どう言う事なのですか!」
「いやぁーーーー、そのぉーーー、ねぇーー?」
「はぐらかそうとしないでください」
「その、一から説明するわね」
「その前に、もうそろそろメイドが朝食を持ってくるので、布団の中に少し隠れてください」
「はーい」
主人様人形はモゾモゾと掛け布団の中に入り、隠れた。
そして、数分後に朝食を届けにメイドが私の部屋にやってきました。
「主人様、もう行ったので、出てきても大丈夫ですよ」
「ふぅ、危うく二度寝しちゃう所だったわ」
「寝ないでくださいよ。それで、一から説明をお願いします」
「分かったわよぉ」
こうして、真白さんとの一連の流れを話してもらい、主人様の勘違いから発生した事件だと言う事がよーく、分かりました。
「主人様は水着で難を逃れたと考えていますが! その前にオスに裸を見せているのはどう言う事ですね!!!」
「だから、私はあの時、真白が女の子だと思ってたのよ。他の子達も受け入れてたから、余計勘違いしちゃうじゃない!」
「主人様、今度、私が帰ってきたら、一緒にお風呂入りますからね!!! 拒否権はないですから!!!」
「まぁまぁ、落ち着いて、落ち着いて、ほら、ご飯が冷めちゃうわよ」
「この件、紫水には言わない方が良いですね。もし、この事が知られたら、真白さんの命は、即消えてなくなります」
「うん、分かっているわよ。でも、真白は私の夫よりも愛人になりたいって言ってくるんだけど、どうやって回避すればいい?」
「そんな事言われても、主人様は既にしでかしてますから。まっ、こちらに彼はくる予定なので、距離を置く事が可能ですよ」
「真白をそっちに行かせるのが大変かも」
「そうかもしれませんね」
「それじゃあ、私も朝ご飯の時間だから、帰るわね。後で真白と黒常とDJには、藍介の元に行く準備させておくわ」
「よろしくお願いします。でも、帰る前に、凪、私にキスをしてください」
「人形だけどいいの?」
「えぇ! ちゅーーーーう!!!」
主人様人形に私が顔を近づけると、主人様は私の唇にキスをしてくれました。
「久しぶりのキス!!!最高です!!!」
「それじゃあ、また後で!」
「はい!」
最高の朝を終えて、私は身支度を整えて、仕事へ向かいました。
私の魂が本体に戻り、朝食を食べた後、真白、黒常、DJの3名を呼び、この3名で人間の国へ行くことが決まったと話した。
「嫌です!!! 真白は主人様と結魂をしないので、人間の国へ行かなくていいはずです!!! 真白は主人様のお側にずっと、ずぅーーーと! いるんです!」
「俺はミーライコールから離れられるなら行く」
「いつでも、DJくぅーーもぉー!!! は、白桜様、紅姫様のサポート準備は出来てるぜ!!!」
案の定、真白だけは嫌がり、2人は受け入れてくれた。
「ミハエルさんはどうです! 彼なら役に立つはずですよ!」
「ミハエルはキャサリンがいるからダメよ」
「聞いてみないと分からないじゃないですか! 真白は断固拒否です!」
「そう言う割には、自己紹介で愛人でーすとか言ってめっちゃくちゃアピールしてたじゃないか。ありゃ、長達にとって、宣戦布告ものだぜ」
「えぇ、分かってますよ。真白は馬鹿ではないですから、ライバルとなる方達にマウントをとっていかないと、能力的に劣っている真白が勝てるわけないんです」
「勝つって、でも、虫人になったからには、仕事をしてもらわないと行けないから、3人は明日の朝、アさんの転移魔法で藍介の屋敷に送ってもらうから、必要な物があったら今日中に私に伝えてね」
「なら! 主人様が欲しいです!!!」
「それは、無理。それじゃ、私はこれから、猫次郎がちゃんと仕事しているか見に行かないといけないから、準備しときなさいよ」
「んじゃ、俺は欲しいものをメモ書きするか」
「俺は兄弟達に別れの挨拶として、最後のライブしてくるぜ!」
DJはダンスフロアへ向かった。
「真白は、真白は、主人様から離れたくない。なのに、どうして、こんな事に。真白は、主人様を愛し、愛されたいだけなのに、何か、真白が出来る事、そう、真白の毒で、できる事」
真白は考えたが、人間の国へ行く事を無くすことは出来ない。なら、真白が長達に対抗できる力は何かを考えた。ふと、真白は鏡を見ると、中性的な美しい男が鏡に映った。
「そうだ! 真白が長達に勝てるのは、この美貌!!! そして、長達が出来ないことを真白がすればいい! 殺すのではなく、真白に依存させる。そんな毒に!」
カストル先生には魔法の使い方を学び、主人様の愛人になる為に、人間の体の仕組みの医学書を主人様から借りて独学で勉強していた。その中でも、夜の営みに関する事を重点的に学んでいた。
「今夜、主人様にマッサージをしてあげよう! そして、真白の全てを主人様に捧げ、人間を真白に依存させよう。人間を支配できれば、主人様に褒めてもらえる。そう!真白は汚れ仕事だって出来るんだって、長達に知らしめてやろう!!! そして、最後には、長達でさえも、真白に教えを乞うでしょう。真白にこの美貌をくれた神に感謝です! 真白にも戦える力を与えてくれて!神様ありがとうございます!」
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