『狂子と同僚』『キャサリンとミハエル』
狂子は繭になる際、同僚の蜂と遊びに行く約束をしていた。
そして、狂子は繭から出たとき、同僚との約束を思い出して、急いで魔蟲の森へ向かった。
ちょうど、同僚が森の巡回をしていた為、狂子は同僚と会うことができた。
「可愛い嬢ちゃん裸で走っちゃダメだぜ」
「ひゃっはぁ!」
「ひゃっはぁ? も、もしかして、狂子なのか!?やっと出れたんだなっ!? って、おい! マジかよ! 俺はてっきり、狂子なら、百合姫様達と同じ姿で進化すると思ったのに、完璧に人の姿じゃないか!!!」
同僚の蜂の前には吊り目で髪色が黄色のショートヘアーの裸の女性が立っていた。
「ひゃっはぁ?」
狂子はキョトンと同僚を見つめ、自分の体を触り始めた。
「ひゃっはぁ!!!! ひゃっはぁ! ひゃっはぁ!!!」
狂子は虫人に進化出来たと喜び、飛び跳ねた。
「まじか、うん。俺も虫人だったら、狂子を抱けるのになぁ」
虫人となった狂子の体の美しさに、同僚の蜂はオスとしての欲望に襲われ、自身が虫人になりたいと考えた時、彼は繭に包まれた。
狂子は唐突に繭姿になった同僚を見て、驚き、同僚を繭から助け出そうと、繭を掴んだが、繭はとても硬かったので、殴ったり、蹴ったりしたが、びくともしなかった。
「ひゃっはぁ……」
狂子は繭の側で座ると、繭が光り輝き、その中から、人間の姿ではなく、蜂の特徴が強く残った虫人が現れた。
「ひゃっはぁ!!!!」
狂子は同僚に抱きついた。
「え、俺、もしかして、虫人に、進化したのか!?」
「ひゃっはぁ!ひゃっはぁ!」
狂子は首を縦に振った。
「まじかよ!よし! 狂子、子作りしようぜ!」
「ひゃっはぁ?」
すると、2人に向かっておじさんが走って来た。
「おい! 狂子!いい女になったな、って、おい、お前誰だよ」
「お前こそ誰だよ」
「俺は黒常だ! イケオジだろ」
「イケオジって、俺は、狂子の同僚さ!」
「名前はあるか?」
「ない!」
「名前が無いのに、虫人になれたのか、これは、主人様に報告すべきだな。よし、2人とも主人様の家に向かうぞ」
「ひゃっはぁ!」
「おう!」
「その前に、狂子、俺と少しだけ子作りしてみないか?」
「ひゃっはぁ?」
「おい!黒常! 狂子と子作りは俺が先だ!」
「いや、なかなか良い体してるから、つい、な。男なら裸の女がいたら、ヤリたくなるのが普通だろ」
「そもそも、俺たちは常に裸だったよな……。仕方ない」
虫人となった同僚は近くの大きな葉っぱを取り、狂子に葉っぱを渡した。
「これで、胸と股を隠してくれ」
「ひゃっはぁ!!!」
狂子は葉っぱで花冠ならぬ、草冠を作って、それを被った。
「違う!!! てか、器用!? あのな、その姿じゃ、オスが発情するから、最低限、体を隠さなきゃ、いけないんだよ。ほら、とってきたから、胸と股を隠してくれ」
「ひゃっはぁ? ひゃっはぁ!!!」
狂子は同僚用の草冠を作って、同僚にプレゼントした。
「違う!!! もういい!俺がつける!!!」
同僚は葉とツタをとってきて、胸と股に葉を付けて、ツタで葉が落ちないように結んだ。
「よし、これで、いいな」
「ひゃっはぁ!!!」
「よし、行くぞ」
黒常は走り出し、その後を2人が飛んで追いかけた。
「お前ら飛べるのかよ!」
「俺には羽があるからな、狂子も飛んでるな」
狂子は、背中から魔力で作られた羽で飛んでいた。
「ひゃっはぁ!!!」
こうして、3人は主人様の家に向かったのでした。
主人様の庭にて、真白は洞窟内の虫人となった生徒達を集めに宿舎に向かった。
「桑胡さんとキャサリンさん、狂子さんは森へ向かっちゃったから、黒常に任せるよう! あっちまで行くの大変だからね」
真白は、まず最初に女性陣を集めようと、女子寮へ向かおうとしたが、1人の男が真白に目がけて走りかけてきた。
「やぁ!!! とても美しいレディ! 僕とお茶でもしないかい!!!」
男の第一印象はまさに、王子様であり、整った顔立ちと爽やかな笑顔の若い男で、彼は裸だが、何故か気品溢れる姿に、真白は一目でミハエルだと確信した。
「真白はオスですよ」
「オス!? てか、真白君か!!! 美しいレディかと勘違いしてしまったじゃないか、で、女子寮に向かってどうしたんだい? もしかして、レディ達と戯れるのかい、それなら、俺も一緒に戯れに参加させてくれないかい」
「いや、主人様が虫人になった人達を集めてきてと言われたので、真白は先に女性達を呼ぼうかと」
「そうなんだね! 俺も手伝うよ。ハァーニィーに会いたいしね」
「そう言う割には、真白をナンパしようとしたじゃないですか、後でキャサリンさんに報告しますからね」
「真白君、俺の命がなくなる可能性があるから、それだけは、ハァーニィーに伝えないでくれ」
「伝えますよ。その方が、ライバルが減って楽じゃないですか」
「ライバル? それは、どう言う事だい?」
「まぁ、いいです。先にキャサリンさんに会いに行きますか」
「なぁ、ライバルって、もしかして、ハァーニィーの事が好き?いや、それは、ないな。もしかして、俺の虫人としての姿がイケメン過ぎて、アルジィ様が俺の事を好きになっちゃうと思っちゃったのかい?」
真白は笑顔でミハエルの頭を鷲掴んだ。
「主人様に手を出そうとすれば、殺しますよ」
「あの、真白君、前よりも、怖過ぎないかい。それに、痛いから離してくれない、かい、イテテテ」
「主人様に愛されるのは真白のみなのです。分かりましたか」
「真白君、分かった。だから、離して」
「よろしい。これで、ライバル1人減りました! やはり、ライバルは消して、いかないと!」
「こ、怖い、真白君、本性出し過ぎだよ」
「そうかな? 真白は普段通りなんだけどな」
「ハァーニィー、俺を助けてくれーーー!!!」
ミハエルが女子寮で叫ぶと、部屋をバーンと強く開いた音がした。
そして、カマキリの特徴と人間の女性を足した姿の虫人が羽を広げて2人へ向かって飛んできていた。
「もしかして、ハァーニィーなのかい!!!」
「ごーはーん!!!」
「ハァーニィー!!! 俺を助けてくれぇ!!!」
「ごーはーん!!!」
「あれ? もしかして、ハァーニィー、お腹減ってない?」
「それって、もしかして、真白達、食べられちゃうって事!?」
「その可能性は!」
虫人となったキャサリンの目の前に人間の男が2人、そう、肉が2つ、キャサリンはお腹が減り過ぎて、2人の男がミハエルと真白だと、認識する事が出来ずにいた。
「ごーーーーはーーーーん!!!!」
「うわぁぁ!!! に、逃げろ!!!」
「真白、死にたくない!!!」
こうして、真白とミハエルはお腹が空き過ぎた虫人となったキャサリンから逃げ、最終的に、ミハエルが集めていたご飯をキャサリンに与えて、2人は死を回避した。
キャサリンは嬉しそうにご飯を食べ始めた。
「ご飯、集めて、よ、よ、よ、よかった!!!」
「ミハエル、ありがとう、真白、本当に怖かった!!!」
「真白君!」
「ミハエル!!!」
2人は互いに抱き合い、生きていることに喜びあったのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。




