ダイヤの込められた意味を知ったら
私は人間は宝石に意味を込める事を知り、自分の不勉強さに少し落ち込んでしまいました。
いや、だって、ねぇ、宝石の名前は知っていましたよ。まさか、宝石に意味なんてあるわけないと思うじゃないですか、そういえば灰土さんに灰色を勧めた時に灰色にも色の意味がありましたね。その時に気づいていたら。いや、気付いていても遅かったですね。
知らずに渡したとはいえ、本当に羨ましい。
ですが、主人様は意味をわかって受け取ってくれたのでしょうか? 主人様に直接聞いてみますか?
『主人様、この前灰土さんから貰ったダイヤモンドの意味をご存知ですか』と。
もし、知っていると言われたら。
私は、私は‥‥。
考え込んでいる私に緑癒が話しかけてきた。
「藍介さん急に黙ってどうしたのですか?」
「あっ、いえ、すみません。少し考え事をしてしまって、えーとですね。結婚指輪にはダイヤモンドを使った指輪が人気みたいですね」
「ダイヤならこの前主人様に渡したな」
「ねぇ〜、ねぇ〜、灰土〜。ダイヤ頂戴〜」
「ダイヤモンドですか‥‥。灰土さん僕もダイヤモンド貰ってもよろしいですか」
「別に構いませんよ。あの、藍介様、どうしてダイヤの指輪が人気なのですか?」
くぅ、言いたくない、言いたくないですが、これは皆にとって必要な知識。それに、少し調子に乗っている紫水に良い薬になるかもしれませんね。
嫉妬しているわけではないですよ。いえ、本当はとても嫉妬しています。主人様の布団の中で主人様と添い寝した紫水が羨ましい。私だって、主人様に沢山ギュッと抱きしめてもらいたい。優しく頭を撫でてよく出来ましたねって褒めて欲しい。布団の中に入って一緒に添い寝したい‥‥。
よし、言ってやりましょう!
「人間は宝石に思いを込めるみたいでして、ダイヤモンドは永遠の愛と言う意味が込められていて、結婚において最適な宝石と言う事ですね」
「永遠の愛」
「永遠の愛なんて素敵な言葉ですね」
紫水はポカンとし、緑癒は少し顔を赤らめ、灰土さんは緑癒よりも顔を真っ赤にしていました。
紫水、貴方の気持ち私はわかりますよ。
「永遠の愛‥‥。俺は知らずになんて恥ずかしい事をしていたんだ!」
「灰土〜。今すぐ主人様に渡したダイヤ〜、他の宝石と交換してきて〜」
あっ、これ紫水怒っていますね。
「渡してしまったプレゼントを交換なんて出来るわけないだろ」
「それでも〜、交換しようね〜。藍介〜、他の宝石の意味教えて〜、交換させる宝石決めなきゃね〜」
「紫水、俺は交換する気はないぞ」
「するんだよ〜。灰土が出来ないなら〜、俺が交換しとくね〜」
「勝手に俺のプレゼントを交換しようとするな!」
紫水と灰土さんは睨み合いをしていました。
緑癒は私の右隣に来て2人から避難してきました。
『藍介さん、藍介さん、これは止めるべきでは?』
『いえ、このままにしてみましょう』
『どうしてですか? 主人様が喧嘩はしてはいけないと仰っていたじゃないですか』
『ここには主人様がいませんし、紫水が調子のっていたので少しだけ灸を据えないといけませんからね。それに、2人が怪我をしたら緑癒が治してくれれば、2人が喧嘩したと主人様に伝えなければ主人様はわかりませんからね』
『調子にのっているですか、まぁ、それはわかりますが。でも、喧嘩良くないですよ』
『私も強かったら紫水と戦えるのですが、灰土さんに任せるとしましょう』
「灰土さん! 思いっきりやっちゃってください!」
『あっ! 藍介さん何で煽っているのですか!』
「藍介〜、どういうことなのかな〜? 普通さ〜、俺の事を応援するよね〜。何で〜、灰土を応援してるのかな〜? もう俺〜、怒った〜。灰土倒したら、次は藍介を水責めしてあげるね〜。覚悟しといてね〜」
『ほら、怒らせちゃった。何やっているんですか藍介さん!』
紫水は体に水を纏い、灰土さんは土で作った鎧を身に纏った。おや、これは私が考えていた以上に怒っていますね。
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