魔(裸)王vs王子カスカス
塔最上階では、ガールゥダが凪に言い寄り、凪がガールゥダを飛ばした時、階段を登っていたカストルは急な地響きに魔力温存をやめて空を飛び、塔を駆け上がった。
そして、カストルはやっと塔の最上階に着くと、ドアを開けた先には、鳥の被り物をした褐色の肌の全裸の男が凪に近付いていた。
「凪さん!!! お前誰だ!!!」
カストルが叫ぶと、凪がカストルに気付きいた。
「カストルさん!!! この変態から助けて!!!」
「カストル! 遅かったな。お前はこれから、女にモテるために筋力をつけなければいけないな。そう、この、俺みたいにな!!!」
ガールゥダはカストルに自身の体を見せつけた。
「も、も、もしかして、そこにいる全裸の男はガールゥダさん!?」
「そうだ! どうだ! この俺の肉体は!!!」
「くぅ、そぉ、俺だって、筋肉ある!!!」
カストルも負けじと服を脱ぎ捨て、やけ細った体をガールゥダに見せつけた。
「いや、カストルのは痩せているだけだぞ」
「うるさいリード、その間に凪さんを守ってくれ」
「あー、そう言うことか、了解」
リードは凪を助けに彼女へ近付いた。
「カストル、お前のは痩せているだけだ、筋肉というのは、こうだ!」
ガールゥダは胸筋をピクッピクッと動かした。
「俺だって、う、動かない」
「ふっ、こんな体では女を満足させることなどできそうにないな」
「てか、ガールゥダさん!せめて下は隠した方がいいんじゃないですか」
「ふっ、女を抱くにはパンツなど不要」
「俺が凪さんとデートをしているっていうのに、ガールゥダさん猫次郎の手先でいいんですか!」
「俺だって、弟子であるカストルのデートを応援していたが、クソ猫に召喚されてしまったら、あいつの命令を聞くしかないだろ。すまないなカストル、女は俺の女になるわけだな」
「ガールゥダさん、俺はガールゥダさんとは戦いたくなかったが、凪さんを返す気が無いなら、俺はガールゥダさんを倒させてもらう」
「ふっ、肉体を手にした俺と闘いたいから、なら、闘おう!!! 俺はこの肉体がどこまでゆけるのか、試したくて仕方なかった! さぁ!思う存分、闘おう!」
ガールゥダは極彩色の羽を力強く羽ばたかせ、カストルは杖を構えた。
「火炎球」
杖の先から巨大な火炎球が出現し、ガールゥダ目掛けて火炎球を放った。
ガールゥダは全身に魔力を纏わせ、火炎球を正面から受けた。
「少し暑い程度だな」
「なっ、効いてないだと」
「なら、次は俺の番だ!」
ガールゥダは独特なステップを踏み、カストルに一瞬で近付くと、魔力を込めた光る拳でカストルを殴った。
「ガンガラウダ!!!」
「なっ!」
カストルは咄嗟に魔力壁でガールゥダの攻撃を防いだが、ガールゥダの一撃で魔力壁は壊れた。
「おい、カストル、この威力で破れるようじゃ、俺が本気を出せないじゃないか」
「そういうなら、リード! やるぞ!」
「久しぶりすぎて俺、火力抑えられるかな?」
リードはカストルの元へ戻り、カストルの背後に浮かぶと、リードはカストルの体の中へ入っていった。
「精霊憑依!!!」
カストルの髪が赤く燃え上がった。
「精霊から力を借りたのか、それなら、俺と闘えるか」
カストルの体をリードが操り、魔力をカストルが操つる事で、適正な役割分担により、戦闘能力を上げる事となった。
「いっちょ、やるか!!!」
リードはカストルの体でガールゥダに殴りかかった。
「そんな、へなちょこパンチ俺には効かん!」
「そうかな」
ガールゥダはリードのパンチを右手で受けると、手のひらが焼けた。
「魔力を込めたというのに、俺の手が焼けるとはな。久しぶりの痛み、ふっ、ふはぁぁぁ!!! やっと、楽しくなってきた!!!」
ガールゥダが高らかに笑うと、辺りに暴風が吹き荒れた。
ガールゥダとカストルの戦いを遠くの方で観戦していた凪、猫次郎、ムラサキ、シャーマンは同時に同じことを考えた。
『あっ、これ、ここにいたら、危ないんじゃない?』
4人は互いに顔を見て、ムラサキは子猫となり、シャーマンが猫次郎、ムラサキを抱き抱え、シャーマンは凪に出来るだけ近付いた。
凪は自分とシャーマンを囲うように魔石壁を展開した。
「これなら、大丈夫よね?」
シャーマンは凪に親指をグッと上げた。
「さすが、主人様だにゃ!」
「父ちゃん、僕、眠くなって来ちゃった」
「そうか、ムラサキ、寝てていいにゃーよ」
「うん、おやすみなさい」
ムラサキはスヤァと眠った。
「にしても、ここ、やけに暑くない?」
「カストルが燃えてるからじゃにゃいか?」
そして、炎の精霊イフリードが憑依したカストル対ガールゥダの戦いが激化し、息を呑むような闘いが繰り広げられ、互いに素手と素手の殴り合いかと思えば、魔力によって具現化した炎と暴風のぶつかり合い、そして、暴風によって炎はより一層火力が増し、周辺にいる凪達にも被害がでた。
「私が壁を壊してなかったら、酸素不足で私死んでたかもしれないわね」
「にゃ〜、暑すぎる、ムラサキこんな暑いのに寝てるのにゃ〜」
「スヤァ、父ちゃん、もう、たべれないよぉ」
「寝言まで言っちゃって」
すると、シャーマンが床を気にし始めた。
「シャマシャマどうしたのかにゃ?」
シャーマンは猫次郎にこのまま2人の闘いが続いたら塔が崩れるかもと伝えた。
「にゃ!? 塔崩れるのかにゃ!?」
「あーーー、まぁ、あれだけ派手に暴れたら、そうなる、わよね?」
すると、塔が地響をたて、天井が崩れ始めた。
「にゃ〜!!!! シャマシャマの言う通りににゃったのにゃ!!!」
「シャーマンさん、私から離れないで!」
シャーマンは必死に首を縦に振った。
「なっ! 塔が崩れる!」
「こんな事で崩れるとは、まだまだだな、シャーマン」
ガールゥダは空を飛び、カストルも風魔法で空を飛んだ。
そして、塔が本格的に崩れ、凪はシャーマンを守りながら、魔石の板を空中に浮かせて、塔から脱出した。
「危なかったわね!!!」
「さすが、主人様だにゃ!!! 主人様がいなかったから瓦礫に埋まってしまったのにゃ!」
シャーマンは力強く首を縦に振った。
「でも、あの2人、まだ闘っているわよ」
「主人様、あの2人はほっといて家に帰って休もうにゃ〜、俺も眠くなってきちゃったのにゃ〜」
「仕方ないわね。地上に戻すからシャーマンさん、猫次郎とムラサキちゃんを家まで送って行ってくれるかしら? 私はあの2人を止めようと思うわ」
シャーマンはコクっと頷いた。
凪はシャーマンと猫次郎とムラサキを地上に戻すと、カストルとガールゥダの闘いを止めに向かった。
「カストルさん! ガールゥダさん! もう、闘いはやめなさい!!!」
「凪さん!止めないでくれ!!! 俺は師匠を超えてみせる!!!」
「女よ、漢の闘いに口を挟むのは良くない」
「塔が崩れたんだから、もうやめなさい!!!」
凪はカストルとガールゥダの後頭部に魔石の柱をぶち当て、2人は不意の後頭部打撃によって、気絶し、地面へ落ちて行った。
「あっ、やり過ぎちゃった」
凪は慌てて2人を魔石板で助け、ガールゥダの下半身にタオルをかけて、2人を家に連れ帰ったのでした。
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