魔(裸)王ガールゥダ
塔へ侵入したカストルとリードはずっと階段を登っていた。
「この、塔、階段何段あるんだよ」
カストルは長く続く階段を登り続けた結果、足が限界に達し、足がプルプルし始めていた。
「カストル、まだ100段ぐらいなのに情けないぞー」
「リードは浮いているから楽なんだろ」
「まぁね、カストルも浮けばいいじゃん」
「クソ猫を懲らしめるために魔力を温存しておきたいんだ」
「で、足が限界で子鹿みたいに足をプルプルさせているのか」
「はぁー、飛ぶか。これから、俺、筋トレする」
「女っていうのは筋肉質な男が好きなんだろ。カストルが服を脱いだ時に、女がカストルのガリガリ体型を見たら、幻滅するよなぁ」
「おい、ガリガリとか言うな、これでも、腹筋ある!」
「見せてみろよ」
カストルは腹筋(ただ痩せすぎているだけ)をドヤ顔で見せつけた。
「おい、それは痩せすぎって言うんだぞ」
「ほら、6つに腹筋が割れているじゃないか」
「いいや、痩せすぎてるだけだな、筋肉っていうのは俺のこの腹筋のことをいうんだよ!」
リードは自身の腹筋をカストルに見せつけた。
「ぐぅ、後でガールゥダさんに筋トレ方法聞くか」
「その方がいいと思うぞ」
カストルとリードが階段で苦労している中、塔の最上階にいる凪とガールゥダ、猫次郎、ムラサキ、シャマシャマはカストルが階段で苦戦しているのを生中継していた。
「にゃ、にゃ、にゃ! やっぱりカスカスは最高だにゃ! ほら、足がプルプルしてるのにゃ!」
「父ちゃん! カスカスプルプルしてるね!」
「あいつ、筋トレさせるか」
「もしかして、部屋ってここだけ?」
「そうにゃーよ、部屋増やすの大変だから、この部屋しかないのにゃ〜。ね〜シャマシャマ〜」
シャーマンは親指をグッとあげた。
シャーマンは1人で祭壇を作り、ガールゥダがよく被らされている鳥の被り物を祀っていた。
「シャマシャマ何しているのかにゃ〜」
すると、シャーマンが踊り出した。
「シャマシャマ! 急に踊ってどうしたのかにゃ!」
シャーマンは祭壇に祀られている鳥の被り物を両手に持つと、踊りながら高く上げたり下げたりを繰り返しながら、ガールゥダの元へ移動し、ガールゥダはシャーマンから逃げようとしたが、金縛りのようなもので体が動かすことが出来ず、シャーマンは鳥の被り物をガールゥダに被らせた。すると、ガールゥダは祭壇へ向かった。
シャーマンは猫次郎から貰った瘴気石を砕き、瘴気石粉を周りに投げると、シャーマンと同じスケルトンが9体現れた。
「シャマシャマが増えたのにゃ!」
「え、何が起こるの!?」
猫次郎と凪は増殖したシャーマンに驚いていた。
「なんだろう! あの踊り楽しそう! 僕も踊ろうーと!」
ムラサキはシャーマンの踊りを真似していた。
そして、祭壇の中央で仁王立ちで佇む、鳥の被り物を被ったガールゥダの周りを10体のシャーマンが囲み、その周りを踊りながらグルグルと回り始めた。
シャーマン達は回っている間も瘴気石を粉にしながら、辺りに投げていた。
「にゃ〜! にゃにが起こるんだ!」
猫次郎と凪は黙ってその儀式を眺めていた。
「ガールゥダ!!!!」
シャーマンが初めて言葉を発した。
「シャマシャマ話せるのかにゃ!?」
ガールゥダの体漆黒の光に包まれ、それは、カストルが進化した時の光と似ていた。
「もしかして、ガールゥダさんを進化させようとしているんじゃないかしら!」
「ガルガル進化するのかにゃ? でも、今じゃ間に合わないんじゃにゃいか?」
すると、シャーマン本体は猫次郎に顔を向けると、親指をグッと上げた。
「シャマシャマもしかして、すぐに進化出来るのかにゃ!?」
シャーマンは得意そうに、親指をより上にグッと上げた。
「凄いのにゃ! さすがシャマシャマだにゃ!」
「シャマシャマさん凄ーいにゃ!!!」
「シャーマンさん、本当に何者なの」
そして、シャーマン達は言葉を発した。
「ガールゥダ!!!!」
そして、黒い光が消えると、そこには、褐色の肌に完璧な肉体の鳥の被り物を被った全裸の男が現れた。
シャーマンは力付き、その場で倒れ、シャーマンの分身が消えていった。
「これは、シャーマン、よくやった。俺は本気で戦える! それに、帰ってきてくれたな」
ガールゥダは、股間にある、漢である証が、戻ってきた事を喜んでいた。
「これで、女を抱ける!!!! さぁ!女よ、俺がお前を抱いてやろう!!!」
ガールゥダは全裸で凪に近付いた。
「きゃー!!!! 裸!裸よガールゥダさん! さっさと、服を着なさーい!!!」
凪はパンツを瞬時に作り出し、ガールゥダに投げつけた。
「服など女を抱く時には不必要だ、さぁ、俺が女を楽しませてやろう」
「嫌よ!パンツ履きなさい!!!」
「パンツなぞ、不要!さぁ! 俺の腕の中へ!」
「猫次郎!!! 助けて!」
「にゃ〜、シャマシャマ大丈夫かにゃー!!!」
猫次郎は倒れたシャマシャマの側にいた。
シャーマンは弱々しく親指をグッと上げた。
「シャマシャマ!!! 瘴気石食うのにゃ!!!」
猫次郎は出したてホヤホヤの瘴気石をシャマシャマの口に入れた。
シャーマンでさえも目の前で出された物を食べるのは気が引けるので、拒絶しようとしたが、体に力が入らず、猫次郎に無理やり瘴気石を食わされ、シャーマンはガールゥダとカストルの気持ちが少し理解できた気がした。
「さぁ! 女よ! 俺と一緒に楽しもうじゃないか!」
ぶらんぶらんとご立派な物を股間にぶら下げながら、ジリジリと凪との距離を詰めるガールゥダであったが、凪はとうとう怒った。
「この!!! ヘンタイがぁぉぁぁああ!!!」
凪は魔石の柱をガールゥダに当て、そのまま、塔の壁を破壊してガールゥダを外へ吹き飛ばした。
吹き飛ばされたガールゥダはキランと光を放ち、遠くへ飛ばされたのでした。
「にゃ〜、ガルガル飛んでいっちゃったのにゃ〜。まぁ、自業自得だにゃ〜」
シャーマンは顔に手を当てて、あちゃーっと言う雰囲気をだしていた。
「私を襲おうとしたから悪いのよ!」
すると、遠くの方からガールゥダの声が聞こえたかと思うと、声がどんどん近付いて来ていた。
「女よ、なかなか良い、攻撃であった!」
ガールゥダの背には立派な極彩色の羽で力強く羽ばたいていた。
「嘘、結構遠くまで吹き飛ばしたはずなのに」
「さぁ、女よ! 俺と戯れを始めようじゃないか!」
ガールゥダのピカーンと光り輝く股間を前に、凪は、もう一度、ガールゥダを魔石で吹き飛ばした。
「何なのよあのヘンタイは!!!」
シャーマンはすみませんと凪に頭を下げた。
「シャーマンが何とかしてください!」
『えー、嫌だ』とシャーマンは態度で表した。
「嫌そうにしないで、あのヘンタイを何とかしなさい!」
「よし、こうなったら、俺がやってやるのにゃ! ムラサキ! ガルガルの股間に全力の猫パンチだにゃ!」
「父ちゃん、股間殴っちゃっていいの?」
「ヘンタイには一撃いれないと言う事聞かないのにゃ」
「分かった! 僕、股間にパンチしてみるね!」
ガールゥダが塔へ戻ると、ムラサキは待ってましたとばかりに、全力の猫パンチをガールゥダの股間にくらわした。のだが、ガールゥダはムラサキの猫パンチをみきり、華麗に躱した。
ムラサキの猫パンチは床へ行き、その部分の床がへこんだ。
「なかなか、良いパンチだな」
「くそぉー、父ちゃん当たらなかったのにゃ」
「仕方ない、俺がやってやるのにゃ! 俺の猫パンチをくらえ!!!」
猫次郎がガールゥダの股間に猫パンチをしようとしたら、ガールゥダは猫次郎の首根っこを掴んだ。
「にゃ!」
「ふっ、お前程度、避ける必要もない」
「離せにゃ!!!」
「俺は姫を攫った魔王なら、それらしく、王子から、姫を奪わなければいけないな。そう、女は今、俺のものだ」
「違うのにゃ! カスカス王子の引き立て役になるのがガルガルの役目だにゃ!」
ガールゥダは凪に近付き、凪の顎を引くと、キスをしようとしたが、鳥の被り物でキスができなかった。
「痛っ、被り物痛いんですけど」
「待ってくれ、これを脱ぐ」
ガールゥダは鳥の被り物に手をかけて、脱ごうとすると、シャーマンの呪いによって、被り物が頭から外せなくなっていた。
「おい! これ、脱げないぞ!!! シャーマンどう言う事だ!!!」
シャーマンは力強く、親指をグッと上げたのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。




