カストルvsパラディンボーン
猫次郎を追っていたカストルは足止め役のパラディンボーンとの戦闘となった。
「火炎玉」
カストルはパラディンボーンに火炎玉を放った。
パラディンボーンは盾で魔法を防ぎ、カストルとの間合いを詰め、斬り込んだ。
「業火壁!!!」
カストルは炎の壁を作り出し、パラディンボーンは業火壁から離れた。
「これなら、パラディンボーン様であっても俺に近付けませんよね」
パラディンボーンは落ちていた石を拾い、壁に投げつけた。
業火壁に触れた瞬間、石は融解し、溶けて、地面に落ちた。
パラディンボーンはカストルの魔法の威力が以前よりも強くなっているのだと実感し、自分よりも強くなったカストルと戦えると思うと、氷月や灰土と戦った時のような高揚感を感じた。
パラディンボーンはカストルに敬意を払い、腕輪から防具を取り出し、装甲した。
「やる気ですか、それなら、俺も、進化したこの力を試させていただきます」
カストルは指をはじき、亜空間の亀裂を作り、そこから杖を取り出した。
「まさか、ここで、こいつを使うなんてな」
カストルが持つ杖は長さがカストルの身長よりも若干高く、神聖な木で作られた杖に、装飾が施され、先端には、銀をヘビの尾に加工し、8本のヘビの尾が赤黒い魔石を囲み、まるで、魔石を封印しているかのようであった。
「炎の精霊、イフリート、我に力を貸したまえ」
炎の精霊イフリートことリードがカストルの召喚に応じ、現れた。
「カストル! って! 骨じ、ゃない!? おい、どうやって、肉を手に入れたんだ!? そもそも、なんだろう、前よりも禍々しいというか、スケルトンの時よりも強くなってないか?」
「俺は進化してウィザードキングリッチになった」
「リッチかぁ、ん? キング!? それって、死者の王って事じゃないかよ!!!」
「そうなるのかな?」
「カストル、お前がキングリッチの強さを一番知っているだろ!!!」
「まさか、生前、命懸けで討伐した存在になるとはな。まぁ、そのおかげで、凪さんと結婚できるし、まぁ、よし!」
「なにが、よし!だよ! 俺、カストルの召喚、応じない方がいいんじゃないか? 絶対に精霊王様に怒られるし、カストル、俺、怒られたくないからもう、帰っていいか?って?結婚? ちょっと、待ってくれよ。俺が召喚されない間に何があったんだよ。そもそも! 親友である俺を結婚式に招待しないなんて、ひどいぞ!」
「まだ、式はしていないが、必ず、結婚してみせる」
「うーーんと戦う前に色々と説明して欲しいんだけど」
「説明はパラディンボーン様と戦った後だ」
「ちぇっ、分かった。さっさとパラディンボーンをやっつけようぜ!!!」
パラディンボーンは完全武装でカストルを待ち構えた。
「よし! いっちょ一発デカいの行くか!」
「リード、この森は凪さんの所有地だから燃やすのは禁止だ」
「おい、待ってくれよ。炎の精霊に燃やすなは、キツいだろ!」
パラディンボーンは剣を地面に突き刺すと、剣が光り輝き、球体の光の結界が現れた。
「おー!!! 聖結界じゃないか! パラディンの名は伊達じゃないな!」
「これなら、思う存分戦えるな」
パラディンボーンは剣を地面から抜くと、剣と盾を構えた。
「いきます!!!」
「よっしゃ!いっちょ一発いくか!!!」
リードは業火を放った。
赤黒い炎がパラディンボーンを襲ったが、聖なる盾の守りによってダメージは半減されていた。
「おい、まともに喰らったのにピンピンしてやがるぞ!なんだよあの盾!!!」
「パラディンボーン様の盾と剣にはイーヤヘルドの神の力が付与させれていると聞いたことがあるが、本当だったんだな」
「おい! 関心している場合かよ! くるぞ!」
パラディンボーンは業火壁目掛けで突進した。
「おいおい、流石に、それは自殺行為なんじゃ、ないかって!マジかよ!!!!!」
パラディンボーンは業火の中を走り、カストルとリードとの距離を詰めようとしていた。
「マジか」
カストルはパラディンボーンが業火壁がない上空から攻撃してくると考えていたが、パラディンボーンはまさかの、正面突破であった。
「カストル! あれでいくぞ! あいつだって、この炎の中でダメージゼロはありえない!」
「そうだな、いくぞ!リード!」
カストルとリードは一緒に詠唱した。
「煉獄の双柱、天を穿つ、矛となれ、ツインエクスプロージョン!!!」
パラディンボーンの盾は光り輝き、光の盾を5つ作り出し、魔法を迎え討った。一枚ずつ、光の盾が消え、最後の5枚目が割れる寸前だったが、2人の魔法を防ぎきった。
「カストル、ヤベェ奴に喧嘩売っちまったんだな。俺、本気出すから、魔力をくれ!」
「俺も出し惜しみはしない!」
リードは少年の姿から褐色の肌に、耳が尖っており、頭には炎の冠を被った筋肉質の男の姿へと変化した。
「目覚めよ、アモン」
赤黒い魔石を囲っていた銀で作られた8本のヘビの尾が、外へ開き、赤黒い魔石が顕になった。その、魔石の中に狼の姿があった。
すると、魔石が光り輝き、業火を纏った巨狼が現れた。
「ひさしぶりの、外、だが、忌々しい、呪いで、囲われている」
「アモンのじいちゃん久しぶりだな! 元気にしてたか!」
「イフリート、お主、普段と変わらんのだな、それで、ふっ、キングリッチを倒すために我と契約したというのに、まさか、自分自身がキングリッチになるとはな!!! 愉快!愉快!」
「アモン、今は昔話よりも、目の前の敵に集中しろ」
「忌々しい神の力を纏わせた、スケルトン?! こんな奴が存在するとはな! この世は本当に面白い! こやつを倒すのか、勿体無い、こいつの存在だけで、あの忌々しい神の存在理由が薄れるというのに! なぁ、お主、我の配下にならないか? よし、お主の願いを我が一つ叶えてやろう。さぁ、言うがいい!!!」
パラディンボーンはアモンに剣を振りかざし、アモンは前足でパラディンボーンの攻撃を払った。
「こやつ、我の提案を振ったのか! 残念だが、神の力ごと焼却するしかないようだな」
「パラディンボーン様は仲間だ、殺すことは許さない」
「仲間、とな? じゃあ、何故、仲間なのに、戦っているのだ?」
「アモンじいちゃん、俺もよくわからないんだけど、あいつを動けなくしないと、説明してもらえないんだよ」
「分かった、面白そうな事が起こっているのなら、首を突っ込むのが、我だからな!」
「アモンじいちゃん、相変わらずだな」
こうして、キングリッチ、精霊、悪魔の3体を相手にしたパラディンボーンは敗北した。
「我、初めて、スケルトン怖くなった」
「俺も、何度も、何度も、立ち上がる姿が、怖かった」
「まぁ!勝ったと言う事で! カストル! 全部話してもらおうか!」
すると、地面に倒れていたパラディンボーンが消えていた。
「なに!? おい、さっきのスケルトン、いなくなっているぞ! 我はトドメを刺していないからな!」
「猫次郎がパラディンボーン様を召喚したんだな」
「ほら、カストル早く、全部説明してよ!」
「分かった、話すと長いから、移動しながらでいいか」
「なら、我の背に乗れ、行き先は分かっているのだろう?」
「あぁ、あっちだ」
カストルはスケルトン居住区の方向を指で指した。
アモンは指を指した方向へ走り始め、カストルはその間に事の経緯を説明したのでした。
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