もっと勉強しよう
「ふふふ〜、あのねぇ〜、藍介が灰土の所に泊まってた時にね〜、俺〜、主人様と一緒に寝たんだよね〜」
「それは良かったですね」
私だって主人様と一緒に寝たことありますよ。なのに、紫水はどうしてこんなに嬉しそうにしているのですかね?
「一緒に寝る事と結婚は結びつくのか?」
「主人様の布団の中で一緒に寝たんだよ〜。それって〜、主人様にとって〜、俺が〜、一番信頼されってるって事だよね〜」
「えっ! 主人様の布団の中で一緒に寝た」
なんと、羨ましい。ですが、私だって主人様の布団の中に一度だけ入った事があります。それで、一番信頼されてるって勘違いしてもらっては困りますね。どうせ、紫水が勝手に主人様が寝ている隙に布団の中に入ったのでしょう。
「なんと! 僕は主人様の布団入ったことないのに、紫水だけずるいです」
ん? 緑癒のこの態度。もしかして、緑癒も主人様の事が好きなんじゃ。
「主人様の布団の中に入って寝たのは紫水だけって言う事なのか?」
「いいえ! 私も主人様の布団の中に入った事があります」
「それは〜、主人様が言ってたけど事故だったんでしょ〜」
「えぇ、まぁ、でも、主人様の布団の中に入ったことは間違いありません」
「俺はね〜、主人様に誘われて一緒に寝たんだよね〜。しかも、俺に抱き枕になって欲しいって言って〜、主人様は俺を思いっきり抱きしめてくれたんだよね〜。そうそう〜、勘違いしないでね〜。俺からじゃないから〜、主人様が俺を抱きしめてきたんだよ〜」
主人様が紫水に抱き付いた‥‥。抱き枕‥‥。ちょっと調べてみましょう。ふむ、えっ、こんなに密着するのですか!?
いや、これは図の説明であって他の寝方があるはずです。
「主人様に抱きしめてもらって良かったな。俺はまだ抱きしめてもらうことは当分先だろうな」
「主人様から抱きしめてもらっているのは、紫水だけではないですよ。僕だって毎朝、主人様が僕のお尻をギューと抱きしめてくれますからね」
「でも〜、布団の中で抱きしめてもらったことはないでしょ〜」
「えぇ、まぁ、そうですが」
「俺は主人様と一緒に〜、お昼寝とかする事とがあるけど〜。それは〜、俺が誘っているのであって〜、主人様からは一度も誘ってもらえなかったんだよね〜。でも〜、今回は主人様が誘ってきたと言うことは〜、俺に気があるってことだよね〜。だからさ〜、主人様と結婚するのに必要な物とか準備したいんだよね〜」
「ちょっと、待ってください。告白もしていないのに、結婚はどうかと思います。私達と主人様は結婚できません」
魂と魂を繋ぐ結魂は出来そうですが、リスクがありそうなのであまり教えたくないんですよね。
「え〜、どうして〜? 人間は互いに愛し合えば〜、結婚するんでしょ〜? 俺は主人様の事愛しているし〜、主人様も俺の事を愛してくれてる〜。それなら〜、結婚してもいいよね〜」
主人様が紫水の事を愛しているだって!?
主人様が紫水の事を愛している。紫水を愛している‥‥。
好きならわかりますよ。好きなら、好きにも色々な種類がありますからね。そうではなく、愛している。
これは‥‥。
紫水の妄想ですね。
とても悲しい事ですが、主人様が私達に愛していると言うことはないと断言できます。まして、異性の対象なんてあり得ない話なんですよ。そもそも、体の大きさが違います。
紫水はそれを分かって言っているのでしょうか。
「紫水は主人様に愛していると言われたのか?」
灰土さんナイス質問!
「言われてないけど〜、態度で分かるでしょ〜。あの時の主人様〜、本当に可愛かったなぁ〜」
「どんな態度なんだ?」
「それはねぇ〜」
紫水は灰土さんと話し始めた。すると、緑癒は私だけに伝わるように思念を私に送った。
『藍介さん、紫水の言った事は本当なんでしょうか?』
『それは、わかりませんが、多分、主人様の布団に入って一緒に添い寝したのは本当の事だと思いますね。ですが、主人様は紫水を愛しているというのは、少し疑問に思います』
『主人様は直接愛しているとは言っていないみたいなので、紫水の妄想ですかね?』
『その可能性が高いと思いますね』
『ですよね。でも、僕も結婚はどう言う事をするのか気になります』
『それでは、授業をしますか』
『藍介さん、よろしくお願いします』
「紫水、灰土さん、もうそろそろ人間の結婚について授業始めたいと思います」
「え〜、俺もっと話したいな〜」
「人間の結婚について知りたくないのですか」
「知りたいけど〜、分かったよ〜。藍介授業お願いします」
「授業。俺は初めてだから少し緊張するな」
「ただ聞いてれば〜、いいだけだから〜緊張する事ないよ〜」
「それでは、コホン。人間の結婚について話したいと思います」
私は出していた本をしまい、新しい本『人間の結婚の仕方』を取り出し3人に結婚の仕方を説明しました。
「結婚を申し込む際、人間の男性は結婚指輪を準備するみたいですね」
「指輪〜? 指輪ってな〜に〜?」
「指にはめるアクセサリーですね」
「どんな物なの〜?」
私は人間の男性が女性に結婚を申し込む所の絵を探しそれを3人に見せて説明しました。
「藍介さん質問なのですが、結婚指輪はどんな物が女性に好まれるのですか?」
「それはですね、ちょっとお待ちを」
私は結婚指輪についてのページを開き読みましたが、ん? ダイヤが付いた指輪が好まれるみたいですね。何故、ダイヤなのでしょうか?
えっ!? 宝石には意味がある?
ただの綺麗な石ではなかったのですか!
えーと、宝石には込められた言葉があり、ダイヤモンドは純潔、永遠の絆などの意味を持ち、結婚指輪に最適な鉱石。
そんな事知らなかった。
待ってください! 意味を知らずに主人様にダイヤモンドを渡した人がいるじゃないですか! 他の意味は‥‥。
不屈、永遠の愛‥‥。
灰土さん何やっちゃっているんですか!!!
あー、私が宝石の意味を早めに知っていれば、灰土さんに違う宝石を選んでもらって、私は主人様にダイヤを渡す事ができたというのに。
無知とは恐ろしい事のようです。
もっと、勉強しなくてはいけませんね。
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